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ブログ友達のごみつさんおススメの「琉球展」を、九州国立博物館で見て来ました。
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九州国立博物館外観
沖縄の日本復帰50周年を記念しての今回の企画展。
かつて400年間、王家尚氏を頂点に世界に冠たる海洋国家として、東アジアから東南アジアに跨る広範囲の交易で栄え、その名は遠くヨーロッパまで轟いていた「琉球王国」。それが証拠に、当時の琉球の着物がロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館に収蔵されています。
その地の利を生かし他国のさまざまな文化を巧みに取り入れつつ、自国で産出する材料を用いての高度な職人技で、独自の卓越した美術工芸*を確立した琉球。
*漆芸、陶芸、木工、金工、染色、織物、書画、そして土木建築
特に他国への輸出品を監督する官庁が「貝摺り奉行」と言う名称であることからも分かるように、地元で産出する貝(ヤコウガイ等)を用いる「螺鈿細工」は、当時の世界最高品質とも言えるものでした。
その独立国家を1609年に薩摩藩が侵攻して(まず、琉球は純然たる平和国家で武器を持っておらず、薩摩からの急襲に為す術もなかったと聞く)日本に併合した歴史に鑑みれば、「復帰50周年」とは些かおこがましいと言うか…💧
さらに琉球国王は中国皇帝からの冊封使を受け入れて初めて国王としての正式な承認を得るなど、明や清の歴代王朝との関わりは深く、薩摩の侵攻後も中国との朝貢貿易は続いていたわけで、結局、琉球は日本と中国の両方に隷属する形に。
琉球王国時代に製作された数々の優れた美術工芸品と共に、そうした琉球の苦難の歴史も見て取れる展示構成だったように思います。
しかも所謂「琉球処分」で「沖縄県」となってからは、太平洋戦争で(日本において)唯一地上戦が行われた地でもあります。
1949年の中華人民共和国の成立、その翌年の朝鮮戦争勃発を機に、米国は「沖縄」を極東戦略の拠点”The Pacific Key Stone”と位置づけ、戦後77年、そして日本復帰50年を経た今も、広大な軍事基地を沖縄に置いています。
皮肉にも、地政学的な優位性は致命的な弱点にもなり得ると言うことを、今に続く沖縄の歴史が教えてくれているようです。
最近のロシアによるウクライナ侵攻や、延々と続くイスラエルとパレスチナの紛争、そしてペロシ米下院議長の訪台をきっかけとした中国の台湾へのあからさまな威嚇行為。
それらの全てが、琉球が辿った歴史に重なっているようにも見えました。
琉球と言う国の歴史を通して、「ひとつの国家がいかに高邁な志と豊かな文化を以ってしても、その独立を保つのは至難である」と言う冷徹な事実(史実)を突きつけられた、見応えのある展覧会でした。
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カタログの厚さが4cm(約500ページ)近くもあり、「持ち帰り用のプラスチックバッグが家まで持ち堪えるかしら?」と冗談めかして言ったら、レジスタッフさんに苦笑されました。
夫曰く「日本の製紙技術を以ってすれば、もっと薄く軽く製本できたはずだが、カタログの価格を抑える為に紙のグレードを下げたのかもしれないね。」
日本の製紙技術の高さを誇示する代表格と言えば、辞書ですね。極限まで薄くしながら裏に印刷が透けず、しかも丈夫で破けない。凄い技術です。
なるほどね、と思いました。それにしても購入を躊躇するほどのボリューム感です。何れは展覧会カタログも、電子版が登場するかもしれませんね。
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帰りに太宰府天満宮にお詣りしました。3月以来の再訪です。境内は夏らしい設えで、風が吹く度に風鈴の涼やかな音色が辺り一面に響き渡りました。
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今回も終わりの見えないウクライナ戦争を念頭に世界平和と、天満宮が学問の神様ということで、今、勉強中のイタリア語の上達を祈りました。
帰りのバスの出発まで1時間ほどあったので、参道入口近くの「松屋」さんで、当地の名物、梅ヶ枝餅と抹茶のセットをいただきました。こちらも再訪。
この店の梅ヶ枝餅は未だ手焼きの拘りで、皿には裏の庭で摘んだ季節の草花が添えられて何とも風流です。窓から美しい庭を眺めながらの飲食は格別!
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今日(9日)もまた、楽しく充実した1日となりました。
この後、飛行機で帰京となります。
博物館を満喫されてからの、
太宰府天満宮。
〆は当地の名物、
梅ヶ枝餅と抹茶のセット。
最高じゃないですか😆
何よりお茶とお茶菓子。
ほんと美味しそう🤤
無事に帰れて
ゆっくり休めますように。
テル
コメントをありがとうございます。
東京で見逃した展覧会を福岡で見ることが出来ました。たまたまですが…
福岡には3月に墓参りに来たのですが(2年ぶり!)、今回は法事でした。
もう義父母が旅立ち、夫の実家(元々は長崎)はなく、兄弟はいてもホテル滞在なので、もはや帰省と言うより旅行の感覚です。夫なんて進学で郷里を離れてから50年近いですから…
太宰府は子どもの頃から何度も来ている場所ですが、いつ来ても心が洗われるような気がします。
テルさんも、お盆休みで日頃の疲れを癒やされますように!
福岡旅行の記事、楽しく読ませていただいてます。マリンワールドの記事にコメントしようとおじゃましたら、九州で開催中の「琉球展」を見てきたのですね!
東京よりもず〜〜っと沖縄に近いだけに臨場感もありそうですね。
私は知らない事だらけだったので、とても堪能して勉強になった展覧会でした。カタログはめっちゃ重そうですね。(^o^;) 私は買わなかったんだけど、買えばよかったな〜。
里帰りも兼ねてとの事ですが、楽しい旅行になりましたね。
東京も猛暑が続くので、体調管理にはお互いに気をつけましょうね。
コメントありがとうございます。
東京と全く同じ展示構成なのか分かりませんが、古地図、古文書、書画、工芸品、そして先史時代の出土品など、史料が盛り沢山で、飽きさせない内容だったように思います。
とても勉強になったし、現在の世界の状況ともリンクさせて考えると、歴史から学べることって多いんだなと改めて思いました。
ウチは夫が6月でリタイヤしてしまったのでお気楽なものですが、まだ現役の妹、弟家族は法事を済ませると、さっさと自宅に戻る慌ただしさでした。
夫婦で元気に歩けるうちに、いろいろなところに行って、いろいろなものを見たいですね。
ごみつさんも、ご自愛くださいね。
大宰府へはちょうど10年前に地区の旅行で行きました。
沖縄ともなりますと20年前と30年前になります。
できれば来年ぐらいに沖縄へ行きけたらと、、希望だけ持っています。
モノクロ写真素敵ですね。添えられた一言も。
モノクロ写真には陰影の深みがもたらす独特の味わいがありますね。
私も美大時代に写真の授業で、一眼レフカメラでの撮影から現像、プリントまでを経験し、写真の面白さ、奥深さを感じました。
来年、沖縄に行けると良いですね。