はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

日々是勉強

2008年09月22日 | ボランティア活動のこと
ある年配のボランティア・スタッフは口癖のようにこう言われる。
「所詮、私たちは素人なんだから」と。
しかし、その方は海外経験が豊富で、年に何度も渡欧し、数多くの美術作品を眼にしており、その審美眼はたいしたものだ。ある創作活動にも長年従事するなどクリエイティブな一面もあり、その作り手としての視点はギャラリートークでもいかんなく発揮されている。

私は彼女の、その謙遜としか受け取れない言葉を耳にする度に、ある教授の言葉を思い出すのだ。その教授は特に教養ゼミで厳しくも温かい指導を受けた先生で、在学中最も影響を受けた恩師と言って良い。その尊敬すべき恩師が、卒業式後の謝恩会で私に向かってこう言われたのだ。
「さあ、今日から君も研究者の端くれだ」
思わず背筋がピンと伸びるような緊張感を覚えた。大学を卒業してもう5年になるが、恩師のその言葉を思い返す度に、自らの不勉強を恥じてしまう自分がいる。そして、上述の彼女の言葉に
「いいえ、私は研究者の端くれです」
と言い返せない自分を情けなく思う。

美術館のボランティアは、選考時にボランティア歴は問われても、美術に関する専門知識は問われない。しかし、元々美術や美術館を愛する人々の集まりなので、ボランティアとして採用されれば、国内外の文献に目を通し、国内外の美術館を訪ね、積極的に講演会にも出席するなどして、日々研鑽を積んでいる。その熱心さには、同じボランティアながら感心するばかりだ。この4年半の間に、私の大学時代に得た知識など凌駕するだけの知識を得た人も中にはいるかもしれない。そうした同僚に刺激を受け、かなり焦りを感じながら、私も勉強に励んでいる。とにかく読む、観る、咀嚼する。勉強すればするほど、自分の知識と理解力の乏しさに愕然とする毎日だ。
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