毎週土曜朝は、NHK-BS「キャッチ 世界のトップニュース」の中のマイケル・マカティア氏によるニューヨーク・レポートを楽しみにしている。
今朝のマイケルさんは、3日後に迫った米大統領選投票に因んで、ジャーナリズムを中心に中高生が学ぶNYの公立校「国際ジャーナリズム・プレパラトリー・スクール」へ出向き、高校生達に取材していた。
米国では中学校や高校で、大統領選の模擬投票を行ったり、大統領選をテーマに討論会を行ったり、候補者の討論番組を見ることを宿題にしたりと、4年に1度の大統領選を「生きた政治の教科書」として上手に活用しているそうだ。
そこで、同校でも特に政治に関心の高い3年生に集まって貰い、今回の大統領選について彼らが感じていることを率直に語って貰った。
Q「今回の選挙はどうだった?」
A「政府を信用するように教わったのに、不正があると聞いて不安になったわ」
Q「今回の選挙が自分にとってプラスになった人は?」
A「選挙のことをもっと学んで将来に生かしたいと思った。トランプのような人は思ったより多いこともわかった。5割も支持者がいるんだ。」
「アメリカには直感や感情で物事を決める傾向があることを学んだ。そこはトランプやヒラリーも、どちらの陣営も一緒だった。知的な判断より感情に訴えていたね。」
「ある意味でトランプはみんなを勇気づける存在だと思う。なんの経験もない型破りな人でも、大統領になりたいと思えば実際になれる可能性があるんだから。」
Q「理想の大統領とは?」
A「Tシャツやジーンズで仕事をするような人がいい。」
「自分の国だけを考えるのではなく、世界全体を見ることができる人。世界を繋ぐことができる人が大統領になって欲しい。世界経済はどこかが悪くなると、みんな悪くなっちゃうから。」
今回の大統領選は選挙終盤でも互いに中傷合戦が続くなど、史上稀に見る品位のなさが国民を失望させているとも言われているが、生徒達は「どうして、こんな選挙になったのか」「政治はどうあるべきか」真剣に考える機会と捉えているようだ。
マイケルさん曰く、この学校が突出して熱心に取り組んでいるというわけではなく、選挙期間中は米国全土の学校で、大統領選を通して政治や現在の国の在り方について学ぶのが、米国の習わしなのだそうだ。
私はまず、高校生達の堂々とした発言に感心した。これは一朝一夕にできるものではない。幼い頃からの訓練の賜物だろう。あるテーマについて自分なりに考え、自分の意見として外に向けて発信する。
日本も近年は「総合学習」と言う教科の枠組みの中で、「あるテーマについて調べ、それを自分なりにまとめて皆の前で発表する」と言う学習を行って来た結果、今の若い世代は人前で自分の意見を言うことに関しては、そうした教育を受けて来なかった世代と比べて格段に上達していると思う。このことは、普段SGTで接している子ども達のこの10年の変化を見ても明らかだ。
しかし、こと「政治」がテーマとなると、中高生レベルで先の米国の高校生のような発言ができる生徒が一体どれだけいるのか?
結局、中高生をはじめとする若者が政治や社会に無関心なのは、ひとつには「教育」の問題なのだと思う。教育現場で、リアルタイムに展開している政治状況を、米国のように「生きた教材」として活用することを敢えて避けて来たからではないか?それは学校教育の指針となる「学習指導要領」の問題でもあるのかもしれない。
「学習指導要領」の中で政治教育に関する明確な指示がなければ、学校としてもその指導に時間を割くことはできないであろうから。
つまり、国の方針としては、「子ども達=未来の有権者に政治への関心を持たせるつもりはない」と言うことなのだろうか?しかし、選挙権を18歳に引き下げた今、他国に倣って(←スウェーデンなど凄く参考になる)政治や社会への関心を促す教育の実施は急務だと思う。
現状のままではいつまで経っても、日本ではマトモな「民主主義」は育たないと思う。若者もハロウィンに浮かれている場合ではないと思うよ。
【2016.11.07 追記】
マイケルさんは公園で寛ぐニューヨーカーにも、「あなたが思う今回の大統領選のキーワードは?」と言う質問を投げかけていた。これも、一般の米国市民が今回の大統領選をどのように捉えているかを如実に伝えて興味深いので、以下に録画できたものだけだが列挙してみる。
パンクな雰囲気の白人中年女性:"Facts don't matter" 事実なんてどうでもいい~「特にトランプ支持者にはね。」
サングラスをかけた若い白人女性:"The ugly American" 醜いアメリカ人~「この醜い選挙の行方を海外の人も心配している。経済や戦争や難民問題にどんな悪影響があるのだろうって。」
めがねをかけた若い白人女性:"Fear" 恐れ~「「トランプは恐怖を煽ることで支持を得ようとしているし、トランプが勝つことを恐れている人もいる。クリントンが勝つことを恐れている人もいるわ。」
実際は黒人の若手男女なども発言していたのだが、録画が間に合わなかった。何れも否定的な見解だったのは確かだ。マイケルさんによれば、テレビで紹介されたなかった人も含め、すべての回答者が否定的なワードを上げていたと言う。
因みにマイケルさんが掲げたキーワードは"Below the Belt"。これはボクシング用語のひとつで、下半身を攻める反則行為を指すのだと言う。今回の選挙戦では反則行為とも取れる醜い言い争いが多く、下品な下ネタも多かったのが、この言葉を選んだ理由なんだそうだ。
今朝のマイケルさんは、3日後に迫った米大統領選投票に因んで、ジャーナリズムを中心に中高生が学ぶNYの公立校「国際ジャーナリズム・プレパラトリー・スクール」へ出向き、高校生達に取材していた。
米国では中学校や高校で、大統領選の模擬投票を行ったり、大統領選をテーマに討論会を行ったり、候補者の討論番組を見ることを宿題にしたりと、4年に1度の大統領選を「生きた政治の教科書」として上手に活用しているそうだ。
そこで、同校でも特に政治に関心の高い3年生に集まって貰い、今回の大統領選について彼らが感じていることを率直に語って貰った。
Q「今回の選挙はどうだった?」
A「政府を信用するように教わったのに、不正があると聞いて不安になったわ」
Q「今回の選挙が自分にとってプラスになった人は?」
A「選挙のことをもっと学んで将来に生かしたいと思った。トランプのような人は思ったより多いこともわかった。5割も支持者がいるんだ。」
「アメリカには直感や感情で物事を決める傾向があることを学んだ。そこはトランプやヒラリーも、どちらの陣営も一緒だった。知的な判断より感情に訴えていたね。」
「ある意味でトランプはみんなを勇気づける存在だと思う。なんの経験もない型破りな人でも、大統領になりたいと思えば実際になれる可能性があるんだから。」
Q「理想の大統領とは?」
A「Tシャツやジーンズで仕事をするような人がいい。」
「自分の国だけを考えるのではなく、世界全体を見ることができる人。世界を繋ぐことができる人が大統領になって欲しい。世界経済はどこかが悪くなると、みんな悪くなっちゃうから。」
今回の大統領選は選挙終盤でも互いに中傷合戦が続くなど、史上稀に見る品位のなさが国民を失望させているとも言われているが、生徒達は「どうして、こんな選挙になったのか」「政治はどうあるべきか」真剣に考える機会と捉えているようだ。
マイケルさん曰く、この学校が突出して熱心に取り組んでいるというわけではなく、選挙期間中は米国全土の学校で、大統領選を通して政治や現在の国の在り方について学ぶのが、米国の習わしなのだそうだ。
私はまず、高校生達の堂々とした発言に感心した。これは一朝一夕にできるものではない。幼い頃からの訓練の賜物だろう。あるテーマについて自分なりに考え、自分の意見として外に向けて発信する。
日本も近年は「総合学習」と言う教科の枠組みの中で、「あるテーマについて調べ、それを自分なりにまとめて皆の前で発表する」と言う学習を行って来た結果、今の若い世代は人前で自分の意見を言うことに関しては、そうした教育を受けて来なかった世代と比べて格段に上達していると思う。このことは、普段SGTで接している子ども達のこの10年の変化を見ても明らかだ。
しかし、こと「政治」がテーマとなると、中高生レベルで先の米国の高校生のような発言ができる生徒が一体どれだけいるのか?
結局、中高生をはじめとする若者が政治や社会に無関心なのは、ひとつには「教育」の問題なのだと思う。教育現場で、リアルタイムに展開している政治状況を、米国のように「生きた教材」として活用することを敢えて避けて来たからではないか?それは学校教育の指針となる「学習指導要領」の問題でもあるのかもしれない。
「学習指導要領」の中で政治教育に関する明確な指示がなければ、学校としてもその指導に時間を割くことはできないであろうから。
つまり、国の方針としては、「子ども達=未来の有権者に政治への関心を持たせるつもりはない」と言うことなのだろうか?しかし、選挙権を18歳に引き下げた今、他国に倣って(←スウェーデンなど凄く参考になる)政治や社会への関心を促す教育の実施は急務だと思う。
現状のままではいつまで経っても、日本ではマトモな「民主主義」は育たないと思う。若者もハロウィンに浮かれている場合ではないと思うよ。
【2016.11.07 追記】
マイケルさんは公園で寛ぐニューヨーカーにも、「あなたが思う今回の大統領選のキーワードは?」と言う質問を投げかけていた。これも、一般の米国市民が今回の大統領選をどのように捉えているかを如実に伝えて興味深いので、以下に録画できたものだけだが列挙してみる。
パンクな雰囲気の白人中年女性:"Facts don't matter" 事実なんてどうでもいい~「特にトランプ支持者にはね。」
サングラスをかけた若い白人女性:"The ugly American" 醜いアメリカ人~「この醜い選挙の行方を海外の人も心配している。経済や戦争や難民問題にどんな悪影響があるのだろうって。」
めがねをかけた若い白人女性:"Fear" 恐れ~「「トランプは恐怖を煽ることで支持を得ようとしているし、トランプが勝つことを恐れている人もいる。クリントンが勝つことを恐れている人もいるわ。」
実際は黒人の若手男女なども発言していたのだが、録画が間に合わなかった。何れも否定的な見解だったのは確かだ。マイケルさんによれば、テレビで紹介されたなかった人も含め、すべての回答者が否定的なワードを上げていたと言う。
因みにマイケルさんが掲げたキーワードは"Below the Belt"。これはボクシング用語のひとつで、下半身を攻める反則行為を指すのだと言う。今回の選挙戦では反則行為とも取れる醜い言い争いが多く、下品な下ネタも多かったのが、この言葉を選んだ理由なんだそうだ。