浜田屋遼太

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香辛料

2019-08-03 | 日々是好日

日本にピザが上陸したのはアタクシが青春時代だった。

青春のど真ん中だった、と記憶する。

当時ピザというものを知っている人はほとんどいなかった。

とにかく斬新な食べ物で、田舎もんには「なんじゃこりゃ」的食い物であった。

タバスコという香辛料に出会ったのもそのころである。

生まれて初めて出会った香辛料で、何が何だか分からなかったが、当時の人々に大いにもてはやされた。

香辛料の世界にも流行りすたりはある。

当時の日本の香辛料事情を見てみよう。

何といっても大黒柱はワサビである。

そしてカラシ。

そして胡麻、七味唐辛子、ラー油とつづく。

タバスコの加わる余地はどこにもなかった。

北朝鮮はミサイルと序列が命の国である。

北朝鮮的序列の考えで、当時の香辛料の序列を見てみよう。

ナンバーワンはワサビ、ナンバーツーがカラシ。

この辺りは無難であるがナンバースリーあたりになってくるとかなり微妙になってきて、胡椒と七味唐辛子とどっちが偉いか。

観測筋もかなり悩むところではなかろうか。

ラー油は後世になってかなり幅を利かすことになるが、当時の地位はずいぶん低かった。

ましてタバスコの参入する余地などまるでなかったのに、ピザの協力を得て一躍中枢に躍り出ることになったのだった。

香辛料の地位は時代と共に変動する。

現状はどうなっているのだろう。

最も顕著なのはタバスコの零落である          

どの家のキッチンにも、香辛料コーナーというようなものがある。

プラスチック製の、こ洒落た香辛料ボックスというようなものに、ひとまとめにして一族を収めている家庭は多い。

キッチンの一隅に、一族が一家を構えているわけだ。

いま、この香辛料ボックスにタバスコが入っている家はあるだろうか。

栄枯盛衰は世の習い。

ラー油ごときものにさえ盛衰があった。

こうしてみると日本におけるワサビ、カラシの地位の盤石ぶりに改めて驚かされる。

時代は変われど、ナンバーワンの地位は揺るがない。

和食の中心、刺身にワサビは欠かせない。

日本人が愛好してやまない納豆、トンカツ、串カツにカラシは欠かせない。

だが時代は変わっていく。

今、ワサビとカラシはチューブ入りという形でその地位を守っている。

刺身とかトンカツとか納豆の料理が並ぶと、「そらきた、オレの出番だ」とキッチンの香辛料ボックスの中でふんぞり返っている、と大きく構える。

だが人々は、刺身ゃ納豆をどのような形で食べているか。

刺身を食べようと思えばまずスーパーに行く。

スーパーでパック入りの刺身を買ってきて食べる。

そうすると、刺身のパックの中にワサビの小袋が入っている。

納豆はどうか。

スーパーで納豆を買うと、パックの中にカラシの小袋が入っている。

キッチンの香辛料ボックスの中で、ふんぞり返っていたチャープたちには、いつまでたってもお声がかからない。

声がかからないばかりか、自分たちの目の前で、自分たちの頭越しに事が順調に進んでいるのだ。

香辛料の長老たちの狼狽ぶりが目に見えるようだ。

 

コメント
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