職場へ行くと、予想通り、岸辺さんが納豆の話を始めた。
「ねえ、嘘だったね、納豆ダイエット!!」
他の部署のスタッフも加わり、ぺちゃくちゃ*****以下、略。
二人で売り場へ降りていくと、西村チーフが私達の顔を見て、叫んだ。
「ちょっと、納豆の話、聞いたあ~?」
「もっちろーん!」
予想とおり、納豆は売れ残り、在庫が、てんこもりだ。
岸辺さんによれば、昨日は、わずか10つ程度しか売れなかったという。
納豆担当のチーフは、さぞ、落ち込んでいるだろうと思っていたが、
あんなに大きな声が出ていることだし、思ったほどは落ち込んでいない様で、一安心。
それにしても、納豆係りの西村チーフ、お久でごさいます。
10日あまり、シフト上、すれ違っていた。
倉庫へ在庫を取りに行って、台車をひっくり返して以来、あまり、お見かけしていなかったのだ。
その一方で、年明けから、ずっと、副店長には会わない日は無いほど、よく会っていた。
しかし、今日は、店長も西村チーフも出勤している。
今日こそは、副店長はお休みの筈だ。
バックで在庫の整理をしていると、
「東副店長!」
という魚屋さんの声が聞こえた。
「東副店長!!」
と、魚屋さんが、間違った名前で呼んだので、ふと、顔を上げると、
南副店長が棒立ちに立って、こちらを見ていた。
(あれ、副店長、出勤だったんだ・・・)
「東副店長、あのですね・・・」
(だから、南副店長だってば!!)
「最近、俺の心の友のSさん、 俺に冷たいんですよ! Sさんに言っといて!」
心の友・・・?
そういえば、昔、いつわ真由美の曲に、心の友というのがあったな。
「あなた~から、くるし~みを 奪えた そ~のとき~・・・」
懐かしいな。インドネシアで大流行したらしい、その曲と いつわまゆみ は、
インドネシアでは有名らしい。
私の本名は、「いつわまゆみ」に限りなく近いため、すぐに覚えてもらえたものだ。
ここで出合ったロスナニちゃん、元気かなあ~。
メールだと、元気にしてるらしいけど、会いたいな~。
そんな事を思いながら、在庫整理をしていて、ふと、思った。
俺の心の友のSさん・・・って、誰!?
そんな人、いたっけ・・・?
まっ、いいや。
深く考えるのは、よそう。
荷出し、発注を終了し、再びバックへ。
一昨日、迷った挙句、しなかったラーメンの半額処分の準備をしていると、
カトちゃんが話しかけてきた。
「これ、終売ですか? 新発売なのに・・・!? 売れないんですか?」
「そこそこ売れてるけど・・・」
ほらね。先日、店長も驚いていたし、誰でも同じ疑問を持つのだ。
昨日だけで、約20ほど、売れている。
もったいないので、あと一日様子を見よう。
販売通知には、「半額処分品の在庫数を本社までファックスすること!」
と、指示があるが、こういう理由で、半額処分日を遅らせます。
ごめんなさい、花園バイヤー。
店長の許可は得ています!