では語り始めます。
森田公一とトップギャランの歌に♪
青春時代が夢なんて
あとからほのぼの思うもの
青春時代の真ん中は
道に迷っているばかり
というものがあります。
アタクシの青春は、まさに道に迷っているばかりでした。
そうして、つまずいてばかりでした。
相田みつをさんは、つまづいたっていいじゃないか、にんげんだもの、みつを。
などと無責任で呑気なことを言っているが、それは当人じゃないから言えること。
アタクシの将来の夢は、小学校のころからすでに決まっていた。
大学はできることなら東大に入りたかった。
なぜかというと、日本では東大卒は最もエライ。
と、もてはやされていたからだ。
そして華々しく政界にデビューして、大臣くらいまでは登りつめたかった。
だがそれは様々な理由によって不可能だったので、せめて世界の海を航海する船乗りさんになりたかった。
それは以外と簡単に手に入れることができ、瀬戸内海の離れ小島で5年間過ごした。
そう、それからいろんなことがあった。
たとえば…
と、そのあたりから一つ一つ思い出そうとするのだが、老境とは恐ろしいものですべての記憶がおぼろになっている。
すでにはるか遠くへ遠ざかっていく青春。
遥かなり青春。
そうだったのだ。
同じ世代の仲間との酒席で、青春時代の話が出てこないのはこういうことだったのか。
すべて済んだことなのだ。
頭の中に(済)というハンコが押してあったのだ。
まずいな。
せっかく青春を語り始めたというのに、話がストップしてしまいそうだ。
どうしたらいいのだろう。
そうだ
何か事件があって捜査が行き詰った時には、「現場に戻れ」というの鉄則がある。
アタクシにとって青春の現場は瀬戸内海の離れ小島である。
青春のよりどころであった。
そうだ、現場に行ってみよう。
つづく…