まず、「文庫本」という書物の形なるものが、今から500年前、ルネサンス期のヴェネツィアで生まれたとはーっ! もっと現代になってからだと勝手に思っていた。書物は家の中にこもってするものが、この大発明によって持ち運びができる、すなわち携帯できる本となった!考えてみれば革新的だ。印刷技術を発明したのはドイツ人、ルネサンス的な考え方の普及に役立ったのは、携帯できる書物というわけ。
「知力では、ギリシア人に劣り、
体力では、ケルト人に劣り、
技術力では、エトルリア人に劣り、
経済力では、カルタゴ人に劣り、
それなのに何故ローマ人だけが、あれほどの大を成すことができたのか!?」(p20)
この「ローマ人の物語」42巻からなる大作を書き上げた塩野七生(ななみ)さん。もしかしたら、42巻以上だったかもしれないけど、いずれにせよ、40冊を軽く超える大作を書き上げる苦労を思えば、読む作業は楽しい。申し訳ないくらいに。ページをめくるだけで、いにしえのローマへ心が飛んでいってしまう。
「それでは今から、私は書き始め、あなたは読み始める。お互いに、古代のローマ人は どういう人たちであったのか、という想いを共有しながら」
はい、七生さん、よろしくお願いします!
よろずの国出身の私とにとって最も興味深いことは、ローマもかつては我々日本と同じように多神教だった、ということ。現在のイタリアの国教はキリスト教のイメージが強すぎて、ここを知らずにいると、ローマという国の成り立ちそのものを誤って理解してしまいかねない。
昔、知り合いの中に、「神が二人いたら、喧嘩する!」が口癖のイスラム教徒で、何事も譲らない人もいた。宗教の話は出来れば避けたいくらいだったが、絶対的な神を信じる人と比べれば、よろずの神に囲まれた人々は、柔軟な考え方ができやすいとは思う。クリスマスも祝えば、寺も神社も何でも何の 違和感も戸惑いもなく参拝出来る多くの日本人。ローマ人にとって宗教は支え、だったって思うと、日本人にとっても大方、そんな感じだろう。
ギリシア人の歴史家、デイオニックスは、「古ローマ史」の中で、「ローマを兄弟にした要因は、宗教についての彼らの考え方にあった」と述べたらしい。
ソフィーの世界を読んで、ギリシャ哲学に影響されたが、ギリシャ人もまた、ローマ人と同じように倫理を宗教に求めなかった
ギリシャ人は、それらを哲学に求めた。ソフィーの世界を読みながら、アテナイ(アテネ)中を歩き回って人々を質問攻めにしたソクラテスの姿を想像しつつ、「君の話はいつもQuestionから始まるんだね。まるでソクラテスのようだ」と言ってくれた海外から来た友を思い出していた。
Oh yes!!! The only thing I know in this world is the fact that I actually know nothing! Life is too short to learn everything! I wish I had more time to learn!!! これは、学生だった私が昔、海外の友に話したこと。そして今も あの時と全く同じ気持ちでいる。
「一神教と多神教の違いは、ただ単に信じる神の数ではない。他者の神も認めるか、否か、ということ」とは、よくぞ言って下さった!七生さんがいうように、 一神教的な金縛りにあわずに済んだからこそ それだけ柔軟にローマも発展できたのだろう。日本の長い歴史と発展も、ローマのそれと通じるものがあるかもしれない。うん、きっと、そうだ!
「 人間の行動原則の正し手を
宗教に求めたユダヤ人、
哲学に求めたギリシア人、
法律に求めたローマ人、
これだけでも これら三民族の特質が浮かび上がってくるぐらいである」
ここまで ガッテン!です、七生さん!
スパルタ教育って、日本でよく言われましたよね。
あの、スパルタって、もしかして ギリシア国土の一つ、軍事に秀でた「スパルタ」が語源なのでは…?
ギリシャ人は主張と独立心が強く、同じ国内でも一致団結することは稀っていうか、歴史上、ペルシアが攻めてきた時のみ… という歴史。その時、指揮を執ったのは、アテネのテミストクレス。ペルシアを追い払ったのち、その先を見据え,スパルタと敵対するであろうことを予見していたようだけど…かえって彼の方が危険人物とみなされ、追放される・・・しかも、かつて敵対したペルシアに。ペルシア王は彼の亡命後、10年ののち、祖国ギリシャを攻める際、指揮を執るよう頼むが、祖国に剣を向けることはできず、毒を以て死す… なんとも悲しい最期。 だか、ギリシャでは 歴史上有名な 「ぺリクレスの時代」の始まりとなる・・・・のね、続きは2巻へ!
壮大な旅の始まり、はじまり~♪
ここで一冊、イタリアに関連する著書を紹介させて下さいませ。
発売されたのは、数年前になるのかな。以前、
あおい村の点鬼簿もブログにて紹介させて頂きましたが、あの本と同じ著者、ジェノバ在住、なゆたさんです。 タイトルからもご想像できるでしょうが、美味しいコーヒーに出会えるガイド集です。そんじゅそこらのガイドブックと違うのは、エッセイの中で 「ここにしかない 特別な一杯のコーヒー」について、なゆたさんと相棒が語りかけてくれる、という点です!
なので、一気読みは決してお勧めしません。 実は私、一遍ずつ、出し惜しみのように ゆっくり読んでいる内に、紹介するチャンスを逃していたのでした。なので、今夜、ここで~
コーヒーのお共に 一冊の本をどうぞ~
もう一冊、いえ、シリーズ化されているので、何冊も…になるのですが…
「おいしいコーヒーの入れ方シリーズ」として知られる 村山由桂さんの恋愛小説もお勧め☆彡
では、Good night