線翔庵日記



おまつり、民謡、三絃、名水、温泉、酒、そして音楽のこと…日々感じたことを綴ります。

津軽おはら節

2006年12月28日 12時08分26秒 | 民謡
津軽民謡でも三つ物というと、じょんがら節、よされ節、おはら節をさす。これらに三下りとあいや節を加えて、津軽五大民謡と呼ぶ。これらは、津軽の歌い手さん達が年月をかけて磨き上げた名曲の数々だ。

この頃、久しぶりに浅利みきさんのCDを出して聴いてみた。浅利さんは津軽民謡の大御所。わたくしが初めて津軽民謡を聴いたのは、浅利さんのあいや節だった。それ以来、津軽民謡といえば、浅利さんのイメージが大きい。

そんな唄の数々のなかで、やはりいいなーと思ったのは、「おはら節」だ。浅利さん自身は、何テイクも録音されているが、わたくしがいいなと思うのは、この「名人芸」シリーズに入ってるものだ。

♪アー哀れ浮世の習いとて 人の運命(さだめ)は常ならず 栄華誇りし平家とて   はかなき夢と滅びたり

♪アー三日見ぬ間の桜花 月に影さす群雲や 小野小町の身の果ては 雪の野末で   吹きさらす
 
♪アー暗い夜空の流れ星 キラっと輝き消えていく 私の思いもあのように 燃え   て短いひとときよ
     
    ほんに切ない オハラ 恋心

このテイクは、キングレコードのドーナッツ版の、民謡お国巡りシリーズに入っていたものと同じだ。三味線はもちろん木田林松栄。
同じ歌い手で同じ曲でも、録音によっては随分感じが変わる。伴奏者、年齢、時期等、様々な要素から、雰囲気が変わり、それぞれがおもしろく、個性的なのが特徴かもしれない。

この浅利さんの唄は、淡々と詞を語るのではなく、「聴かせる!」という芸人の魂のようなものを、このテイクからは特に感じる。以前、ラジオで浅利さんのインタビューを聴いたが(…かなり前!)、自分が歌う唄の節は、毎回ちがうのだ、唄は生き物だ…というような内容の話をされた。浅利さんみたいな歌手も少なくなってしまった。

この「津軽おはら節」最高!
コメント (2)
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