水曜日は朝10時出勤。久々に寒さが弱まり、ぽかぽか陽気である。更衣室で着替えたあと、10分前に売り場へと降りていった。 まず、なんと言っても一番 気になることは、売り場の状況だ。
レジ横を通過した後、まず、最初の乾物棚軍(1)に到着。 ここには左手から、海苔類、ふりかけ類、お茶漬け類、豆類、米類、健康食品が並んでいる。 どきどき・・・
品切れするとしたら・・・、只今105円特価中の『銀のり』、売れ筋の『のりたまふりかけ』『磯野ふりかけ』類だろう。 まず、一番心配した『銀のり』は、6つ残っていた。今朝、荷物が届いているから、大丈夫。 海苔類は、すべてオーケー。お茶漬け類、すべてクリア。 「あっ・・・
」 ふりかけ一種、『磯・・・』品切れ。 でも。一つだけ・・・は、予想より、ずっとずっとましな結果だ。
次の棚軍(2)へ移動。 ここは、日頃から、あまり動く棚ではない。 まず、大丈夫だろう。 『漬け物の素』類や『ぬか』などが陳列されているが、欠品なし! ここも合格。
次! 棚軍(3)へ足を進める。 ここからが正念場だ。 なんといっても乾物のメインストリートと呼んでいい。 まず、山芋の粉、くず粉、団子粉、片栗粉、白玉粉、黄な粉、たこ焼き粉、お好み焼き粉、チジミ・・・と、粉類が並ぶ。 黄な粉は超売れ筋商品で、日頃から欠品しやすい。 一回発注をとばす前、通常の2倍発注しておいた。 まだ、たくさん あった。 ほっ・・。この長~い陳列棚の向かって左側は、合格。
さて、中央は? ほんだし、ハイミー、味の素などは とばし、(矢木さん担当調味) 昆布類がずら~り。 ここも年末に動くだろうと、ぎっしり
まとめて発注しておいたのでオーケー。 とろろ昆布類も欠品なしで、合格。
右側には、かんぴょう、でんぷん、ふ、ゴマ類、乾燥しいたけ類、春雨などが並ぶ。 ゴマは・・・。 ゴマの一部は月曜日の段階で、品薄だった。 生活(開発)・・商品は、二日前に入荷され、いっぱいになっている。 やはり、品薄だったゴマの一つが売り切れ。
これで、ふりかけに続き 欠品二つ目。
あ~あ。
くるっと回れ右すると、棚軍(4)。 ここには、パスタ類と小麦粉類がズラリ。 すでに、一つ、欠品していると知っているのは中力粉。 普段、飛ぶように売れるのは、当然、薄力粉、まあまあ出るのは強力粉。 ほとんど動かないのが中力粉だ・・・が、何故か、その中力粉が日曜日には売り切れた。 私がドジで、発注を一回とばすなどとは予想していなかったので、 (そんな予想なんかしたら、問題だが) 発注を見合わせたのだ。 結果、売り切れた。 これで、欠品3つ目である。
次の棚軍(5)は、手作りケーキのコーナーだ。 ホットケーキの素、チーズケーキの素などが並ぶが、ここは ほとんど動かない。 動くとしたら、ホットケーキの素くらい。 欠品なしで、合格。
向かい側の棚軍(6) ここは、御菓子の棚なのだが、その内一つはスルメ類がズラリ。この御菓子の一角にある珍味コーナーは、私の担当。 珍味も、時と場合によっては、欠品しやすい。 飲み会や仲間と旅先での おやつに・・・と、数名で来店し、ごっそりまとめ買いして行くお客様を何度が見かけた。 フックごと、ごっそり買い物かごに入れるのを偶然 目の前で目撃し、思わず彼らのカゴを覗き込んだこともあった。 ここも、結構どきどきする。
しかし、今回は、珍しく、オーケーだった。
(・・・と思うけど。ナッツはどうだったっけ)
そして、いよいよ問題の・・・カップラーメン!最終戦へ突入。
陳列棚軍(7)へと進む。 ドク
ドク
毒
・・・? 悪い意味で胸が高鳴る。 欠品商品の だいたいの予想は出来ている。 月曜日に品薄になっていた『高菜ラーメン』、『長崎ちゃんぽん』の二品。 そして、月曜日にバック在庫一箱のみ・・・だった 超売れ筋の 『どんべえ きつねうどん』
予想は、当たって欲しくはなかったが、 最初の二品については的中

だが・・・。どんべえが・・・ある。 何故?
持ちこたえられたとは、思えない。 他の店舗から回してもらったのだろうか・・・
副店長に聞いてみよう。 最悪のスッカラカン状態には、まず、ならないだろう、とは 月曜日の時点で予測できた。 前々回いつもより、多めに発注しておいて良かったと思ったものだ。 しかし、一回発注とばせば、やはり欠品は いくつか出てしまった。 せっかく当店へ足を運んで下さったのに、目的の商品が私の大きなミスにより、 お求めになれなかったお客様へ。 この場をかりて、お詫び申し上げます。
「そうだ、どんべえ、どんべえ・・・っと」
どんべえの在庫が何処から来たのか、とても気になる私はバックへと急いだ・・・。
南副店長は何処? まず、誤らなくっちゃ。 それから、どんべえの事、聞かなきゃ。 じっくりと売り場を見ながら回っていたら、もう10時近くになっている。 遅くなっちゃった~。 私は前へ つんのめそうに なりながらバックへと急いだ。 このあと、すぐ、何が待ち受けていようかなど、 知る由も・・・ と、いう訳で、 申し訳ありませんが、 予想外に売り場の状況レポートだけで、こんなに長くなってしまった為、 またまた次回へ続きます・・・。
』
タイトル YAKAN ! バックへ行くと、まず、竹輪担当の花岡さんが机に向かっていた。
「おはようございます!」 お互いに挨拶を交わす。 彼女の先には、南副店長がいた。 花岡さんと挨拶を交わす私の声が、彼にも聞こえていたからか、 真剣に・・・と、言うよりは、むしろ、引きつったような表情で、パソコン画面を見つめている。 いつもの副店長なら、声が聞こえれば、ごく自然に こちらを振り返るのだが、 この日は不自然なほど、じ~っと画面を見つめたままだ。 私は、絶対、言い訳しまい
と、決めていた。 ある人は、私に、こう助言したが・・・。
「一言、『忘れました!』などと言ったら、カーッと頭に血が上るタイプだから、・・・!」
私は椅子に座ったままパソコンから目を離そうとしない、副店長に声をかけた。
「副店長、おはようございます。先日は、申し訳ありませんでした」
副店長は、ゆっくりと・・・ とても、ゆっくりと、こちらを振り返った。まるで、スローモーションのように。 真正面を見ると、 「え~っと・・・
」
「・・・・
」
「俺が18日に発注するといったのを金曜日だと、勘違いした?」
南副店長は、小刻みに震えながら言った。
「それもありますが・・・、忘れました」
その時、私は何を思ったのか。 言ってはいけない、と言われていた事をあえて口にしていた。 ゴロゴロ、ドンピカド~ン
この瞬間、私は生まれて初めて?雷というものは、室内でも発生するのだと、瞬時に悟った。
「わ・す・れ・た・・・?」
南副店長は言葉の意味を自分で確認するかのように、呟いた。
「はい。水曜日に前倒しで私が発注しなければいけなかったことを忘れていて、 し・な・か・っ・た!」
ご丁寧に?私は、副店長の為に、『わ・す・れ・た』の意味を辞書並みに解説したのだ。
その直後の副店長の顔は・・・。 一言で表現すれば、 『沸騰した やかん
』 だった。 いつも冷静な副店長が、この日、初めて感情的になったのである。 それだけ、お店と お客様に多大なる迷惑をかけた
、ということだ。
この日の教訓
南副店長曰く、
『とにかく、お店と お客様に迷惑をかけない
それさえ、分かっていてくれたらいいから
』
副店長の お話は終了。
担当から外されることもなく、 クビになることもなく、 切腹を言い渡されることもなく、
『今日の発注のアドバイスを頂いた!』
しかも、とっても詳しく、丁寧に。
「クリスマス前なので、小麦粉は通常の3倍発注して、ちょうどいいくらいだと思う。特に、こんな小麦粉ほしかった(商品名)は、よく売れるので多めに・・・」 などなど。
そして、
荷出しも手伝ってくれた。
副店長は、いつもの笑顔で、何故か、字幕スーパーの翻訳家の事を話題にし、 『字幕なしで映画を鑑賞するか?』と質問しながら・・・。 (字幕は必ず読みます!どう、翻訳してあるか、興味あるし、100%理解できるわけじゃないので)
しかも
『クリスマスケーキの手渡し方法』に関する私の質問にも答えてくれた!
「クリスマスケーキを予約している お客様には、カトちゃんがサンタ服を着て、手渡すといいのでは? 子供は喜ぶだろうし、来年も、ここでケーキ予約しよ~って、来年につながるかも?」 と私が提案。19歳に見えないカトちゃんには、サンタのおじさんのイメージぴったり! ついでにハマグリ君をトナカイにしちゃったりして・・・。 100円均一で売られているトナカイの角の ヘアーバンドしたら・・?
ア~、あまりにも、イメージぴったりすぎて、笑える・・・
実は、南副店長はサンタだった!
・・・という、秘話を披露してくれたのである。 花園バイヤーと共に、子供達と、じゃんけんし、勝ったら***という企画を店前で行ったという。 副店長がサンタさんになり・・・。 「マイ衣装も、持ってますよ
」 と、南副店長。 次回は、私も是非、参加・・・じゃなかった、見学したい。
そして、最後に
「残業できますか?」
2時間残業して、一日が終了・・・とあいなった。 色々あり、 迷惑をかけ、 ハラハラどきどきした数日間だったが・・・。 犠牲を払いながらも学ぶ事も多かった。 この失敗を教訓にし、 今後に生かせたら・・・ お店をつぶさないよう、精進致します。
そして、遂に・・・! そう、今度こそ、 完
正真正銘の完
である! 』
続きを読み終えたワシは、従業員たちが鈴木すず子くんを大丈夫!だと励ます姿に目頭が熱くなった。矢木さん、しかり。ハマグリくん、しかり。すず子くんを落ち着かせようと、平常心で仕事をするようにアドバイスした若手社員の(当時)西村くんといい・・・ハイジのように ふらふら~っと店内を歩く部下を心配しつつも、あえてキツク叱ることも無く、見守りつつ、必要に応じて、『鈴木さん、今から何をしようとしているのですか?』と尋ねる店長といい・・・・。悪い事は、悪い、とドンピシャと叱咤したあと、即、気持ちを切り替えて、売場で定番商品を出している鈴木すず子くんの元へ行き、こともあろうか、副店長という座についている上司が、部下の荷出しの手伝いをしようとは・・・・。すず子くんが好きな英語や得意な翻訳部門について、わざわざ会話を勧めるあたり、仕事には厳しくとも部下想いの南くんらしい。なんというか。。。ワシは、深く感動していた・・・・。ざっと斜め読みすれば、単なる鈴木すず子くんの失敗談、馬鹿丸出しブログ、ということになるが、そうではあるまい! そうでは・・・・。 すず子くんを取り巻くスタッフや、上司それぞれの立場で優しくフォローしたり、励ましたりしている姿にワシは感銘を受けたのだ。
さくらのグロッサリーは最高である。店長バンザイ! ミナミ君バンザイ! 西村くんバンザイ! そしてその他のスタッフバンザイ!! 続く・・・