線翔庵日記



おまつり、民謡、三絃、名水、温泉、酒、そして音楽のこと…日々感じたことを綴ります。

富山県民謡民舞大会

2009年11月29日 23時06分02秒 | 民謡
富山県民謡民舞連盟主催による「ふるさと民謡民舞まつり」があった。会場は射水市「高周波文化ホール」。そのためにいきなり、新湊の「定宿」を2連泊で予約して、出かけてきた。ETCつけて初めての富山行き。1,000円ならどこまででも行っちゃうぞ!という感じで、ず~っと高速で出かけてきた。

会場のホールは、射水市三日曽根。客はどれくらいか予想できなかった。満席にんっちゃうのかな?等と思いながら、12:30開場、13:00開演ではあったが、12:20には会場入りした。

この会は、富山県の民謡民舞を伝承している団体(ほぼ保存会だが…)によるものだ。たくさん出るので、ワクワクだ。

まず越中五箇山民謡保存会から。
「といちんさ節」「お小夜節」「五箇山追分節」。民謡ファンならば、五箇山の曲は魅力だ。「といちんさ」って、いいメロディだと思う。「追分」も信州から、富山・五箇山まで伝わったんだ~と思うとしみじみ。踊りも素朴な感じで、ステキだ。
 
続いて、立山町から「米道踊り」。これはあまり音源は出ていないが、自分は随分前にラジオで聴いたことがあった。新潟の「おけさ」の流れであるという「おけま」がまず演じられた。
♪おけまヤーおけま踊るなら 板の間で踊れヨ
 板の響きで サーマ 三味ゃいらぬ
という歌詞で、おけさ系ながら、ハイヤ節の「サーマ」が残っている。
とっても小さな子どもが一生懸命踊っていた。可愛かった~。

さて次は「氷見網起し木遣り」。鰤など魚で知られた氷見の唄。これは木遣りだけに、伏木の「帆柱起こし」に似たメロディ。なかなかカッコイイ。 

続いて、自分のお気に入りの1つ「新川古代神」。踊り付きで楽しい。最初は、暗くした中から提灯踊りからスタート。松明踊りを期待していたが、やはりホールでは無理なのかな?そして、扇子の踊りやたすきの踊りなど、なかなか面白い。
 

次は、高岡市から「伏木帆柱起し祝唄」。普通に聴く唄の前後に、無伴奏で高らかに歌い上げる部分があった。やはり名曲だ。
  

その次は、黒部市の「新布施谷節」「正調布施谷節」。「新~」は初めて聴いた。三味線、尺八、太鼓付き。「正調~」は、大好きな1曲。でも難曲でもある。いい唄だ。

続いて、魚津市の「せり込み蝶六」。これも「新川古代神」と同じく、テンポの速い踊りが面白い。唄はCD等で3分程度の収録では入ってない部分が聞こえた。そして最後は「めでた節」だった。これも楽しい。
 
 
次は小矢部市の「打込み源氏太鼓」。民謡ではないが、木曽義仲の伝承になぞらえた太鼓の曲。なかなか勇壮だ。バチをふりあげる動きがカッコイイ。

続いて、城端の「麦屋節」と「古代神」。紋付き袴の男性の笠踊りは、よく画像で目にするが、実演を見るのは初めてだ。端正でカッコイイ踊りだ。白いたすきに手っ甲、白鉢巻であった。
 
次は「夜高太鼓」。現在は南砺市だが、旧・福野の「夜高祭り」の再現で「夜高節」が歌われ、後半は祭りの行燈が担がれる中、太鼓が打たれた。それにしても、「夜高節」を歌った方、相当高い声を張っていた。さすが富山だ~と思った。ヨイヤサ~ヨイヤサ~♪

さて、再び黒部市から「しばんば踊り」。「柴姥」とも書くこの唄は、柴を刈る老女という意味らしい。これは…不思議な唄だと注目していた。音階が「ラ・ソ・ミ・レ・ド」と下行する感じが、何とも大陸的。いわゆる民謡音階ではなく、雅楽で使われる律音階の感じがする。古い唄のような気がする。
♪波に流れた 新治村が 今は生地と 名が変わるイヤー

次は民俗芸能から、黒部市の「明日(あけび)の稚児舞」。これは法福寺の春の行事で、4人の稚児が舞う。自分は10数年前に1度、そして一昨年に見に行った。お祭りのときと同じく、肩車された稚児が客席から登場した。寺の舞台は視線よりも高いのだが、今回はステージだったのでよく見えた。

次は、高岡市の「なき荷方節」だ。
♪アー富山浄瑠璃 金沢謡 間の高岡 なき荷方
という歌詞がよく知られているが、泣きながら「荷方節」を歌ったものという。なかなか難しい曲だが、面白い。ちなみに胡弓も入っていた。

続いて、五箇山の麦屋節保存会のステージ。
「麦屋節」の笠踊りから始まり、小谷の「早麦屋節」「古代神」「四つ竹節」「小代神」「文句入り麦屋節」「長麦屋節」…と、たっぷりと演じられた。「古代神」と「小代神」とが演じられた。どう区別されているのだろう…まだまだ自分は勉強不足だ。やはり、地元の演奏を聴かないと分からないことが多い。
 

次は、小矢部市の「願念坊踊り」。いわゆる住吉踊りになっていく「願人節」で、伊勢音頭系の唄という認識でしかなかったが、今日は「六法」「おいらさん」「吃又」「お客さん」「小太臣」といった演目があるとは知らなかった。

素朴なのだが、メロディがやはり「端唄」のような粋さを感じた。また「小太臣」は、富山の「古代神」よりも、十日町市の「新保広大寺」の元の唄に近い感じがした。しかし、富山は多彩だ!

そして「越中おわら節」(画像)。これだけ民謡ファンを自称してるくせに、「おわら」の生演奏を聴いたのは、実は2回目。やっぱりナマがいいね~。胡弓の響き、三味線の音…そして、あの高調子の唄はスゴイの一言だ。

また踊りも、黒い法被の男性と、ピンクの着物の女性のそれぞれの踊りが披露された。やはり、踊りも洗練された感じでよかった。たっぷりと堪能した。

次は、地元・新湊から《新湊めでた》。

これは自分もカセットテープをもっていたが、これだけの大合唱は初めて聞いた。かなり愛好者がおられるようだ。解説では「まだら」であるという。謡曲のような雰囲気もある。

そして最後は、射水市、旧・下村の「加茂神社稚児舞」だ。これまた、明日と同様、民俗芸能だ。やはり客席から肩車で登場。

ここの稚児舞も、懐かしい。学生時代に2度ほど見に来て以来だ。10数年振りだ。メロディとか忘れてるな~と思ったが、部分的に「あ!このメロディ!」というところがよみがえってきた。

午後1:00から始まって、終わったのが午後5:40頃だった。4時間半に及んだこの企画は、自分にとっては短いな~という感じだった。とてもいい一時だった。そして富山の凄さを再認識した。また機会があったら、来たいな~と思った。
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現代の三味線コンサート

2009年11月21日 23時59分28秒 | 音楽
 上越市高田・町屋交流館<高田小町>で、「現代の三味線コンサート」があった。演奏は現代邦楽の三味線演奏家・野澤徹也さんのソロを中心に、浅野藍さんとのデュオで、すべて三味線のために書かれた現代作品をそろえた演奏会だった。

 会場である<高田小町>は、雪国・越後の風情ただよう雁木通りに面したところで、高田の旧家を活かした交流スペースだ。奥に深い町屋の一部屋といった会場での演奏された。

 まず1曲目は、水野修孝作曲『ソロ三味線によるパッセージ三章』。この作品は、3度や6度の重音を多用している。伝統的に2本の弦を同時に押さえることはあまりないのだが、それを感じさせず面白かった。3楽章からなり、それぞれ特徴的な雰囲気があり、それぞれを弾き分ける凄さ!

 続いて、杵屋正邦作曲『花簪』。杵屋作品は邦楽を嗜む者には素直に耳馴染むものが多い。これは地歌三絃二重奏曲で、地歌駒と津山撥に持ち替えての演奏。1曲目とはガラリと雰囲気が変わって、地歌の「作もの」のような軽妙な雰囲気だ。同じ楽器でも駒や撥が変わるだけで、音楽の雰囲気が変わるのが面白い。

 そして前半最後は、三木稔作曲『奔手』。三味線独奏曲だが、今回最も楽しみにしていた曲だ。三木作品も伝統邦楽の雰囲気を醸し出すのだが、この曲はかなり斬新な曲だ。調弦が伝統的なものでなく、増4度と減5度の音程。曲が始まると、冒頭の不安定な響きが聞こえてきただけで、曲に引き込まれた。これにも二と三の弦を同時に押さえるところがある。高い勘所からポルタメントするところが演奏を目の当たりにして感動。途中、撥の下方を棹のところで擦る奏法があるが、CDだけでは分からないところ。シュシュッという音は、実際はこうやって音を出しているのか…ということが分かるのも生演奏の醍醐味だ。
 そして調弦を二上りにしてからが、最も聴き応えのする部分。記譜ではアルペジオになっているところが、特に野澤さんは1音1音がていねいだ。そして曲の最後は、16分音符で二と三の絃を行きつ戻りつするような手は伝統的な動きではない。そして最後に急降下してくるところは、見ながら聴いている者にはもう唖然。野澤さんはクールな顔をして弾き切るが、あのフレーズは圧巻だ。


 休憩を挟んで、後半は、玉木宏樹作曲『ジャワリ』。CDでソロバージョンで聴いたことがあるが、今回は浅野さんとの二重奏だ。やはり2人で弾かれると、ステレオのように響きが立体的に聞こえて面白い。「ジャワリ」とは「サワリ」のインド語らしいのだそうだが、三味線独特のギーンギーンとした倍音の共鳴が心地よい。

 そして沢井忠夫作曲『誦』。違いの分かる男・沢井忠夫の箏曲作品は自分も大好きなのだが、三味線の曲も結構あるようだ。この曲は、やはり三味線演奏もされる作曲者ならではの手の動きが、よく活かされているように思った。楽器は地歌用の撥と駒で演奏されていた。安定した響きで、新鮮な感じなのだが、しっとりとした雰囲気のこの曲も、もっともっと演奏されるといいなと思った。

 そして最後は佐藤容子作曲『躍心』。これは初めて聴いた。2008年の作品だそうで新しい。とにかくリズムが面白い曲だなと思った。やはり掛け合う部分が立体的に聞こえてくる。そして刻まれるリズムは、力強く打ち込まれるような音で、やはり三味線の打楽器的な音だということを再認識したような感じだった。この曲も長く演奏されるといいなと思った。


 1時間半弱の演奏会。三味線だけでこんなに聴けることは、あまりないと思う。しかも、現代邦楽の世界のまさに最先端の音楽ばかりだった。

 野澤さんの演奏を聴くのは、今年は3回目。普段はCDで聴くだけなのだが、生演奏の醍醐味は、やはり野澤さんの卓越した演奏技術を目の当たりにして、豊かな表現力を会場の空気とともに感じてこれることだ。

 会場の高田の町は、奇しくも越後瞽女の本拠地であったところ。

 かつて雁木通りを三味線を抱えて瞽女さんたちが歩いていたそうだ。そんな高田の町には三味線が似合うような気がする。
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三味線コンサートを聴きに上越へ!

2009年11月21日 23時21分19秒 | 音楽
今日は、新潟・上越市へ出かける。野澤徹也さんの三味線コンサートがあるのだ。
11月ということで、雪が心配だ…と、先週にはスタッドレスタイヤにはきかえ、遅くなるとやだな…とホテルとって、宿泊してしまおう!ということで、準備万全で出かけた。

今回は高田の雁木通りに面している町屋を手直し、再生した、町家交流館「高田小町」が会場。上越に住んでいた者には、懐かしい感じ。

午前中に上田を出る。結構いい天気。しかし、だんだん北上するにつれ、曇ってくる。そして飯山あたりから小雨。新潟に入ると、予報通りの雨。
お昼はどうしようかな?と、久しぶりに妙高高原駅前のそば屋「加藤」さんへ。ここは、学生時代にここらへんを行き来していたとき、よく立ち寄った。

いつも食べていた「大盛りそば」530円!変わらない味だな~。懐かしいおそばだ。

さて、雨は随分ひどくなる。しょうがない、買い物でもして時間をつぶそう!と、本屋やCD屋さんなどの集まるショッピングセンターみたいなところへ行った。
CD屋では、先頃亡くなられた小山清茂さんをしのんで、吹奏楽曲のCDがあったので、つい購入。その他、いろんな買い物をして過ごす。

その後、新潟に来たら地酒だな!と、酒屋さんへ。日記にもブックマークしていただいている立原酒店さんへ寄ってみた。ご主人もいらっしゃり、初めてお話させていただいた。いつもくだらないコメントをさせていただいているのだが、こうしてお目にかかると不思議な感じ。ここで上越地方の「かたふね」と「千代の光」をいただく。

とにかくどしゃ降り。いろいろ出かける気持ちが萎えてしまい、ちょっと早い時間であったが、駅前のホテルへチェックインして一休み。


さて、3:30をまわったころ、演奏会場である高田小町へ向かう。

演奏会は4:00から。
こぢんまりとした会場だが、三味線を聴くには手頃な広さだ。

さて、野澤さんの演奏が始まる。

■水野修孝作曲『ソロ三味線によるパッセージ三章』
■杵屋正邦作曲『花簪』
■三木 稔作曲『奔手』
■玉木宏樹作曲『ジャワリ』
■沢井忠夫作曲『誦』
■佐藤容子作曲『躍心』

すべて三味線だけのプログラム。詳しくは、次の日記へ!

6曲のプログラムだったが、あっという間に時間が過ぎていった。とても心地よいひとときであった。


さて今日は久しぶりに高田泊まり。駅前のホテルをとったので、これは仲町あたりへ飲みへ行こうかな!?などと思っていた。ところが野澤さんとスタッフさん、地元・上越のスタッフさん達の打ち上げに、自分もお誘いいただき、厚かましくも参加してしまった…。

上越だけあって、刺身とかお寿司があってうれしかった。それに地酒がいろいろあって楽しかった。

久しぶりに見かけた「雪中梅」の1升瓶。オバカにも写真撮ってみた(恥)。

飲みながらであったが、野澤さんから三味線のお話を聞くことができた。現代三味線への立ち向かい方、音へのこだわり。形からではなくて、まず音なんだな…ということにプロの凄さを感じた。

楽しく過ごした高田の夜。雨はしとしと…まさに城下町の風情は、雁木通りの雰囲気は、自分が住んでいた頃と変わりない。11:00過ぎにホテルへ戻り、休んだ。



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消え去れ!インフルエンザ!

2009年11月17日 22時11分04秒 | 日々雑感
まったく、どうしようもない新型インフルエンザ。
新型でも旧型でも何でもいいんだけど、どうしようもないな…。

幸いなことに自分は、今のところ何ともないのだけど、職場は大変だ。
職場内だけでも大変だが、そのご家族がインフルエンザだと、ご当人も休まねばならなくなる。しかも、インフルエンザと判定されると、しばらく来られなくなる…。

まあ、やむを得ないが、いろんな仕事もまわってくることはくる。もちろんお互い様なので助け合うが、自分自身がインフルエンザになったら、どうなるかなあ…などとも思ってしまう。

いろんな行事やプロジェクトも中止になる。今年だけのことで終わるのだろうか。
まったくどうしようもない。



取りあえず、自分は大丈夫だが…。やっぱり心配だ。

 
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新川古代神CD購入!

2009年11月11日 22時58分22秒 | 民謡
富山県の民謡で大好きな曲の1つが、滑川市の《新川古代神》だ。
いろいろ検索していたら、地元からCDとなって登場した。20年ほど前の録音だそうだが、これをデジタル化して発売となった。

 
早速ネット注文したところ、今日届いた。唄は保存会長・野末文博氏の演唱。

この《新川古代神》は、文字通り、新潟の《新保広大寺》の伝播したもの。テンポが速く、また歌詞も口説調でおもしろい。魚津市の《せり込み蝶六》と同様、チョンガレ節の部分、古代神の部分とに分かれ、組曲というかメドレー風なものになっている。

三味線・太鼓に、富山らしく胡弓も入っている。

今回のCDは「愛本口説」がメインだった。たっぷりと収録されていて、なかなかいい。
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