米合衆国の SNS大手「フェイス・ブック」の、大規模なユーザー情報流出事故が 国際的な問題になっている様だ。全世界の使用者総数は 10億とも 20億とも言われ、その故か 流出事故規模も桁違い。しかも、情報保安(セキュリティ)保持に甘いとされる 我国の主要企業や行政組織などにとっても、看過できない問題のはずだ。以下、全国紙 NK新聞電子版記事を引用して、世界的にも影響の大きいこの問題を見て参ろうと思う。
「データ独占に募る不信 フェイスブック、米で規制強化論」
米フェイスブック(以下FBと略す)が保有する、5千万人超のユーザー情報が 不正に外部に流出した。自社の管理が及ばない 第三者の規約違反だとして FBは責任を否定するが、知らぬ間に個人情報が悪用され得る データ管理の脆(もろ)さを露呈した。大量のデータを駆使し 存在感を示す「プラット・フォーマー」に対する規制強化の動きが 米国でも加速しそうだ。
問題は、米紙 N,Yタイムズと 英紙ガーディアンの 3/17付の報道で発覚した。英データ分析会社 ケンブリッジ・アナリティカが FBのユーザー・データ約 5千万人分を不正に取得したというもので、このデータが 2016年の大統領選で トランプ候補(当時)に有利に働くよう活用された可能性があるという。同社の設立には、トランプ氏の側近だった 元首席戦略官 スティーブ・バノン氏が関与していた。トランプ候補の陣営は、実際に同社を 選挙時に雇っている。
FBは 今回の問題を、自社の不手際ではないと主張する。2014年に ケンブリッジ大心理学教授のロシア系米国人 アレクサンドル・コーガン氏が 学術調査のの目的で 同社と正式に契約した上で、ユーザーへのアンケートを通じて集めたものだ。同社は、調査目的のデータ・アクセスを認めている他、アカウント作成時にも ユーザーにその事実を伝えている。だが、コーガン教授は データを同社との契約に違反してケンブリッジ社に横流ししたとされる。FBは 2015年にこれに気付き データの消去を求めたとされるが、N,Yタイムズ紙は「データは最近まで存在し、実際に閲覧できた」としている。
コーガン氏とケンブリッジ社の関係や、実際に大統領選で データが使われたかなどの詳細は明らかになっていない。ただ (少なくとも)5千万人分という膨大なデータ量と、それが選挙介入に使われた可能性があるとの事実が相まって、米国内で 巨大デジタル企業への規制論が再び強まっている。
FBに過失はないのか。今回の問題点は、まず日本や欧州には 個人情報保護に関する厳しいルールがあるが、米国には包括的な法律がない所だ。企業は、個別の契約などで 個人情報の扱いについてを定めることになっている。
ただ 調査目的でのデータ取得について契約した教授が、契約に違反して外部に流用した。東京大学の 生貝直人客員准教授は「FB自身に悪意がなくても、悪意ある第三者が関わったときに、何が起きるかを考える責任が同社にはある。無防備だったとの批判は強まる」とみる。
データが大統領選で利用された可能性がある点も問題だ。本人も意識しない内に 特定候補への投票を誘導されるような情報操作を受けることについて、個人情報保護に詳しい 板倉陽一郎弁護士は「米国では、広い意味でのプライバシー侵害として 社会問題化している」と指摘する。巨大なデジタル企業が 膨大なデータを抱え、周辺企業がそれを利用する「データ経済圏」が増殖する。今回の問題は、その世界で生き始めている企業や個人にとって、大きな分水嶺となる。(引用ここまで)
規模や形こそ違え、我国も 同様の問題に直面しているのは事実だろう。つい先日も、霞ヶ関の中央省庁が サイバー攻撃の標的にされ、約2000人分もの 関係各位の情報が流出したと言われ、その少し前に生じた 仮想通貨取り扱い企業の、数百億円に上るインターネット上の大損失も記憶に新しい。特記 すべきは、前述 2件をはじめ 多くの事案で被害に遭った側の危機感がまだ希薄な事だろう。最近は、主に企業向けの接続機器ルーターを狙った攻撃も増えていると聞く。これらITの芳しくない問題も、しっかり向き合って解決の方策を考え 実施をお願いしたいものだ。今回画像は、昨春訪ねた 三重県下の JR名松線沿いいに咲く 桜花の様子を。