先日、熊本の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザが確認されたと報道がありました(YOMIURI ONLINE)。さらに、こうした強毒性の鳥インフルエンザウイルス「H5N1」の遺伝子が5か所変化すると感染しやすくなるとの研究成果をが、セルに発表されたそうです(YOMIURI ONLINE)。人と同じ哺乳類で、インフルエンザの症状も似ているフェレットを使い、ウイルスの遺伝子を意図的に変えて感染力の強さを比べた結果、ウイルスを効率よく増やすことなどに関係する5か所に変異が起きると、フェレット同士の感染力が高まることがわかったというもの。人同士の感染拡大が心配されるH5N1の監視に役立つ成果だそうです。
トマトに含まれる成分に「トマチジン」という物質があるそうですが、このトマチジンが骨格筋萎縮を抑制するという研究成果が発表されました(Journal of Biological Chemistry)。この雑誌は生化学分野では、定番の国際誌です。ヒト骨格筋萎縮時に増加および減少する遺伝子から、骨格筋萎縮を抑制する遺伝子を予測し、その遺伝子は配列に見合う天然化合物を探したところ、トマトに含まれるトマチジンが該当したそうです。そして、このトマチジンを培養骨格筋に投与すると筋細胞の肥大が認められ、タンパク合成系のAktやS6キナーゼのリン酸化(活性化)が認められたそうです。マウスにトマチジンを投与すると筋細胞の肥大が観察され、筋力増加も認められたそうです。絶食による骨格筋萎縮時にトマチジンを投与すると骨格筋の萎縮が抑制されたそうです。また、湖底による骨格筋萎縮後の再稼働による回復時にトマチジンを投与すると回復が早くなったそうです。不思議ですね。
ちょっと驚きの研究結果です。アルツハイマー病の予防にカフェイン摂取が効果があるとする説を補強する実験結果が先日発表されたそうです(AFPBB NEWS)。アルツハイマー病患者の脳細胞の働きを妨げるタウタンパク質を生成するよう遺伝子操作したマウスを使って実験を行い、10か月にわたってマウスの飲料水に1リットルあたり0.3グラムの微量のカフェインを投与。このカフェイン量は人間が1日あたり2杯のコーヒーを飲むのに相当する量だそうです。その結果、カフェインを与えたマウス群と与えなかったマウス群とを比較したところ、カフェインを投与したマウス群は、記憶、タウの凝集、そして脳細胞の炎症という点で影響を受けにくかったというのです。これまでの研究で、少量のカフェインを定期的に摂取する高齢者は認知低下を起こしにくいことが確認されていたそうです。またアルツハイマー病と関連のあるアミロイド斑を形成するよう操作されたマウスを用いた実験では、カフェインが記憶力の低下を鈍化させることも分かっていたそうです。
ちょっと変わった話題を1つ。レストランの口コミサイト利用者による採点と評価は、天候や季節、書かれた場所にも影響を受けている可能性があることが研究で明らかになったそうなのです(AFPBB NEWS)。2002年~2011年に投稿された、米国のレストラン84万店に対する評価110万件以上を調べた結果、料理や価格、サービスの質などに加え、書かれた日の気温、天候(雨や雪)、季節、所在地の人口統計なども評価に影響を与えていることを突き止めたというものです。雨の日に書かれたレビューに評価が低くなる傾向がみられ、逆に高い評価の多くが気温21度~38度の日に書かれたものだったというのです。ですが、この傾向は夏の数か月には変則的な動きをみせるとも。7月と8月は評価の投稿数が際立って多くなるものの、評価自体は低いものが目立つそうです。また、11月に高い評価が多く投稿される傾向もみられたそうです。低い評価は「7月」および「8月」の「雨の日」に「郊外」で書かれる可能性が高いというのです。日本ではどうなのでしょうか。
米国文献情報会社トムソン・ロイター日本法人が、過去10年あまりに各学術分野で大きな影響を与えた論文の日本の研究機関ランキングを初めて発表したそうです(毎日新聞)。2003年1月~2013年10月に発表され、引用数が世界ランキングの上位1%に入る論文(高被引用論文)の数を研究機関別に集計。トップ10には6大学が入ったそうです。発表した全論文に占める高被引用論文の割合は、独立行政法人の科学技術振興機構と理化学研究所が1、2位を占めたとも。国別の順位では、日本は米国、ドイツ、英国、中国に次ぐ5位。国内順位は、(1)東大(2)科学技術振興機構(3)京都大(4)大阪大(5)理化学研究所。ちなみに、理化学研究所の小保方晴子・研究ユニットリーダーらが手掛けたSTAP細胞論文は、総合科学誌では引用回数がトップの英科学誌ネイチャーに掲載されています。
変形性関節症の症状緩和を目的とする栄養補助食品「グルコサミン」により、実験用マウスの寿命が1割近く延びたとする研究論文が、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載されたそうです(AFPBB NEWS)。マウスの1年ということは、人間では約8年寿命が延びることに。グルコサミンは自然に分泌される化合物で、関節の周囲を満たしている潤滑流体に含まれている。また、最も一般的な関節炎である変形性関節症に効果があるとされ、栄養補助食品としても広く市販されていますね。ただ、その有効性に関する研究では、まだ明確な結果が得られていません。まず、線虫にごく少量のグルコサミンを与えると寿命が約5%延びることを確認。次に、約2歳のマウス(人間の年齢ではおよそ65歳?)に投与したところ、投与されないマウスに比べ、平均で10%長生きしたというのです。グルコサミンには、大きな糖の分子が小さな分子に分解されるのを抑える働きがあり、炭水化物の摂取を制限する「低炭水化物ダイエット」と同様の効果が示されたとも。この効果がマウスの寿命延長にどう影響しているか、またこのメリットが人間にも及ぶかどうかを確認・説明するためには、さらなる研究が必要だそうです。確かにそうですね。
子どもの脳腫瘍にみられる遺伝子変異によって、致死性のがんと闘うための興味深い道が開けたとする、3つの論文がネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)で発表されたそうです(AFPBB NEWS)。遺伝子の変異は、ACVR1と呼ばれる遺伝子で発見されたそうです。ACVR1は、小児期の脳腫瘍の一種「びまん性内在性橋グリオーマ(DIPG)」に関与しているとみられるそうです。脳幹に発生するDIPGは、小児脳腫瘍の中で最も悪性度が高く、脳幹は生命維持の中枢であるため、DIPGを手術で安全に除去することは不可能ということです。DIPGの生体検査の20~33%でこの遺伝子変異が確認されたそうです。ACVR1の変異型はこれまでにも、全身の筋肉と腱が次第に骨組織に変化して硬化する「進行性骨化性線維異形成症」で確認されていたそうですが、がんでACVR1遺伝子が特定されたのは今回が初めてだそうです。いろいろなことが明らかにされていきますね。
英国人における野菜と果物の推奨摂取量を、さらに増加させるべきであるとの研究結果が発表されたそうです。その研究成果を受けて、英国人たちは意気消沈し、一部はパニックを起こしているというのです(AFPBB NEWS)。英国人たちは過去10年間にわたり、健康な食生活のためには1皿80グラムの野菜・果物を5皿分(400グラム)食べるべきとする英国民保健サービス(National Health Service、NHS)の推奨を、達成すべく努力してきたそうです。しかし、がんと心臓疾患のリスクを低減するためには、1日の摂取推奨量を、7皿(560グラム)に増やすべきという研究成果が報告されました。もちろん、この推奨は英国人を対象としたものです。英国は心臓疾患の有病率が欧州で最も高く、高脂肪、高糖分の食事がその原因の一端とされているそうです。しかし、NHSのデータによると、現状の1日の推奨量である5皿分を摂取できている成人は全体のわずか4分の1程度で、推奨量を達成している人は10人に1人という調査もあるそうです。英国人は、果物と野菜を好まないというのです。本当でしょうか?
下半身不随患者の失われた神経機能回復を助ける下部脊髄への電気刺激の技術にさらなる進歩がみられたとの研究報告が発表されたそうです(AFPBB NEWS)。この技術は3年前に1人の患者に対して慎重な試験が行われた後、交通事故で下半身不随になってから少なくとも2年が経過した別の若い男性患者3人で臨床試験が行われてきたものだそうです。論文によると、下部脊椎の神経束に電気刺激を与えるための電極を移植された患者らは、自発的に膝を曲げたり、腰や足首、つま先を動かしたりできるようになったとそうです。患者4人は、歩行こそできなかったが、この目標に向けての重要なステップとなる「体重の一部を自分の力で支えること」はできるようになり、快適な生活という面で「劇的」な改善を経験したということです。また、患者のうちの2人は、両下肢のまひだけでなく、下半身の感覚喪失との診断も受けており、回復の見込みはなかったとも。この電極移植術は、リハビリ療法と並行して行われるもので、脊髄ネットワークに神経機能を習得・改善させるために必要な電気刺激量を時間とともに徐々に小さくすることを目的としているものだそうです。被験者には、筋肉量や血圧の改善、疲労の軽減などのさまざまな副効用も認められたそうです。
1滴にも満たない、ごく微量の血液検査で早期大腸がんを見つける診断方法が開発されたそうです(YOMIURI ONLINE)。大腸がん細胞が分泌する特殊な血液中の微粒子を発見し、これを3時間以内に検出する方法を開発したというもの。早期大腸がん患者194人の血液で調べ、大腸がんにこの微粒子が約50%の割合で検出されたそうです。健康な191人の血液からは全く検出されなかったとも。現在の大腸がん検診では、便に含まれる血液を調べていますね。ですが、実際にがんが見つかる確率は低いそうです。この新たな診断法は血液だけですみ、より精度が高く、患者に負担が少ない検診になりうるそうです。数年後の実用化を目指しているとも。