先日銀座へ出かけた。ここかしこに警察官の姿が見えた。道路脇に警察車両のマイクロバスが止まっていた。警察官が歩道の自販機から飲料水を買って車に持ち帰る姿が見えた。日差しの強い日だったので熱中症の予防だろう。お昼時だったので、車中で弁当を使っていたのかもしれない。歩道を歩くと前方に警察官の姿が2人見え、ふり返ると後方にも警察官の姿があった。「見せる警備」なのだそうだ。安全保障のためのプレゼンス(軍の駐留や警察官の警備)なのだ。といって、では具体的にどのような破壊工作が予想されるのか、それを報じているメディアはあまりない。
地下鉄に下りてゆくと、プラットフォームで警察官2人が男に話しかけている。ふむふむ、見ると男は西アジア・中東風の顔つきをしていて、ヒゲも蓄えている。地下鉄の連絡通路にも警察官が2人ずつ立っている。男女のペアもいる。街中がひところの成田空港のような雰囲気である(ただいま現在の成田空港の警備はさらに厳重だろう)。
地下鉄からJR新宿駅南口に出た。若い男女の二人連れが、警察官にコンパクト・デジタルカメラを差し出していた。警察官はダメダメと手を顔の前で大仰に横に振っている。どうやら、観光客に記念写真のシャッターを押してくれないかと頼まれていたらしい。普段なら、まあ、おもてなし、というわけで、シャッターを押してやらぬでもないが、サミット関連の警備が業務となると、警備以外のことをすると失点になるのかもしれない。若い観光客があきらめて警察官から離れていく際に、警察官は「わるいね」という様子で右手を眼の高さまで上げて見せた。
いつも行くスポーツセンターでトレッドミルを歩きながらテレビを見ていると、G7サミット警備が午後のお茶の間向けのニュースショーの格好の話題になっている。ただし、サミットの議題などには深く触れようとしない。
もしサミットが開催されなかったら、このような何万人もの警察官を動員する警備はなかっただろう。ということはサミットに参加するG6の首脳たちが破壊工作を呼び込む可能性があると、日本の警備当局は心配しているわけである。
サミットにはロシアの首脳が参加しないから、シリア問題については議論が徹底しないし、中国首脳の参加がないので、南シナ海の問題や北朝鮮問題、世界経済について突っ込んだ議論もできない。
政治的に重要な国際問題はサミット以外の場所で、日々議論され、適宜決められている。1年に1回の機会を待つような悠長なことはできないのである。G7サミットはお祭りだから、オリンピックと同じで参加できることが政治家としての名誉であり、集まることに意義があるのだろう。
このさい、開催地の持ち回りをやめて、開催国がお金を出し合って、たとえば、今話題のケイマン諸島のどこかに土地を買って、常設のサミット会場をつくってはどうだろうか。
(2016.5.25 花崎泰雄)
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