大相撲の元横綱・貴乃花親方(46)が25日、東京都内で記者会見し、日本相撲協会に引退届を提出したことを明らかにした。部屋に所属する弟子、床山、世話人については、千賀ノ浦部屋への変更を届け出た。

 会見で貴乃花親方は、退職を決意した理由を説明。弟子の貴ノ岩に対する元横綱・日馬富士の傷害事件を巡り、今年3月、同協会の対応に問題があったとする告発状を内閣府に提出したが、今年8月に入って、その内容が協会の弁護士から事実無根とされたことを挙げた。

 さらに、同協会は7月の理事会で全ての親方は今月27日の理事会までに五つある一門のいずれかに所属しなければならないと決めたが、貴乃花親方は受け入れ先が未定だった。いずれかの一門に入る条件として、告発状が事実無根だったと認めるよう、同協会の役員から口頭で求められたことも退職の理由に挙げた。貴乃花親方は「真実を曲げることは私にはできない」と語った。

 昨年九州場所中に発覚した元日馬富士の傷害事件では、貴乃花親方は報告義務を怠ったなどとして今年1月に同協会理事を解任された。同3月には弟子による暴行問題などで「年寄」への2階級降格処分を受け、「一兵卒としてやっていく」と出直しの意向を示していた。【高橋秀明】