具体的な薬効の個人差をiPS細胞で確認することが可能となる。そんな臨床データが報告されました(YOMIUIRI ONLINE)。目の難病の一つ「網膜色素変性症」の患者に投与されているビタミン剤は逆効果になる場合があることを、iPS細胞を使った実験で確かめたというものです。病気の原因遺伝子が患者によって違うためだそうで、こうした具体的な薬効の個人差をiPS細胞で確認するというのは他の病気でも可能性があり、iPS細胞の医療応用の一つとして注目されます。網膜色素変性症には、原因となる遺伝子が40種類以上見つかっているそうですが、根本的な治療法はありません。患者5人の皮膚からそれぞれiPS細胞を作製し、培養した視細胞がその機能を失って数が減るなど病態を再現したうえで、作製した5人の視細胞に、治療効果があるとされる数種類のビタミン剤を投与したそうです。その結果、2人はビタミンEで視細胞の減少を抑えられたが、残る3人は逆に細胞の減少が速まり、症状を悪化させることが分かったというもの。薬効のあった2人はいずれも「RP9」という遺伝子が欠損。害があった3人は、別の遺伝子に異常があったことが確認されているそうです。興味深いですね。
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