1点に集中した、とても良い表情をしている。
昨日最終日だったミズノ・クラシックは前日2位につけていた
カーリー・ウェブが逆転優勝。
米ツアー初制覇が期待された宮里藍は、
健闘の甲斐なく7位に終わった。
と言っても2位の肥後かおりに次いで、日本人では2位。
今回17位で終え、3試合を残して今季の日本女子ツアー
賞金女王に輝いた大山志保には、今季一度も負けていない。
もし米ツアーに挑戦していなければ、不動裕理の不調を考えると、
今季の日本女子ツアー賞金女王はほぼ間違いなかったはず。
まだプロデビューして3年、21歳と若い宮里藍を
米女子ツアーへと向かわせたのは何か?
先日の記者会見では気になる発言もあった。
「米ツアーでは、やる気のある新人を温かく迎えてくれた。」
幼い頃から天才と騒がれ、鳴り物入りでプロデビューし、
いきなりの活躍で人気もほぼ独占。
しかも精神的に同世代と比べて大人びていて、常に前向きで、
インタビューの受け答え、スピーチも堂々としたもの。
注目を浴びることの少ない中堅・ベテランからしたら、
可愛げのない、寧ろ憎たらしい若手に映るんだろうか?
宮里藍の会見の言葉を聞いていると、
日本女子ツアーでは針のむしろ状態で、
孤独感の中でプレーをしていたようにも受け取れる。
以前ネットで、日本女子プロのリストを見たことがあるが、
年間獲得賞金は一部のトッププロを除けば、
一般企業のOLの年収より少ない選手が殆どだった。
ツアーだけで稼げるプロなんて殆どいない。
だから、圧倒的な実力で光輝くばかりの宮里藍のような選手は
羨望と嫉妬の対象になってしまうのだろうか?
(と言っても、憶測の域を出ないけど…(^_^;))
対して、世界中からそれぞれの国ではトップ級の選手が集う
米女子ツアー。
個々の選手のモチベーションはもちろんのこと、
メンタリティにも大きな違いがあるのだろう。
米女子ツアーでは、選手の殆どが同じ様な立場。
様々な国から、言葉、食事、ハードな転戦などの苦労を覚悟で
米国に来ている。
”ライバル”であると同時に”同志”に近い感情を
選手達は互いに抱いているのではないか?
そしてそれぞれがトッププロであり、自身の技術に自信を持ち、
メンタル・コントロールにも長けている。
自己分析も怠らず、常に心技両面の進歩を志している。
つまりは、世界中の宮里藍のような選手が
凌ぎを削っているのが、米女子ツアーなのだろう。
それが競技を離れれば勝敗に拘らない
選手間の楽しい交流に繋がっているのだろうと想像する。
手の届くところにあった日本女子ツアーの賞金女王より、
ゴルフの戦いにおいてはより困難な米女子ツアーへ
(おそらく体格・体力面での自身の不利と技術で補う限界を
一番自覚しているのが宮里藍のはず。それでもなお挑戦する
気持ちの強さが、彼女の持ち味であり最大の武器だろうか)。
若い宮里藍選手の気持ちを逸(はや)らせたのは、
高額賞金やツアー制覇うんぬんよりもまず、
世界最高の舞台で、雑音に煩わされることなく、
ゴルフを心から楽しみたい思いからだったのでは
(その意味では過熱ぎみの日本のマスコミや国内人気にも
距離を置きたかったのかも。なんせまだ21歳という若さ。)。
日本のマスコミが騒ぐほど、彼女は今、
勝つことに拘ってはいないのではないか?
もっと長いスパンで、
自らのゴルフ人生を見据えているように思える。
彼女が米女子ツアーでなかなか勝てない理由も、
実はそこにあるのではないかと私は思っている。
もちろん勝てたら、また一皮むけて、より強くなって
今以上に素晴らしいプレーを見せてくれるのだろう。
とにかくツアー初勝利を急かすことなく
(プレーするのはあくまでも彼女なのだから)、
彼女を信じて静かに見守ることが大切なのだと思う。