はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

「レンブラントとフェルメール展」など…

2016年03月25日 | 文化・芸術(展覧会&講演会)
 今日は朝からほぼ出ずっぱりの日程でした。

 午前中は約3カ月半ぶりに西美でスクールギャラリートークがあり(常設展示室は1月初からつい最近まで、改修工事の為、閉鎖されていました)、小学校4年生の子供達と楽しい時間を過ごしました。

 今日は終業式の日だと言うのに、4年生最後の日に西美に来てくれるなんて、ありがとうーっ!

 来月には5年生の皆さん、私の担当した班の子はいきなりスキップする子もいて、元気いっぱいな子供達でしたmeromero2

 さて、幾らSGT歴10年を超えるベテラン(と後輩ボランティアに言われていますが、その経験年数に見合わない実力ase)でも、3か月半のブランクはキツイ。現場の勘を取り戻すのは正直大変です。

 とにかく、子供達にSGTに積極的に参加して貰うことが一番なので、冒頭で3つのお願いをします。

 1.せっかく美術館に来たのだから、作品をしっかり見て欲しい。そして本物の迫力を楽しんでほしい。
 
 2.作品を見て気づいたこと、感じたことを、言葉にして、話して欲しい。そうすれば、あなたの心に、作品の印象がより深く残るだろうから。

 3.同じ作品を見ても、気になること、感じることは人それぞれなので、お友達の話にもちゃんと耳を傾けて欲しい。そこで、作品にはいろいろな見方があるのだな、感じ方があるのだなと知って欲しい。

 こうして「SGTの目的」を明確にすると、良い子達は本当に熱心に作品に見入り、積極的に気づいたこと、感じたことを口にし、お友達の話にも真摯に耳を傾けてくれるのです。

 真綿が水をぐんぐん吸収するように、子供達の素直な感性は、美術作品を前にビンビン反応します。

 こちらから敢えて誘導しなくても、彫刻作品を前にポーズを真似たり、作品の身体バランスと自分の身体バランスを比較したりして、自分に引き寄せて作品の特徴を捉え、絵画では驚くほどの洞察力で、初めて見たはずの作品から的確に描かれたものの意味を読み取り、さらに想像を広げて、自分なりの物語を作ったりします。描かれた人物の表情や持ち物にも着目して、その意味を探ります。抽象表現の絵画にも果敢に挑戦し、その作品の魅力を感じ取ろうとします。

 久しぶりのSGTで内心不安を抱えたスタートでしたが、終わってみれば、子供達に大いに助けられたSGTでした。
 
 やっぱり、SGTは楽しいなあmeromero2
 子供ってすごい!cat4



 SGT終了後は、今日共に担当したトーカーと駅のそば屋で昼食を食べてから、私は終了が来週に迫っている「レンブラントとフェルメール:17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち展」を、六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで見て来ました。

 我が家からはアクセスが面倒な六本木ですが、上野からなら日比谷線1本で行けます。

 展覧会は後に「黄金の世紀」と称せられるほどの繁栄を見た17世紀オランダで花開いた絵画芸術を4章立てで紹介するものでした。

 私は大学時代にレンブラントの銅版画を研究テーマとしていたので、正直、当時のオランダの社会状況や芸術動向等、既に知っている内容が殆どでしたが、経済的繁栄を背景にさまざまなジャンルが発展したオランダ絵画を、改めて一堂に会した形で堪能できたのは良かったです。



 特に写真一番手前の≪帽子と胴よろいをつけた男(自画像)≫を描いたカレル・ファブリディウスは思わぬ収穫でした。

 彼はレンブラントの弟子の中でも特に才能を高く評価されながら、不慮の事故で早世した為、作品が殆ど残っていないのだそうです。その中からの貴重な一点は、自画像と言うテーマも相俟って、師匠譲りの、人物の外見のみならず内面をも描きあげる、彼の筆の巧みさを今に伝えています。60点ある中で、最も印象に残った作品でした。

 と言う訳で、以前、どなたかが、展覧会でお気に入りの一点を見つけ、お土産としてその絵葉書を買うことにしている、と書かれていたのを私も真似て、カタログを買わない時には、お気に入りの絵葉書を買うことにしています。ただし、必ずしも気に入った作品の絵葉書があるとは限らないのが残念なところ。

 後方の写真2枚は今回の展覧会のタイトルにもなったレンブラントとフェルメールの作品(それぞれ≪ベローナ≫(1633)、≪水差しを持つ女≫(1662頃))の絵葉書なのですが、各々たった1枚の来日で看板を飾るのは、客寄せの為とは言え、些かあざとさを感じます。とは言え、レンブラントとフェルメールの名に釣られて来場した人が、思いがけず17世紀オランダ絵画の充実ぶりを知るきっかけになるのであれば、2枚看板も立った甲斐があったと言うものでしょうか?


 今日もまた、フェルメールの作品の解説を前に「この作品が30数枚あるってことかな?」「いや、そうじゃねーだろ」と言い合っている3人の高校生に、思わず「フェルメールの作品自体の現存数が世界で30数枚と言うことだよ。それだけ希少と言うこと」とお節介な茶々を入れてしまった、おばさんのはなこでした。一種の"職業病"ですね。普段から子供達と美術作品を前にあーだこーだと言い合っているので、知らない子供に話しかけることにも躊躇いがない。話しかけられた方は、知らないおばさんに気安く声をかけられ、さぞかし驚いたことでしょうbikkuri

         六本木ヒルズ52階から、新宿副都心を望む

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