毎年、この時期になると、NHKが戦争に関する特集を組んでくれます。ここ数年で最も印象に残っているのは、米国大統領、トルーマンの日記でした。本当は原爆投下のようなことは、望んではいなかったのだ、と知る明るい資料として…。 また、ある特集では、日本人女性と結婚し、現在鹿児島で暮らす米国人が発見した祖父の写真を辿る旅が紹介されました。その米国人男性の祖父の役目は終戦後の日本の被害を写真に収め、軍に提出することだったようです。…がしかし、軍には提出せず、自宅に隠し持っていた写真が孫によって大量に発見されます。戦争体験について、一切、語らずにこの世を去ったという祖父。残された写真には、空襲で焼けの原になった街全体を写したものの他、日本の子供達の姿や、そこで出会った日本人一家の写真…。中にはちょっとはにかんだように一緒に日本人一家と写真におさまった彼の姿もありました。そこには米国に提出する資料としての写真ではなく、日本で暮らす人々に向けられた米国人の心の変化が垣間見られました。お孫さんも語っておられましたが、「最初は、ようし!米国がどのくらい日本に被害をもたらしたか、この目で確かめよう!と意気揚々としていたに違いない」と。しかし、日本の人々…特に子供達にカメラが向けられ始め、人として触れ合う内、生前、身内にも何も語れない程の心の葛藤、苦しみがあったのだろうと…。本当に辛く哀しい体験は、簡単には語れないものです。最後まで語れなかった彼が大量に残した写真。そこに、心の底から平和を望んだであろう米国人の心を感じました。平和とは…人と人、人がひとりの人として相手を見つめ、交流を深めることによってしか実現できないものなのかもしれません。戦争体験者でもない自分が何かを語ることが許されているかどうか、分かりませんが…。 祖父が残した写真を頼りに関係者を探し求め、旅を続ける米国人男性は、戦没者慰霊の前で涙します。「一度も会ったことがない方々だけれど…何だろう…」72年前、想像を絶することがこの日本で、アジア地域や太平洋で起こり、現在もなおシリアやアフリカを始め、あらゆる場所で戦禍が… ここ数日のNHK特集では、これまで公表されなかった米国側の新たな資料により、より詳しく日本列島全土にもたらされた被害の大きさ、それこそ「軍事基地や施設は勿論、日本の一般庶民全員、動くものはすべて焼き尽くす」と発言した米国側の意図が明らかになり、正直、身震いしました。米国が「大量破壊兵器を隠し持っている!」とイラクにしかけた戦争といい、終戦間際に人体実験のために異なる種類の原爆が落とされたことといい、「世界の警察官」の仮面をかぶった世界最悪の戦争仕掛け人、いや、国に思えてしまうのです。表立って挑発を繰り返す北朝鮮も、裏で仕掛けるこれまでの米国(軍)も、現在の米大統領トランプ氏も自分にはあまり変わらないように見えてしまい…。こうした感情的な「不信感」が「平和」を遠ざけてしまうのでしょうね。二国間で繰り広げられている威嚇の応酬も負の連鎖しか生みません。
事実は事実として、知っておくべきこともあります。この夏のNHK特集はまさに そういう内容でした。
「広島に投下され原爆ほど、長期間に渡り苦しむために開発された爆弾はない」
爆心地では多くの人々が即死。死因は「焼死」と「圧迫死」。 「圧迫死」初めて耳にする死因でした。校舎など建物の崩壊によって下敷きとなり、やがて戦火が広がり、長期間、苦しみながら亡くなって行った女学生達を知る女性が、当時の様子を泣きながら語っていました。「あの時、助けてあげられなくてごめんなさい。許してね…」と。言葉になりません…。胸が苦しくなります…
科学技術の進歩により、これまで知られることがなかった医学的なことも日本人医師や科学者によって明らかにされました。放射線を浴びた体内で、何が起こっていたか…皮膚にやけどを負うのみならず、血管の奥まで到達し、体内で血管を破裂させた爆弾。「生き残って帰って来れた」と喜んでいた父が突然吐血し始め、二週間後に亡くなった」 非人道的な原爆の悲惨さ、恐ろしさを実験結果も踏まえ、新たに知ったこと。日本政府は核兵器廃絶のための採択の席にすら着いてはいません。オバマ大統領が広島を訪問し、これから先はきっとよくなると信じた昨年の夏。一年後には、北が日本の都市名まで上げ、飛行ルートを上げるとは… 平和って何だろうね…と問われ、答えが見いだせない混迷の夏。お盆です…。
I took this pboto this morning at 7am. 秋の空になりつつあります…