昨日の午後からのレクリエーションは 予定表によると 「英会話」
担当は、わたしです。
ここは ディサービスセンター。 障害者福祉会館とはいえ、利用者さんの多くは人生の大、大、大先輩が殆ど。(大正3年生まれの方も)
利用者さんには 月間予定表が配られており、半数以上の方が すでに 「本日のレクは英会話」だと認識しておられます。
昨日も いつもと同様、朝のご挨拶と共に 「今日のレクは英会話だから…貴方の日だねぇ」
と、お声をかけて下さる方。
楽しみにして下さるご様子、(とりあえず、準備の方は万端にしてきたつもりなので) プレッシャーは感じつつも、内心、「よっしゃ~」という気になります。
…と、その時、足ツボマッサージをされていた利用者さん、お二人の これまた いつもの会話が聞こえてきました。「英語は…」という台詞が耳に届き、思わずダンボになります
「わたしらの時代は英語は敵国語だったからですねぇ」
英会話レクの日は、必ず このことを話題にする昭和ひとケタ生まれの利用者さん達です。
…と、そこへ、 大正の終わり生まれの利用者さんが (上記のお二人の話が聴こえていたようで) 私の目の前へやって来られ、太陽のような笑顔で仰いました。
「確かにワシらが若い頃は、英語は敵国語と呼ばれたけれど、時代は変わったからね。 今は英語が話せないと困る世の中だから」
…と、そこへ 先程 「敵国語だから…」と話していた利用者さんも私の前へやってきました。
「鈴木さん、僕は今朝から血圧が高くて…だから英会話のレク中は、私を指名しないでください。お願いします」
(本格派レッスンではありませぬので。あくまで楽しむのが目的ですから、日頃から 「指名」している気はないのですが)
「はい、分かりました。お大事に」
よって、 毎回、最初に行っている、お一人、おひとりの名前を呼び、目の前へ行き、Hello ハローと挨拶をし、ハグしたり、握手するのは中止しました。(今回のみ英語の挨拶なしで臨みました)
私が分析したところ、大正生まれの(自分の)祖父母時代の方は、自ら女学校等で戦前に英語教育を実際に受けていたこともあり、
「英語の授業は大好きだったのに、戦争が始まって中断されて残念だった。今でも覚えているよ。 I look at the window!」
と、英語を披露され、喜んで下さいます。
一番 英語に違和感があるのは、終戦時、小学生くらいだった方でしょうか。 実は私の父も、私が高校生の頃には 「英語は敵国語!」と叫んでいました。 どうも 私が英語に興味を持ち、海外へ出ていこうとしているのが気に入らない様子でした。 反対を押し切り、勝手に渡豪手続きをし、海を越えてしまいましたが…。 (今から20年も昔の話)
これだけ違う時代背景を生きてきた人達が集う場所。 これがディサービスセンターなのです。平成生まれの職員から大正・昭和生まれの利用者さんまで。
皆さんに 満足して頂けることは 難しいですが、火曜日は定休日なので、レクの内容をどうするか 丸一日を費やして、考えました。 テレビ、新聞、日頃のECCレッスンや自分の海外体験など、使えるものは何でもフル活用です。(勿論 レク中、参考文献を明らかにするのは当然として)
前おきが長くなりましたね。 では、いよいよ 英会話レクの時間です。 午後1時半
昼食後は 皆さん、 運動器具を使って個人レクをしたり、マッサージチェアでリラックスしたり、または大型画面のテレビで まずは、NHK朝ドラの再放送、「あまちゃん」 等をご覧になられます。
そして 1時半といえば … そう 『スタジオパークから こんにちは』 が始まる時間。
「本日のゲストは あまちゃんに御出演中の ためいけ先輩です」
ためいけ先輩(役の名前。役者名は 何だっけ)
やはり カッコイイ若者です。 「私も ためいけ先輩を観たいですが、レクの時間ですので テレビは消させて頂きます」
これが レク 最初の台詞となりました。
今回のレクで使用するのは、これです。フルーツバスケット? いや、ベジタブル&フルーツバスケット
最初のテーマは ピーマン です。
バスケットを置く場所が無かったので、職員の女性Yoさんが高々と持ち上げて下さいました。
「ところで 皆さん、以前もやりましたが、英語でピーマンは何というでしょう?」
これが最初の質問です。
利用者さんのY氏 「うん、以前 習ったね。 何だったかね。 メモしたけど、そのメモを探し出すのが難しい」
数名が 「何だったかねー」 「うーーーん…」
では、ヒント
赤とうがらしは レッドペッパー
では、緑色のピーマンは?
「そっか グリーンペッパー」
「そうそう、グリーンペッパーだった」
ここで複数の方が 頷いていらっしゃいます。 どうやら 思いだされたご様子です。
「では、2つ目の質問。 ピーマンは 一体、何語でしょうか?」
「イタリア語よ!」 と、職員のYo氏。
では、イタリア語だと思う方は、手を上げて下さい と、呼びかけると 先程の職員Yo氏が 利用者の女性 Yoさんに声をかけました。
「Yoさん、手を上げんね!!」
この日は お名前のアルファベットがYの方が大活躍されました。 何故だか…
選択肢は ① イタリア語
② ドイツ語
③ ベトナム語
④ フランス語
それぞれ手を上げて頂きました。
流石に ベトナム語だと思う方は いらっしゃいませんでしたね。 「それは無いだろう」という声も。
正解は、フランス語 でした。
piment 或いは pimentoというそうです。
私も辞書で調べたのですが、いやぁ~ レクの為に調べる過程で色々と勉強になりました。
3つ目の質問です。
ピーマンが最初に日本に入ってきたのは、いつだと思いますか?
さきほどの職員Yo氏が 「それはね。明治22年に…」
明治までは 良かったのですが、辞典によれば、 「明治初年、アメリカから渡来。 西洋トウガラシ、と呼ばれたそうです」
ついでながら気になった パプリカについても話題にしました。
paprika ハンガリー
トウガラシの一品種、香辛料、スープ、オードブルの風味に使用、と辞書にはありましたので。
気がつけば、ピーマンの話題だけで、13分が経過していました
続きましては、カボチャの話題。 こちらは前日の朝イチを参考に、かぼちゃの見分け方、干しカボチャの作り方、切りやすさ等をクイズに。
「あ、私も観ました!」 と 利用者さんの Yae I.さん。 これまた イニシャルはYです。 (かぼちゃについては省略します)
次は みかんan orange
みかんの呼び方を紹介しました。
a mandarin マンダリン 私が勤務していたシドニーのスーパーにもありました。 皮を手で剥いて食べる日本のミカンに近いものを確かに a mandarin といい、販売していました。
a satsuma orange ローマ字で さつま オレンジ 薩摩ですよね。 これは 聞いたことが無いですが、辞書にて発見!
a tangerine そういえば、こちらもオーストラリアで耳にはしたことがあるような。 その程度の知識です。
最後に りんご an apple
再び利用者さんに質問
「りんごの原産地は 何処でしょう?」
選択肢は私が勝手に考えました。
① 北欧 (やはり寒いところでリンゴは育つから)
② 中央アジア
③ 青森県
実際に多くの方が手を上げたのは、①と③
②の中央アジアはゼロ。 誰もリンゴの原産地が中央アジアだとは思わないのですね。
しかし、意外にも 中央アジアなんです。(これも辞書にて)
ちなみに りんごは バラ科です。 これにも 皆さん 驚いていらっしゃいました。
辞書って単語の意味のみならず、色々な情報が掲載されていますよ。
もっと辞書を引いてみようと思いました。
そして 皆で 声を揃えて リズムよく発音練習
a green pepper, a pumpkin, an orange, an apple
ここで 職員Yoさんにより、複数形の練習も。
「カボチャが1つで あ!パンプキン。 かぼちゃが2つで あ、あ、パンプキン。 カボチャが3つで あ、あ、あ、パンプキン。
10つだと大変よ。 あ、あ、あ、あ、あ、…(略) パンプキン!」
前々回くらいで、この 「あ! バナナ」 単数、複数を学びましたが、「1つなら あバナナ 二つなら あ、あバナナ」は その時、生まれたギャグです。
あの時を思い出された方もいて、利用者さん、再び大ウケです
ご協力ありがとうございました
単語のあとは、Exercise エクササイズ 体操です。
① Pat your arms. (腕を軽く叩いて下さい⇒ 肩 ⇒ 足)
② Stretch yourself. (背伸び等、身体を伸ばしてストレッチ)
③ Rub your tummy (お腹をさすって下さい)
④ Bend over (腰を曲げる)
⑤ Turn your face around (首をまわしてください)
最後の最後に 口腔ケアもかねて、お口の体操 …といっても英語にしかない発音練習をすることで、普段しない口の中の動きを実践してみました。 これって、嚥下体操になるのでは?
ant bag map
左から、 アリ、 バック、地図
りんご、アップル同様、口を横に開け、あごを下げ、「エ」というつもりで「ア」という
「まず、あごを下げでくださ~い」
「次に口を横に開いてくださ~い」
「では、エというつもりで 実際は アといってみてください」
皆さん、必死にやって下さり、かなり面白いお顔になっていらっしゃる方も。
「この夏は暑かったですね。 英語で暑いは hot
このo の発音は 実際に耳では ホットではなく ホアット のように聞こえます。
「先程は横でしたが、今回は タテに大きく開きます」
皆さん、埴輪のように 口を大きくタテに開けています。 バッチリです。
「では、喉の奥から音を出すように 「ア」といいます。 では、言ってみましょう~」
「ア」 「ア」 「ア」 「ア」 「ア」
8月28日は ゴロ合わせで 埴輪の日だと、職員Y氏が決めたように、この日は 埴輪顔が溢れかえっていました。
続いて bus バス ばあす の 「ア」の発音練習です。
「みなさんは、驚いた時に、 あ! と声を出しませんか? あの 驚いた時の あ! と同じ音です」
「今回は余り口を開けず、やや横にあけ、「あ」といいます。
「では、言ってみましょう。 bus, bus, bus...」
こちらは簡単だったようです。
何なくクリア。
では、ここで日本人が苦手な音、th を紹介します。
「舌先を上の前歯の裏に軽く当て、その間から 「ス」と息を出します。
bath これも カタカナで書けば、バス ですが、乗り物のバスと違う意味で、何だと思いますか?
「お風呂のバス?」
なんと、利用者さんのMさん、正解
実際にあった話を紹介しました。
ホームステイで短期留学してきた日本人学生が、夜、May I take a bus? と言います。
本人はお風呂のつもりでしたが、発音は乗り物のバスになってしまっていました。
ホストファミリーは、こんな時刻にバスだなんて、とんでもない。日本と違って治安もよくないから、私達が車で送るから何処へ行きたいんだ?」 と…。
語尾の s と th で 全く意味が違ってきますものね。
本日の英会話レクリエーションは、これにて お開き。
「勉強になったね」 と 「あ! あ!バナナ」を発案した職員Yoさんの呟きをにし、ほっとしたのでありました。
あ~ そろそろお昼です。 昨日を振りかえりながら これを書いていたら、お腹も空いてきたので、バナナ食べようっと
では、本日は夕方からECCレッスンの方へ行ってまいります