健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

日焼け止めがサンゴ礁を

2015-11-05 08:30:03 | 研究
日焼け止めに含まれる化学物質が世界各地のサンゴ礁に大きな被害を与え、その存在自体を脅していると警鐘を鳴らす研究結果がArchives of Environmental Contamination and Toxicologyに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。この化学物質は「オキシベンゾン(ベンゾフェノン-3、BP-3)」で、世界中の3500以上に及ぶ日焼け止め製品に含有されているそうです。オキシベンゾンは、海水浴客らや沿岸の汚水処理システムから排出される廃水によって海水に混入するそうです。論文によると、紫外線遮へい効果を持つオキシベンゾンは、サンゴのDNAにダメージを与えるそうです。その幼生に「著しい奇形」を発生させ、さらに外因性内分泌かく乱物質(通称、環境ホルモン)として作用するそうです。この作用により、サンゴは自身の外骨格に閉じ込められ、死に至ると。そして、さらなる懸念として、オキシベンゾンが62pptの低濃度にまで高度に希釈された場合でも、その有害性が科学的に観察できることが今回の研究で判明。62pptは、オリンピック競技用プール6個半中の水滴1滴に相当するそうです。米国Hawaii州と米領Virgin Islandsのサンゴ礁近海では、これよりはるかに高濃度のオキシベンゾンが検出されているそうです。これら海域での値は800ppt~1.4ppm。論文によると、この値はサンゴに影響を及ぼすのに必要な濃度の12倍以上。試算によると、年間6000~1万4000トンもの日焼け止めクリームが、サンゴ礁海域に排出。オキシベンゾンは、日焼け止めクリームの1~10%を構成。しかし、サンゴ礁がすべて遊泳海域近くに位置しているわけではないので、日焼け止めの害にさらされる危険性が高いのは、全世界のサンゴ礁の約1割と考えられるようです。
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