はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

財)河鍋暁斎記念美術館に行って来ました(2)

2011年02月20日 | 文化・芸術(展覧会&講演会)

 山口静一先生からいただいた資料を読むと、河鍋暁斎への関心がさらに深まったので、思わず2冊の本を買い求めてしまった。
 
 京都国立博物館で暁斎の肉筆画展が開催されたのを機に発刊されたムック本『別冊太陽 河鍋暁斎』(平凡社、2008)と、明治期に「お雇い外国人」として来日し、日本の近代建築の礎を築いた英国人建築家で、暁斎の愛弟子でもあったジョサイア・コンドルの著作『河鍋暁斎』(岩波文庫、2006)である。

 前者(左画像)は暁斎の豊富な図版、評伝、絵日記、人脈から、ひとつの枠に収まらない画家暁斎の全貌に迫る"暁斎入門書"と言った趣。とにかくカラー図版が豊富で、それらを見ているだけでも楽しい。今回、山口先生からいただいた資料『回想 暁斎作品海外探索記』(山口静一先生執筆)も、この本からのコピーであった。

 後者(右画像)は、建築家でありながら暁斎に弟子入りし、画号「暁英」で画家としても才能を発揮したジョサイア・コンドルが、師、暁斎の生涯、暁斎から学んだ日本画についての詳細な解説、さらには彼自身の暁斎作品コレクション解説を綴った力作だ。白黒ながら図版も豊富で、日本画の技法解説が素人にも分かりやすいものになっている(表紙の絵柄は暁斎の美人画からの抜粋らしい。鮮やかな色彩、優れた意匠性が目を引く)

 建築家コンドルが、ここまで日本画に造詣が深かったとは、本著で初めて知って驚いた。暁斎とコンドル、二人の強固な信頼関係~コンドルが師、暁斎をいかに尊敬していたか、そして暁斎が英国人の弟子、暁英をいかに熱心に指導したか~が、本著の充実ぶりを見れば瞭然である。

 その翻訳を手がけられたのが、誰あろう山口先生なのである。山口先生による巻末の訳註、暁斎・コンドル略年譜、コンドルの日本研究に関する解説は、本著の理解を助ける丁寧な仕事ぶりで、先生の研究者としての誠実さが伺える。



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