プラットホームへ出ると、生ぬるい風が頬を撫でる。同時に満開のさくらの花びらが風に舞い、さながら さくら吹雪といったところ。
「わぁ~! さくらが綺麗ですね!」
さくらの木の下で休憩していた副店長達の足元で さくらの花びらがワルツを踊っているような光景に、思わず感嘆の声をあげた。
春うらら。一瞬、ここが職場であることを忘れてしまいそう。今が満開で、これから そよ風が吹くたびに こうしてワルツを踊るように散っていく さくら。
桜が咲く時期に異動していった上司達を 私と一緒に見送ってくれた さくら。
そんな桜に感無量で見惚れていると、桃木副店長が言った。
「ううん。すずちゃんが綺麗」
「は?」
ひっ・・・人をからかって。 私はブスと自覚している。ほんとにブスっとした表情で、この上なくブス顔で、
「そんな・・・笑えない冗談、言わんといて下さい」 と言ってバックへ下がってしまった。
いや、その前に、「鈴木さんが出来ちゃった結婚で退職しますって」という数日前のエプリルフールのジョークを他の社員さんが思いだして笑っている。
「あ・・・あの冗談は、出来れば信じて欲しくはなかったかも。副店長ったら、マジな顔で、誰? 相手? って聞くんだもん。返答を用意してなかったから、参ったわ」
バックヤードで矢木さんに 「さっきですね・・・・。副店長ったら、さくらが綺麗ですねって言ったら、すずちゃんが綺麗! なんていうんです」と話すと、何だか矢木さんは見透かしたように、
「それで・・・ちゃんと副店長に、素直にありがとうって言った?」と、聞かれてしまった。
「いいえ。言っていません。そんな笑えない冗談言わんといて下さいっていいました」
そういう時は、素直にありがとうって言うもんよぉって先輩のアドバイスだが、自信の無さが自分をさらに可愛くない性格にする。
でも、これは今に始まったことではなくて、ずっと以前から・・・・。
Frank Yoshidaさん。
「合同作品を・・・」と ご連絡を頂き、とても嬉しくて、でも自信が無くて。考えれば考えるほど、何を書いたらいいのか、或いはこれまでに書きためた作品のうち、どれを選んだらいいのか、分からなくなっていきました。でも、何度かメールでやりとりを重ねる内に、見えてきたものがありました。
「すずさんが、すごくセンシティブに考えておられたので、びっくりしました(^^)>」
sensitive .........なんて懐かしい響き。
現存のものではなく、新たに書きたいことが分かりました。Frankさんだから、思い出させてくれたんだと思います。そうでなければ、すっかり忘れていた何か。 I am so inspired.......っていうのが今の☆キモチ☆でしょうか。
今日の記事は、一昨年の春の出来事。ほとんど今現在の私。メールのやりとりで自分でも あらためて分かってしまったように(自分の欠点にっていうことでしょうか) あの頃も、そうだったなぁ。そして とても大切なメッセージをこの世に残していってくれた人たちが私の周囲にいたんだって思いだしました。たとえ一生、会えなくても。本当は、自分の記憶の中だけに大切に留めておきたい事柄です。でも。最近、思うんです。特に「ハグル」を読んで思ったのは、やっぱり記憶を掘り起こし、文字にして書きとめておきたいと・・・。 人の記憶って、永遠じゃないって認知のホームで過ごしていて、切なくなることがあります。でも、胸をつぶされている場合じゃありません・・・・よね。「声の色」の中でもあるように、私も伝えるべきことを伝えておきたいって思いました。
・・・・・ですから、自分の筆力に対する自信云々は この際、置いておいて・・・・
合作、楽しみたいです。明日から8連なので、書く時間が確保できるかどうかが問題ですが、(しかも明日は早番のあと、直行でECC子供英検の面接会場へ向かう日ですから)
次の記事は十数年前へ一気に飛びますが、小説とは考えず、ただ、素直に書きたいと思います。
"You are beautiful" という台詞に素直になれなかった あの頃も、あれから十数年経って、やっぱり一昨年前の春も膨れていた私も全くもって素直じゃないけれど、書くことだけは、素直に・・・ね♪
すず