はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

(35)試写会『幸せのレシピ(原題:No Reservations、米国)』

2007年09月20日 | 映画(2007-08年公開)


 AOLの試写会で一足早く見て来ました。当初気付かなかったのですが、2001年製作のドイツ映画『マーサの幸せレシピ(原題:Bella Martha,英題:Mostly Martha)』のリメイクなんですね。最近その『マーサの幸せレシピ』がNHK-BSでも放映されたのだとか。5年前、オリジナル作品を公開時に見た覚えがあるのですが、内容の細かいところまでは覚えていません。邦題はオリジナル作品の邦題を受けてのものでしょうが、原題には、ヒロインに降りかかる”想定外の出来事の数々”と言う意味が込められているようです。

 この数年、ハリウッドはリメイク流行ですが(邦画界、日本のテレビ界も人のことをとやかく言えませんが)、その原因は良質な企画、シナリオの不足にあります。因みに日本のテレビドラマ界では漫画を原作としたドラマのオンパレード。先日日経新聞で、「確実に高視聴率が見込めるから」という制作者側の安易な姿勢が指摘されていました。その場凌ぎの仕事をこのまま続けて、果たしてテレビドラマ界に未来はあるのか?と言いたいところですが、まあ、そこは視聴者が自ずと審判を下すことでしょう。

 さてリメイク作品にはガッカリさせられることが多いのですが、本作『幸せのレシピ』はキャスティングの魅力もあって、チョッピリ期待して見ました。見ての感想は「それほど悪くない」ですね。

 ハリウッドはまさに世界をマーケットに作品作りをしていますから、万人ウケするようアレンジ(翻訳?)するのが得意ですよね。今回はハリウッド流アレンジがプラスに作用していて、リメイクは成功と言えるでしょうか?
 
 舞台はドイツからニューヨークへ。キャリア女性の活躍の場としてはピッタリです。オリジナルとの違いを出そうと腐心したのか、BGMではオペラの楽曲をふんだんに使い、これが結構、強烈に耳に残っています(トウーランドットの「誰も寝てはならぬ」が頭の中でendless状態!(笑))

 オリジナルに劣らぬハート・ウォーミングな仕上がりは、主演のキャサリン・ゼタ=ジョーンズやアーロン・エッカート(←この人も近年頭角を顕わしていますね)や子役のアビゲイルちゃんの熱演&チームワークの良さに負うところが大きいのかも。
 
 アビゲイルちゃんは『リトル・ミス・サンシャイン』での演技でオスカーにノミネートされ、一躍注目を浴びた子役(初出は2002年の『サイン』)ですが、その情感豊かな演技が、先行するダコタ・ファニング嬢の理詰めの演技とは対照的で、さまざまなタイプの俳優の活躍が映画界を活性化させるという意味でも、今後も要注目の一人であります。
      幼いながら、達者な演技を見せてくれます… 

 キャサリン・ゼタ=ジョーンズは良い年の取り方をしているなあ、と本作を見て感じました。演技にたおやかさが出て来たような。私生活の充実ぶりが反映されているのでしょうか?そして容貌は彼女の持ち味である伸びやかな肢体が、2児の母とは思えない美しさでした。それを包み込む、黒を基調としたプライベートのパンツ・スタイルはいかにもキャリア女性という雰囲気。一方、全身白のシェフ姿も、仕事モードへの切り換えの儀式なのか、ウエストで腰ひもをキュッと締める仕草がクール!でたまりません(笑)。

実生活では料理はあまりしないらしいですが、名シェフぶりが板についていました!
インタビューによれば、今回の役を演じるにあたって料理の猛特訓を受け、腕を上げたのだとか…

 

 昨夜のテレビ・ニュースで、米国の最新事情として、ワーキング・マザーの家庭回帰が取り上げられていましたが(具体的には医師などの専門職であってもフルタイムからパートタイムへと切り換え、我が子との時間を優先するワーキング・マザーが増加しているのだとか)、そうした女性の意識の変化も、この映画の製作を後押ししたのでしょうか?なかなか興味深いレポートでした(ブッシュ政権のプロパガンダ情報ではないと思う)

 仕事やプライベートのさじ加減ひとつ(=要領?バランス感覚?)で、人生は味わい深くもなれば、逆に味気なくもなる、ということでしょうか?

■ブログ内関連記事:『ワーク・ライフ・バランスという発想』

【参考リンク】
■本作のオリジナルであるドイツ映画:『マーサの幸せレシピ』公式サイト
■映画情報(allcinema onlineによる):『マーサの幸せレシピ』


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