図書館から連絡が来ていたので、帰りに立ち寄り、予約していた本を受け取ってきました。
返却したのは、逆説の日本史10巻。織田信長編です。表紙の写真を取り損ねましたが、朱色の表紙は天皇になろうとした足利義満と金閣寺の更に上をいこうとしていた信長に似合う色かもしれません。
安土城の発掘調査から近年になって分かってきた全貌からは、天皇すら超える存在…すなわち「神」になろうとしていたのだな、と分かるのだとか。
井沢元彦氏が著書の中で紹介していた2001年放送のNHKスペシャルの動画はこちらから見れます↓↓
NHKオンデマンド | NHKスペシャル 信長の夢 安土城発掘 (nhk-ondemand.jp)
信長が成し遂げた偉業は、政教分離を日本人にとっては『当たり前のこと』としたこと。
宗教を考える時、世界中を見まわしてみると、或いは宗教戦争の歴史を眺めてみると、いかに日本人が宗教に対して寛容でいられるか、自分は無宗教だと堂々と言えるか(日本の外でこれを口にすれば軽蔑されますが)
すべては織田信長のお陰、というわけです。
ローマ人の物語の著者、塩野七生さんの名前も紹介され、「男の肖像」からの引用もあります👌 私も以前、読みブログに感想も書いた筈。
「やっぱりねぇ~ 初めて塩野さんの本を読んだ時、日本史なら井沢元彦さんだなぁ。似てるよなぁ。歴史への取り組み方、というか、考察の仕方というか… 広い視野というか柔軟な考え方というか。井沢さんは塩野さんの著書も読んでいるだろうと思っていたから驚かない。寧ろ、予想通り!✋」
と、思いながら、つい微笑んでしまいました?
塩野七生さんの『十字軍物語』を読み、出来ればローマ人の物語を読み、世界の宗教観を理解した上で、この10巻に目を通すと、織田信長がやろうとしていたことが見えてくる。
定説でもNHKスペシャルでも、「まさか神にまで…とは信長も考えていなかった」という見解らしいですが。信長はキリスト教も最初は認めていたし、新しい物好きで、イエス・キリストが神で、クリスマスは彼の誕生日だということも恐らく宣教師を通じて知っていただろう、と。だから安土城の完成も信長の誕生日に…
織田信長の宗教観、宗教に対する寛容さ、要するに 本願寺にしろ、比叡山延暦寺にしろ
「中立を保ち、政治に関与さえしなければ、どうぞご自由に布教して下さい、弾圧はしませんよ✋」というスタンスが信長だった、と順を追って井沢さんに説明され納得です。ところが本願寺も比叡山も中立どころか、信長と敵対するようになる。信長の比叡山焼き討ちで亡くなった人の数が4000なら、本願寺が信長より先に仕掛けた焼き討ちによる死者数は万を超えており、しかも本願寺は何度も信長と交わした誓も破っている。一方的に。
朝倉・長政連合軍との戦 以前と以後では、確かに信長の裏切り者に対する対応は残虐に変化したといえる… 以前の信長は裏切者の弟に仕えていた柴田勝家を罰するどころか、召し抱えている。
『麒麟がくる』でこの辺も描かれましたが、浅井長政と朝倉家の関係は、大河で描かれた程、親密ではなかったのではないか?というのが井沢説。では何故、長政は信長を裏切ったか?といえば、それは謎。
いずれにせよ長政の裏切りで危うく信長は挟み撃ちに合い、命も危なかった訳だから…妹のお市を嫁がせ、あれだけ信用していた長政による裏切りがトラウマにならない訳がない…
最後の章には、明智光秀の裏に黒幕がいたのか? についても触れられていますが、井沢さんはいなかったのではないかと。長宗我部という名が上がってはいますが、ここもやはり大きな謎ですね…