はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

ベビーカーの事故の報を聞いて

2007年05月25日 | はなこのMEMO
「ベビーカー挟み電車発車、4カ月男児、母軽傷」(読売新聞) 

 まずは今回、ホームにいた人の機転で緊急停止ボタンが押されたこと、ホームにいた男性が電車に引きずられたベビーカーの中の赤ちゃんを助け出したことで、大事に至らなかったことは良かった。とは言え、母親、赤ちゃんを助けた男性、赤ちゃんの3人が転倒で軽傷を負っている。5年前にもJR東日本の京葉線ホームで同様の事故は起きていた。

「電車がベビーカーを挟んで20m引きずり2歳児軽いけが」(事故予防情報サイト)

 その事故と翌月に起きた事故を受けて、当時のJRは、2(3?)センチ程度の異物が挟まれば検知できるセンサー・システムへの対応を求めて、メーカー2社にベビーカーの車軸の直径が2センチ以上となるよう設計を変更してもらっている。しかし、今回も事故は起きた。

 今回JRは25日未明から、同社管内の約8000両についてドアセンサーの緊急点検を始めた。同社によると、ドアは床から30センチまでは2センチ以上それより高い所では3センチ以上の太さのものが挟まるとセンサーがすき間を検知し、自動的に開く。警察の調べでは、挟まれたベビーカーの右側前輪のパイプは、直径2・2センチだった。今回は母親(27)が、ベビーカーの前輪を持ち上げた時にドアが閉まり、電車の床から約60センチ付近でパイプが挟まれたため、センサーが作動しなかったとみられる。

 先にリンクの事故予防情報サイトでは、モニターや目視による細やかな安全確認を前提に、ハードウエア上の事故防止対策も具体的に提言している。

★発車時にドアに接触しているものを確実に確認するシステムが必要
 ⇒電車の各車両の両端に感知器を設置し、電車が発車する時には
 センサーで遺物が電車に接触していないことを確認してから発車するようにする。

 しかし、これは導入されていない。このサイトの提言がJRで検討されたかどうかも分からないし、たとえ検討されたとしても費用対効果の点で見送られた可能性はある。今回大きくニュースとして報道がなされたが、冷静に見ると、今回起きたような事故に近いヒヤッとする場面は日常的に数多く起きているとしても、この5年間で事故はわずかに3件である。JRから見れば、正常運行に支障を来す車両故障や信号トラブルや電車への飛び込み自殺などがはるかに件数としては多く、それらの対策が緊急性が高いと見なされているのかもしれない。センサーの精度をこれ以上高めることも、過密ダイヤな上に運行トラブルが相次いでいる現状では対策としては現実的ではない。
 
 以前もベビーカーについて書いたことがあるが( 「ベビーカー、便利な道具だけど…」)、ベビーカーは所詮”育児のお助け道具”のひとつに過ぎず、使う人間が細心の注意を払って使用しなければならない。ベビーカーに助けられているのは乳幼児ではなく保護者であり、便利な道具は使い方次第で凶器にもなり得ることを自覚する必要がある。そして使い方を誤れば、真っ先に危険に晒されるのがベビーカーに乗っている乳幼児であることを大人は忘れてはいけない。今回の事故の場合、右前輪のみが電車のドアに挟まれたということは、駆け込み乗車だったのだろうか?発車のベルが鳴ってから電車が動き出すまでに時間的猶予があることからの推察である。今さら言っても仕方のないことだが、母親には次の電車を待つぐらいの余裕を持って欲しかった(過去の事例に照らしても、焦っている時ほど事故は起きやすいからね)

 ベビーカーの使用に際して起きる社会との摩擦や使用者の不都合は、人口が過密な都会ならではのものである。都会に人口が集中するのは都会生活が便利だからに他ならない。言うまでもなく人間は全てを手にすることはできない。全てを自分の思い通りにすることもできない。何かを得るなら何かを諦めなければならない。何かを享受する代りに何かを我慢しなければならない。

 都会独特の使い辛さを覚悟の上でベビーカーを使い続けるなら、利用者の側にも留意すべき点がある。以下のサイトなど参考になると思う。

「ベビーカーの安全な使い方~お出かけ編~」

 とは言え、かつて私自身も通った道だ。私は自分の経験を踏まえて、乳幼児を抱えながら単独で行動されているお母さんを見かけたら手助けするようにしている。エレベーターのない駅の階段の上り下り等さぞかし大変だろうし、第一足下がよく見えなくて危険だ。この記事を読まれた方も、そのようなお母さんを見かけたら、是非助けてあげて欲しい。手助けを必要としている人にとって最終的に頼りになるのは、やはり周りに居合わせた一人一人の思いやりだと思う。そうした周囲の配慮が、母親のゆとりある行動にも繋がるだろうから。

 最後に駅の利便性について。様々な鉄道会社の駅を利用しているが、改札階・ホーム間のエレベータ設置が最も遅れているのはJRではないか?ベビーカー利用者だけでなく、体の不自由なお年寄りや障害者の為にも早急に設置すべきだろう。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 太鼓持ちの評論家は要らない… | トップ | かつては権力者に独占されて... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。