『天才』 石原慎太郎

 

いやはや、色々と考えさせられました。観たばかりの『晴天を衝け！』もそう。志を成し遂げるためには…　手段を選ばない、とまでは言いませんが、ひのもと、日本のため、国のため、遂、先週、読んだばかりのフィレンツェ存亡の危機に直面した時も。

かつて、田中角栄総理大臣の金権主義を批判した若かりし頃の石原慎太郎氏が書いているから、余計に説得力がある”一人称小説”となっています。

子供のころ、我が家は（現在もですが）7時から９時はNHKニュース！と決まっており、嫌でもロッキード事件という単語が👂に入ってきました。当時の自分の認識は、ただ、総理大臣が何か悪いことをしたのだな、くらい。親と一緒にニュースを聞いていても、親や祖父母に、「どういうこと？」と質問しても、子供が分かるようには答えてもらえませんでした。それも　そのはず。今回、かなりの量を音読したのです。両親の前で。（コロナ禍にいけませんが、斜めに座り、顔を見ないようにして）

何も知らなかったのだ、ということが判明しました。恐らく殆どの日本人がそうではないでしょうか。日本の司法って、こんなんなの？　まるで今の韓国じゃ...　大統領を退任したら、裁判にかけられ有罪になる、お隣のようです。大きな違いは、ロッキード事件の場合、米国経由で日本に入ってきた、収賄の罪という米国に仕掛けられた罠にはまった、それに哀しいかな日本の司法がのっかった、マスコミも 三木総理も加担した、勿論世論も、ということでしょうか。　Toyotaなど、米国でトップに躍り出た途端、米国に叩かれる日本企業の様子は見てきたので、あの国がやりそうなことだな、とは思いましたが。

「つまり俺は彼等に嫌われたのだ。いみじくもあのキッシンジャーが言った　デンジャラス・ジャップからアメリカの利益を守るため、誰かに言わせればアメリカという虎の尾を踏みつけた俺を除くために、事を巧みに広く手を回してロッキード・スキャンダルという劇を展開させたのだろう。」（148ページ6~10行から抜粋）

この本を読み、ようやくロッキード事件の真相が見えてきた気がしました。

 

順序が逆になりますがー

石油ショック。私は幼児。でも、あの騒ぎは記憶にあります。資源がない日本。輸入を一国に偏っていてはだめだと認識した田中角栄は、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランドなどへ出向き、石油を確保出来るよう動きます。総理大臣になる以前から、所謂、Noといえる日本人だった田中角栄という男に、ニクソンの右腕だったキッシンジャーも驚いたでしょうね。こうした怨念が、あのロッキードへと繋がっていったのか...

ただ、

選挙に勝つため、当選者一人に3千万円渡していた、と聞くと、途方もない金額に　金権政治はいけません！　と今も思います。

が！　先見の明とやらがあった田中角栄には、資金を集め、（米国に遠慮して役に立たない外務省に代わって、田中角栄曰く！）政治家が　国家の未来のために金を動かす必要があった、と言われれば...。

未曾有の危機であった、戦後日本、石油ショック、そして今のコロナ禍。こういう時に必要なのは、田中角栄のような思い切った政策を打ち立て、実行できる人、でしょうね。何ページに記されてあったか、忘れましたが、面白いと思った台詞は、

「官房長官は、言いなりになる人が相応しい。自分も打診されたが断った。近くにいては（総理の）何もできない。離れていた方が行動しやすい」

これって、嫌でも菅総理の顔が浮かんでしまいます。この小説が書かれたのは、2016年ですが。今の状況を予言するかのようで。

 

面白いです、考えさせられます、『君主論』とも通じるところがあります。西洋東洋時代を問わず、同じことが言えるのかもしれません。

 

そういえば...　

初めて発注を任された時、企業のお金を使って買い物をし、（問屋さんから）商品を売る...GWなど、売れ筋商品に いつもの3倍発注をかけ、「勝負に出たね！」と上司に言われ、実際、多店舗はすべて売り切れ。ここだけ十分な在庫を確保し、儲かりました～という経験を初めてした時、（23歳でした）何ともいえない興奮を覚えたものでした。50万規模と、億（昭和）を動かす政治の世界とは違いすぎても、ちょっとだけ分かったような...

 

評価するなら、生きている内に...　遂、そう思ってしまいますが、歴史上の人物は誰もがそうですよね。

明日から超多忙なため、今夜は大河のあと読書、そして慌てて感想を書きました。誤字脱字、乱文、お許しを...　そして、恐らく　しばらくの間、ブログはお休みします。