はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

地震被災者の救出を祈る

2011年02月25日 | お知らせ
 このところ、自宅の築年数の経過に伴う、自宅内で使用する設備機器の老朽化で買い換えやら、定期点検やらが続き、落ち着かない日々が続いている。やっぱり業者とは言え、知らない他人を自宅に入れるのは神経を使う。特にリフォーム業者なんて、無遠慮に室内をじろじろ見回し、隙あらば、次の商談(あっちが壊れている、こっちが壊れかけとか言ってさ…hekomi)に持ち込もうと手ぐすね引いているように見える。おかげで凹んでいる。



 NZのガーデンシティ、クライストチャーチで、ランチタイムに発生した直下型地震で、数多くの人々が被災し、重症を負ったり、行方不明になっていることには胸が痛む。しかも、行方不明者の1割近くが日本人と言うから驚きだ。それと言うのも、行方不明の日本人学生が語学研修を受けていた語学学校の入居するビルが、原型を殆ど止めないほどに倒壊しているからだ。市内全体で300人前後と言われる行方不明者の内、実に120名が、地震発生時そのビルにいたと目され、瓦礫の下に閉じ込められているらしい。ただただ不運としか言いようがない。地震発生から72時間が人命救助のタイムリミット(この時間を境に、大きく生存率が低下するらしい)と言われているため、日本から駆けつけた災害救助隊による、夜を徹した救助活動が続いている。

 最近は、若者の内向き志向が進み、留学熱がかつてほどではないと言われる中、せっかく活躍の舞台を世界に広げる為、英語を身につけようとの志に燃えてNZに来た学生達が、今回のような天災に巻き込まれてしまったことは、返す返すも残念だ。行方不明者は息子と同年代の若者が多いだけに、親の目線で動向を注視している自分がおり、ひとりでも多くの学生が救出されることを祈っている。

 すぐ近くにほぼ無傷の状態で難を逃れた建物が少なくないだけに、そのビルの被害の甚大さが余計に際立つ。NZは地勢的に日本列島と同じ状況下にあり、地震多発国だと言う。その自覚もあって、NZは80年代までは、耐震建築において世界の最先端を行っていたそうだ。倒壊したビルは1960年代に建てられたもので、倒壊前の写真を見る限り、窓を大きく取った2面ガラス張りが印象的なモダン建築だ。

 建築構造の専門家によれば、6階建てのビルは、比較的堅固な構造のエレベータ部分だけを残し倒壊していることから、ひとつのビルに堅固な構造と脆弱な構造が併存していた為に、地震の負荷が脆弱なフロアの部分に一極集中した「偏心」現象が起きて、今回のような倒壊を招いたのではないかということらしい。

 そもそも耐震構造では、太い柱と十分な面積の壁と筋交いが重要だと聞いている。その要件に照らして見れば、倒壊したビルは見てくれは良いものの、柱が細く、壁面積が不十分で、いかにも脆弱な印象だ。現地での語学学校校長の会見によれば、9月に起きた地震の後、当局によって耐震診断を受け、問題なしとのお墨付きを受けたので、今回の倒壊は予想だにしないことだったと言う。しかし、どう見ても、今回はビルの耐震強度が明暗を分けたとしか思えない。

 しかも、ガラスを多用したモダン中高層建築は、比較的地震の不安がないヨーロッパ(イタリアを除く)を中心にもてはやされたデザインである。空恐ろしいことに、地震大国日本のメガロポリス東京の中高層建築も、全面ガラス張りはけっして少なくない。構造的には世界の最先端を行く日本のビル建築とは言え、割れたガラスの雨が地上の人々の頭上に降り注ぐ事態があり得ることは想像に難くない。

 同じ地震多発国に住む国民のひとりとして、けっして他人事とは思えない、今回のNZの地震だ。本当に恐ろしい。 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 財)河鍋暁斎記念美術館に行っ... | トップ | 銅版画技法を学んでいます »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。