はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

4年ぶり5度目のイタリア🇮🇹(2)ジェノバ

2024年01月25日 | 海外旅行(旅の記録と話題)
ジェノバと言えば、私がまず思い出すのは、アニメ「母をたずねて三千里」の主人公マルコの幼い姿と、その主題歌である「草原のマルコ」の軽快なサビのメロディ
♫さあ、出発だ!今、日が昇る!…


「母をたずねて三千里」はイタリア人作家の短編小説に大幅加筆して、ジェノバ生まれのマルコ少年の、出稼ぎに出たまま戻らない母を探す冒険の旅を、1年に渡って描いた長編アニメーション。先頃亡くなられた高畑勲氏(1935-2018)の代表作のひとつです。

「投信信託クリニック」ブログ記事によれば、この物語の時代は19世紀末、1882年に設定されており、その当時は産業革命によりヨーロッパでは人口爆発が起き、その余剰人員の多くが仕事を求めて、新興の南米大陸に渡ったようです。

マルコの母は父親が抱えた借金の為、アルゼンチンへと出稼ぎに出たのですが、当時はマルコの母のように多くのイタリア人が、この港町ジェノバから旅立ったのでした。しかも直行とは行きません。

ジェノバ→バルセロナ→ダカール(北アフリカ)→リオデジャネイロ→ブエノスアイレス(アルゼンチン)
はあ…なんて長い旅路😩。

その名残りで、アルゼンチンにはイタリア系アルゼンチン人が多いのですね。かの有名なアルゼンチン・タンゴもイタリア系移民が考案したものなんだとか。

当時のアルゼンチンは農業と畜産業が盛んで、1929年には世界第5位の経済大国にまで躍進を遂げます。

さらに第1回のサッカー・ワールドカップはアルゼンチンの隣国ウルグアイ開催されたことからも、20世紀前半までの中南米は経済的に豊かな地であり、新興の地で成功を夢見る数多くの移民を、世界中から引き寄せたのでした。


な街並み。

かつてのジェノバは海洋貿易で栄え、ヴェネツィアに並ぶ強大な海洋共和国でした。全盛期を迎えたのは16〜17世紀で、当時競うように築かれた豪壮な館は今も町の東側に残っているようです。

ジェノバ没落のきっかけは18世紀末、あのナポレオン(1769-1821)による、リグーリア州侵攻でした。

しかし、その後イタリア統一運動(1815-1871)を経てイタリアが統一(1870)を果たして以降、ジェノバは新生イタリアの主要港として発展し、今ではイタリア第一の港湾施設を誇り、さらに町の西側には工業地帯も抱え、人口65万人のリグーリア州最大の都市となっています。

そして、町の発展に寄与した統一運動の立役者ガリバルディ(1807-1882)は、ジェノバの目抜き通りに、その名を残しています。

以下はジェノバきっての繁華街「フェラーリ広場」周辺の風景。

香辛料を求めて出帆したはずが、図らずも新大陸を発見してしまったクリストファー・コロンブス(1451-1506)が、少年時代を過ごした地に、18世紀に復元された家が建っています。ツタが絡まるこじんまりとした家。




ムッソリーニ時代(約80年前)に建てられた近代建築も未だ現役で、銀行として使用されています。



バスで高級住宅街の高台カステッレット(Castelletto)へ。さすがに見晴らしが良いです☺️。




現地の大学生らしいです。可愛らしいのでスマホのカメラを向けたら、笑顔で応えてくれました。


高級住宅街の高台だからなのか、坂を下ることなくダウンタウン(繁華街)に直行出来るエレベーターがありました。基本的に高台に住む住民の為の設備だと思うのですが、使わせていただきました。Grazie❗️

それで下に降りた後、そこから短いトンネルを通って、貴族の館が並ぶ「ストラーデ・ヌオーヴェ(Strade Nuove)に向かいます。

以前、ポルトガルリスボンでも高台と下町を結ぶエレベーターを利用したことがあります。

そのエレベーターは人気の観光名所になっていて、内部は木造で窓に沿ってベンチが設置されている等、洒落たインテリアで、乗車の為にかなり並ぶ上に有料でした。


既に夕刻になっていたので、のんびり散策とは行かず、添乗員さんと現地ガイドさんについて行きました。
やっぱり、チョット慌ただしい😅。

ここには、作曲家にしてヴァイオリニストであるパガニーニ(1782-1840)ゆかりのお屋敷もあるようです。



さすが貴族の館。天井画にも凝っています。







各地の書店のショーウインドウを見るのは楽しい☺️。なんだろう?陳列のセンスが良いのか?本の装丁のセンスが良いのか?


特徴的な横縞模様の建物は「ポリクロミア」と呼ばれる中世後期トスカーナ地方の教会でよく見られた建築様式


広告もお国柄が出ていて、見るのが楽しい☺️。よく見ると、上部の顔写真付きの貼り紙はジェノバで失踪した人の捜索願いのようです。氏名と年齢に、「見つけた方は〇〇番に電話して」と書いてあります。


この後、バスで宿泊先のホテル、タワー・ジェノバ・エアポートホテル&カンファレンスセンターに向かいました。

ここは元は米資本の大手ホテルチェーン傘下のホテルだったようで、ロビーは広々としていました。部屋はアメリカン・スタイル。設備は結構年季が入っていますが、スーツケースをふたつ広げられるほどスペースには余裕がありました。

旅行社はツアーパンフレットで「宿泊はすべて(当社基準)スーペリア・クラス」を謳っていましたが、この「スーペリア」は単に「十分な広さ」を意味していたのではと思うほど、今回宿泊したホテルは1カ所(←素敵でした💓)を除いて悉く、私が思い描いていた「スーペリア」のイメージを覆すものでした😅。しかし、まあ、長期滞在と違って、「ただ一晩寝るだけ」なので、1カ所(←最悪でした😓)以外は特に問題はありませんでしたが😅。



この日は夕食もホテルで。


ご当地名物、ジェノベーゼ・ソースのパスタ。見た目以上に美味しかったです。注:私はグルメではありません😑。


このツアーに参加しなければ個人でジェノバに行く機会はなかったでしょうし、アニメで親しんだマルコ少年が育った町の歴史を知り、風景も実際にこの目で見ることが出来たので良かったです☺️👍。

しかし、まあ、ナポレオンヨーロッパを引っ掻き回しましたね。昨年、リドリー・スコット監督(1937-)の「ナポレオン」を見たばかりだけに、「戦争屋」ナポレオンのイメージが鮮烈過ぎて、なかなか拭えないです。


つづく…



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6 コメント

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ボンジョルノ (さなえ)
2024-01-25 21:30:23
はなこのアンテナさん こんばんは

ジェノバ 行かれて羨ましいです
【母を訪ねて三千里】小学生の頃に読書感想文を書いたので 思い出に残ってます
時代背景とか わからない子供でしたが マルコが出会う大人…旅
過酷さが印象に残ってます

コロンブスが過ごした家が再現されてるのですか

イタリア旅行に行き…世界史の勉強不足を後悔したのも思い出しました

カラフルな街並みのツーショット素敵
空の色が美しいですね

お次はどちらでしょう~愉しみです
返信する
Unknown (hanakonoantena20220612う to)
2024-01-26 13:16:24
さなえさん、Buongiorno ☺️!

再びのコメント、ありがとうございます。記事アップの励みになります☺️。

私も旅行記をまとめるにあたり、改めてその土地のことを調べるので勉強になります。

旅行って、行くと決めた時から、もう始まっているんですよね。本やネット記事を読んだりして下準備する。

でも、実際に現地に足を運んでみると、事前に仕入れた情報で思い描いたイメージとは違っていることも少なくないので、これがまた面白いと言うか楽しい。

百聞は一見にしかず、ですわ☺️。

今回は、20世紀前半まで中南米が新天地として飛ぶ鳥落とす勢いだったと言うのが、実は目から鱗で…(世界史を分かっていない😅)…あの「魔女の宅急便」の原作者も若い頃にブラジルに移住されたと言う話が不思議だったのですが、当時の状況が分かって納得です。

次も素敵な場所です。とんでもハプニングもありましたが…

お楽しみに!
返信する
こんにちは。 (ma16rira(まーこ♪))
2024-01-26 14:19:29
はなこさん こんにちは♪
ジェノバ 位置を始めて知りました。

イタリアの街は どこに行っても 素敵な街並み
建築物が素晴らしいですね。
それに 色合いの可愛い 家も多い
空の色に映えて 美しい。

ジェノバソース 食べた事ないかもです。
短いパスタなのですね?
返信する
Unknown (hanakonoantena20220612う to)
2024-01-26 21:51:59
まーこさん、こんばんは☺️。

ジェノバってミラノに近いんですね。私も今回の旅行で初めて知りました😅。

イタリアは特に海沿いの町にカラフルな建物が多い印象です。内陸部は落ち着いた色合いが多い感じ。

写真のパスタはジェノバ発祥のジェノベーゼソースで和えたショートパスタですね。ジェノベーゼってイタリア語で「ジェノバの」とか「ジェノバ風」を意味するんです。

ジェノベーゼソースは松の実、チーズ、オリーブオイル、バジリコ(バジル)等を合わせたもので、鮮やかなグリーンが特徴ですね。現地では写真のような“こより状”のトロフィエと言うショートパスタを合わせるのが定番のようです。日本ではロングパスタでしか食べたことはないですが…

旅行記はまだまだ続きますので、また読んでくださいね。
返信する
Unknown (みゆきん)
2024-01-26 22:27:57
「母を訪ねて三千里」泣いた泣いた
でもやっと出会えてハッピーエンドだったよね
イタリアは死ぬまでに1度は訪れたいところです。
見どころが有りすぎて毎日、筋肉痛で唸されそう。
返信する
Unknown (hanakonoantena20220612う to)
2024-01-26 23:50:18
Buona sera みゆきんさん☺️。

コメントありがとうございます。
「母を訪ねて三千里」は世界名作劇場の第二弾で、第一弾は「フランダースの犬」でした。

私、実は7年前に「フランダースの犬」の舞台になったベルギー🇧🇪のアントワープにも行ったことがあるんです。その時、ネロが見たいと切望したルーベンスの祭壇画を大聖堂で見ました。

アントワープ行きでは残念なエピソードがあって、市内の美術館博物館や観光施設が入館出来る1デイパス(1人5000円位)を予めネットで入手して行ったら、その日に限って公務員のストで公立の施設が全て閉まっていたんです。結局見られたのは無料の大聖堂だけ。まあ、それがアントワープ訪問の1番の目的だったので、不幸中の幸いでした😅。

と言うわけで、多感な頃に見た作品、読んだ作品は何十年経っても心に残っているので、その舞台に行きたくなるんですよね。

イタリアは行ってみたら期待した以上に見応えのある国だったので、イタリア語にも興味を持ったし、何度も訪ねることになりました。

現地で出会う人、全員が全員感じが良いとは言えませんが、まあ、それは国内旅行も同じことだし、機会があれば是非訪ねていただきたい国です。仮に今後1回しか海外に行かないと言うなら、フランスよりイタリアをオススメします。それぐらい魅力的な国。

「ナポリを見てから死ね」と言う言葉もあるくらいですから。

長文レス、失礼しました😅。
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