今年もこの日が来た。新潟県糸魚川市、能生白山神社の祭り。昨年は行くことができなかったので、今年は2年ぶりの訪問だ。
朝、4:30a.m.頃、自宅を出発。まだ薄暗い感じ。だんだん夜も白々と明けてくる。昨日は雨が降っていたので心配したが、今日はいい天気になりそうだ。途中、朝食を買って車中で食べる時間以外は、ほとんど高速で突き進む。
能生には6:50a.m.頃に到着。早速、登社の行列が出る公民館へ行く。そこで知人に会い、ごあいさつ。
さて定刻通り、7:30a.m.に「三番貝」の法螺貝で出発する。能生の古い家並みを行列が行く。
境内に着くと、諸行事が始まる。舞台上での「修祓」、拝殿前での「七度半の使い」。今回はなるべく、今までにいたことのない位置で見よう!と考えていた。今年は初めて、拝殿内から使いの様子を見学した。
さて、獅子舞の登場。時刻は9:00a.m.頃。これがなかなかかっこいいんだな。結構お気に入りの瞬間。それで、午前中のメイン「御神嚮(ごじんこう)」のスタートだ。
延々と続く獅子舞は、なかなかキビキビとした動きであるが、その歩みはスロー。これで昼過ぎまで続くのだ。
この間、デジカメ撮ったり、境内にいる知り合いとしゃべったり…。それから楽屋へ行って、楽人会の方と久しぶりにお目にかかり、御神酒を置いてくる。「や~よく来なったねえ。まずは一杯!」といった歓待を受ける。
さて、2時間ほど過ごして、いつも通り、能生のラーメンの有名店へ行って、早昼飯。ここでも店主とごあいさつ。今日はチャーシューめんをすする。
いよいよ「お走り」を待つ。時刻は12:00a.mをまわったところ。全体にやや進行が遅い感じ。そして、走る準備になる。

稚児も袖をまくり上げられる。獅子も油単を身体に巻く。その他の人々も袴の裾を上げて、走る準備。いつものことだが、この独特の緊張感がたまらない。境内にいる人々は、ドキドキしながら待つ。
走った!
いつもながら、これが見どころの1つ。静と動とはよく言ったものだ。爆発的エネルギーで、境内は興奮のるつぼとなる。
さて、その後「供餞進」「黙礼式」「大祭」の後、いよいよ「舞楽」となる。
まず《振舞》。白い装束の稚児2人。
続いて、稚児4人の《候礼》。
そして3番目は人気の《童羅利》。一番小さい五の戸。

最後に「赤目」をする舞として知られている。
続く《地久》は、稚児4人舞。最も格の高い舞。
そして《能抜頭》。初めての大舞。赤と黒のストライプがかなり鮮烈な印象。
そして、もっとも長い稚児舞の《泰平楽》。鉾や太刀など、いろいろなものを手に採る。
そして大舞2人の《納曾利》、矢を放つ《弓法楽》と続いていく。
いよいよ一の戸の最後《児抜頭》。これは本当に美しい。紫色の上衣。そして今年の一の戸は、かなり上手!とった印象。
そして《輪歌》。これは二~五の戸による。この入り方が何とも感動的。

一人一人の名前が呼ばれ、最後まで応援が止まない。
そして今年の最後の《輪歌》の感動。何と、最後の子の入るところで、何と涙を流しているではないか。こんな光景は…今まで見たことなかった。結構、うるっとする場面の多い祭りなのだが、今年は、かなり泣かされた。
そして、最も好きな場面が《輪歌》から《陵王》の出るところ。ここも引き続き泣けた。ああ…2年ぶりだ。この《陵王》の姿の神々しさは、絶妙なのだ。
能生の祭りの象徴の1つでもある。これで1時間以上の舞となる。
舞台では「日を抱く手」等、独特の所作が続く。
後半の「打ち返し」の場面。自分が見ていたとき、後方ではくわしいおじいさんが、となりのツレの方に説明している。まさにライブ中継。
《陵王》の動きのなかで、「烏跳び」と「千鳥がけ」というステップがあるのだが、その動きが舞台上を一方の対角線を動くのだ。どうしてかな…ともうっすら思ってはいたが、それほど気にも留めていなかった。
そのライブ中継によると、どうも本殿に向かっているのだという。
確かにそうだ!今まであまり考えたこともなかったが、本殿の方向と、その180度反対の方向へ動くのだ。舞台上から本殿への意識…なるほど!
そして再び、橋がかりへ。延々と続く舞。2名の総代が出ると、いよいよ《陵王》が飛び込むのだ。それが、例によってじらされる。
今年は、拝殿前の燈籠のところで見ていた。結構、橋がかりの真ん中あたりだ。そして入る瞬間。これがなかなかいいシーンだ。
そして一気に「御旅帰り」となって、神輿がすごい勢いで拝殿へ担ぎ、神様を降ろして再び御旅所へ返す。そして「ヤッショーイ!」の大合唱だ。
ああ…この瞬間で終わるんだ。2年待って、この祭りに来て、この場面で「また来年」だ。
それにしてもい祭りだ。また来年も出かけたい!