ほんとに久々に読む石田衣良さんの小説です
これまで様々な年代、境遇に置かれた主人公たちの物語を読ませて頂き、そのたびに、「なんで30代女性の気持ちがここまで分かるの~‼?」感嘆の声を上げてきました。これまで世に送り出された石田衣良小説の殆どは読んでしまったんじゃないか…大人の恋の物語以外は…(call girl などのタイトルや、ちょっとそれっぽいモノは避けてきましたので…)久々に、「あ、これは まだ読んでない!」という著書を図書館で見つけました。「明日のマーチ」です。ハードカバーの表紙には、男性4人が横一列に並び、一本の道を歩いていく姿があります。2011年初版。「今」の雇用形態、もう一つ隠された問題(これを今、ここで書いてしまうと面白くないので伏せておきます)表紙のさわやかさからは、ちょっと想像出来ない展開でしたが泣けました。
物語は ある日、突然に、4人の20代半ばの若者が、山梨の工場で「解雇通告」される場面から始まります。非正規雇用の彼らが解雇になれば その日から寮は追い出され、行く当てもない。取りあえず実家がある東京へ戻るか…と。その時、 無口で身体が大きな修吾が
「歩いて東京へ行く」
突拍子もないことに思えた発言から、最初は「マジかよ?」と言っていた残りの3人でしたが、「どうせ暇だし…」「一日だけ修吾と一緒に歩いてみるか…疲れたら途中で電車に乗ればいいし」「折角、山梨にいたのに観光もしていないし、観光、観光!」「皆で日本海を取りあえず目指そう!」みたいなノリになり…。
駅から自宅まで歩いて帰ろう。疲れたらバスに乗ればいいし…と歩きだしたら結局、最後までバスに乗らず、約1時間徒歩で帰宅~ってなことが結構ある自分も共感☆ 悩んだら歩く、落ち込んだら歩く、そうすると気分はすっきりする、確かに‼ (ただ黄砂やPM2.5で空気が悪い時期は難しいが…)
「明日のマーチ」と名付けたブログを立ち上げ、日々自分たちの様子をブログに更新し続ける伸也、残留孤児の親を持つムードメーカーのイズミ、そして この小説の主人公、陽介。この4人の関係がどのように変化していくか…特に誰にも知られたくない過去がありそうなマスターは?
ただ ひらすら歩く、荷物は途中で必要がないモノは捨ててしまい、身軽になった彼らは 修吾をマスターと呼び、テントを張って、ある時は神社で、駐車場で寝て、川や公園の水道で水浴びをし、時には温泉に入って旅をする。8月の炎天下、日本で最も暑い時期、ひたすら歩く彼らを描いた場面を読みながら、ちょっと前に読んだ奥田陸さんの「夜のピクニック」を思い出しました。全く違うストーリーですが、「歩くことは生きること、歩くことで人生の道は開ける」というメッセージは共通だな、と感じました。
ネットの中とリアルというか、現実とのバランス。この点も考えさせられます。目の前の景色を肉眼で見るより先に、デジカメの中に収める方が先、或は目の前にいる人をなおざりにして、ネットのレスに忙しい、となると…考えものですから。自分は大丈夫かな、とセルフチェックしてしまいました。
最後にもう一つ。先ほど、記事を書きながらTVの音も聞こえていました。クローズアップ現代、テーマは男性ホルモンの低下による男性更年期障害が増えている、という話題。自分と同じか1つしか違わない年齢の男性が出演していました。女性の場合は閉経前後、更年期症状が大なり小なりあるのですが、男性には女性ホルモンが元々少ない?ので更年期とは無縁だと思っていました。同じような症状が出るのですね…とはいえ、自分の悩みの種である偏頭痛は症例として上がっていませんでしたけど。多汗はあるようです。実際、これからの季節がより辛い…
そんな方にお勧めなこととして、「速足で歩く」「腕を組んで歩く(どきどき感を味わおう)」「人前で歌う」などが紹介されていました。私もウオーキングは、明るい内に帰宅できそうな場合、バスに乗らずに5キロ歩いて帰る、ということは実践しています。実際、気分が落ちた時、歩くと爽快になります。この小説の登場人物4人も、まさに歩いて精神的にも肉体的にも元気になった人達。明日のマーチ、更年期に悩む中高年男性にもお勧めの一冊ですよー 石田衣良さん、ありがとうございます。
PS まりりんちゃん、阪神、菅野相手に勝ったねー今頃、東京ではっぴいなことでしょう~ 私は丁度、その時刻はお仕事中でホークスが勝ったことも帰宅後、知ったのでした…明日も楽しんでね~