はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

5年ぶりの関西(3)

2016年07月26日 | 関西を楽しもう♪
 関西2日目は京都へ行きました。京都へ行くのは何年ぶりだろう?もう前回いつ行ったのか覚えていないくらい久しぶりの京都です。

 しかし、たいしてリサーチもせずに行ったので、今回も自分の趣味の美術館巡りで、京都らしさを堪能したとは言えないかもしれません。

 まず、最初に行ったのは京都国立近代美術館。日本に5つある国立美術館のひとつです。実のところ、生まれて初めての訪問でした。

 東京竹橋の東京国立近代美術館のイメージで行くと、拍子抜けするほどのコンパクトさです。展示室の数も少ないし、面積も小さい。しかし、近代的な低層の建物の佇まいが、意外なほど古都京都の雰囲気にマッチしています。

 ここでは折しも、現代ファッション界を代表する英国のデザイナー、ポール・スミス氏の展覧会が開催されていました。「ポール・スミスのユニークな世界観とファッションに留まらない創造性を展観する」との触れ込みで、彼の個人絵画コレクションやアトリエや、ファッションの範疇を超えたユニークな創造物が所狭しと展示されていました。

 東京では上野の森美術館で、明日の27日(水)から開催されるようです。

 会場内は来館者のSNSでの情報発信による集客効果も期待してか、写真撮影OK。展覧会には付き物のオーディオ・ガイドはなく、その代わりにスマホがあれば解説サイトにアクセスして、詳しい解説を聴けるようになっていました。入り口では、その為のピンク色のイヤフォンが無料で配布されていました。私はスマホを未だ使いこなせないので利用せず。

 写真はポール・スミス氏の厖大な個人コレクションの一部。彼の優れた感性を示す作品の数々。

 彼のロンドンのアトリエも再現して見せています。何だかごちゃついているけれど、楽しそう…遊び心を忘れないって言うのかな?

 なんでしょうね?5人のお茶目なポールさんと一緒に写真に納まりませんか?と言うことでしょうか?実際、楽しそうに写真を撮っている人が何人もいました。 

 あの"ミニ"も、ポール・スミス氏にかかればポップな雰囲気に。偶然ですが、私が今回持って行ったレスポートサックのボストンの模様にそっくりbikkuri

 自転車好きが高じて、作っちゃったサイクリング用時計らしい…展示の仕方も面白い。遊びや趣味の延長線上に仕事があるなんて…楽しいんだろうなあ。自分の好きなこと、思うがままを形にして、それが仕事として成立すると言う…

 生活に役に立とうが立つまいが、世の中に役に立とうが立つまいが、作っちゃう。それが世の中に受け入られる彼の才能と名声が羨ましいと思う人は少なくないはず…

 〆はやはり彼の本業であるファッションの成果。形、色合い、素材、すべて常識に囚われない遊び心(メンズ服に花柄を採用したりとか…)が詰まっている感じ。英国伝統のクラシカルな物に、自身の個性を巧みにミックスさせる手腕は素晴らしいです。

 ポール・スミス氏はその出発点がテーラーの店員であり、デザイナーとしての正式な教育も受けていません。そもそもファッションに興味を持ったのが10代の頃。自転車競技選手を目指していたものの怪我で挫折し、未来への展望もないままパブに入り浸っていた時に、偶然出会ったアートスクールの学生達との交流がきっかけだったらしい。

 デザイナーとしての王道を進んで来た人物ではないからこその強みで、そのユニークさが評価された稀有な存在なのでしょう。その彼をアカデミックな理論と技術の裏付けで支えて来たのは、美大で教鞭を執っていたポーリーン夫人。夫人との出会いなくして、ポール・スミス・ブランドの誕生はあり得なかったようです。

 会場にはパリコレ?の映像もあり、実際にモデルが身に着けたスミス氏デザインの服の多彩さに目を奪われました。
 
 私はつましく暮らす庶民なのでブランド・ファッションとはほぼ無縁ですが、人の手になる創造物としてのファッションには興味があり、雑誌やテレビや展覧会でそれらを目にすることが大好きです。

 今回は旅行に乗じて、普段なら同行してくれない夫を誘う形となりました。私自身は今回の展覧会を通じて、ポール・スミス氏の"創作の秘密"の一端を窺い知ることが出来て、とても嬉しかったです。

 夫はと言うと、この後に見た、道路を隔てた向い側にある京都市立美術館のコレクション展がいたく気に入ったようです。残念ながら「ポール・スミス展」は、ファッションにはまるで興味のない彼には些か退屈だったらしく、会場内のいかにもおしゃれ好きな人々の顔ぶれにもちょっと気遅れするものだったようですwink 


 京都国立近代美術館では別室で、東京国立近代美術館所蔵のキューバの映画ポスター展や、ひとつのファンション・ブランドをひたすらコレクションしているブランドフリークの人々を、服と共に彼らの自室で撮影した写真展も、同時開催されていました。

 キューバの映画ポスター展は当初興味がなく、見るのを躊躇ったのですが、実際見てみると意外な発見がありました。

 社会主義体制下のさまざまな制約もあってか、俳優らの写真を一切使わずに、地元のアーティストがイラストで全てを表現していたのですが、それが却って芸術的で、見る者の想像をかきたてる仕上がりとなっていたのが印象的でした。スペイン語タイトルから原題を推理してみるのも面白かった。

 ブランドフリークの人々のブランドへの一途なまでの傾倒ぶりが異彩を放つ写真展も、それぞれの生き様が垣間見えるようで、なかなか見応えがありました。一緒に見ていた夫は「ボクには理解できないな。これだけ服に金をかけられるのは、どうせお金持ちなんでしょ」とバッサリ。

 いや、そんなことはないと思うよ…何に価値を置き、何にお金を費やすかは人それぞれだし…そもそもこういうテーマで写真を撮ろうと思った写真家の着眼点がユニークだと思う。この世界には無数に撮影対象がある中で、どの部分を切り取って見せるかは、写真家のセンスの見せ所でしょう。
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