はなこのアンテナ@無知の知

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人に注意するのは難しい

2008年09月21日 | 日々のよしなしごと
駆け込み乗車、9割が黙認 公共交通機関の世論調査 

20日発表された鉄道や航空、バスなど公共交通機関に関する内閣府の世論調査で、電車に駆け込み乗車したり着陸した航空機が停止する前に席を立ったりする行動を見た人の6割は、危険だと思いながらも、9割の人は「黙認」している実態が浮き彫りになった。止めたり注意したりした人は5%で、高齢者が多かった。調査は全国の成人男女を対象に7、8月に実施、1822人から有効回答を得た。


内閣府って、国民の動向について、いろいろ調査しているんですね。先日も個人ブログの稼働率についての調査結果を目にしたばかりです。

公共交通機関での危険行為について、アンケートに答えた人の6割が「危険」と感じながらも、その内の9割は「黙認」している、というのはそう驚く結果でもないですね(逆に4割の人は危険とさえ感じていない?)。

危険行為もその内容によりけりで、例えば「電車への駆け込み乗車」など、「私は絶対しない」と言い切れる人が果たしてどれだけいるのでしょうか?実際、毎回電車を利用する度に、かなりの数の人が駆け込み乗車をしているのを目にします。同様のことを自分もするかもしれないのに、他人を注意できるはずがないですね。私もこの件については人に注意できる立場にありません。

「着陸した航空機が停止する前に席を立ったりする」人もそう珍しくないですね。我がちに席を立って、天井部分の収納庫から荷物を取りだそうとする人は後を絶たない。機内という密閉空間から一刻も早く抜け出したい気持ちはわからないでもないですが、荷物が誤って手から滑り落ちて、他の誰かの頭を直撃するかもしれないので、これはハッキリ言って止めた方が良いと思う。

一方、前述の「駆け込み乗車」は、それによって他の乗客が危険な目に遭うと言うより、「駆け込み乗車」をした本人に危険が及ぶ可能性が高い。この点で、人々の中では、それぞれの危険行為に対する「許容度」も違ってくるのではないかと思います。一律には語れません。

言うまでもなく、人に注意するにあたっては、その前提として「自分はけっして”注意の対象となる行為”をしない人間である」必要があります。このハードルを越えない限り、注意する資格はありません。例えば「たばこのポイ捨て」をした人に対しては、少なくとも自分は絶対に「たばこのポイ捨て」などしないと誓える人だけが注意できる。もちろん喫煙者であっても構わないのです。「たばこのポイ捨て」さえしないのであれば。全てにおいて完全無欠である必要はないわけです。

先日、元NHKアナウンサーで、現在は良好なコミュニケーションについての啓蒙活動をしておられるという男性のブログで、以下のような記述(要約)を見つけました。

~早朝、犬の放し飼いを禁じられている公園で、犬を放し飼いしている男性を見かけ、注意をした。しかし注意の仕方があまりにもストレート過ぎて、お互い気まずい思いをした。もう少し相手の立場に立って注意をすべきだった。~(詳しくは→初対面の人に注意すること)

明らかに相手のルール違反であっても、やはり相手の立場にも配慮して、注意を促さなければならないのでしょうか?実際問題、こちらがルールを楯に強く出れば、相手は反発して、こちらの注意を聞き入れてはくれない。相手がなぜルール違反をするに至ったかの事情を汲んだ上で、相手への説得を試みるのが最善の策、と言うことでしょうか。

相手を翻意(改心?)させるための方便ではありますが、注意する方はかなりストレスが溜まるなあ~。結局は自己中の人(自ら定めたルールに従って生きている人。何より誰より自分が一番で、他人への迷惑を顧みない人)に対して、ルールを守っている側がそこまで気を遣わなければいけない。その割の合わなさが、人々を黙らせてしまうのでしょうね。「注意するだけ損」と。

注意する(正確には”相手を翻意させる”)には、高度なコミュニケーション能力が要求されるのです。だから人に注意するのは難しいし、勇気が要ります(厳密に言うと危険行為や迷惑行為に対して「注意する」と「不快感を表明する(怒る)」はまたチョット違いますね・笑)。

これが仕事の現場となれば看過できません。放置すれば現場の士気の低下に繋がり、業績にも影響しかねない。そこで管理する立場にある人は、テクニックを用いて対処する必要があるのですね。”いかに相手を自分の味方につけるか”という観点で具体例を挙げて、諭し方のテクニックを教授した下記のサイトは役立つかもしれません。(→人に注意する際の言い方は?)

それにしても内閣府のこうした世論調査の結果発表は何を意図したものなのでしょう?現状認識を促すものなのでしょうか?それとも問題提起なのでしょうか?
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