「ただ最近はみんな考えることは一緒で、競争相手が増えて、なかなか手に入らん。シールを貼るスタッフに金魚のふんや。貼られたはなから買い物かごに入れよる。ほんまがめついおばはんやで。それもようけおるわ」
がめついのは、辻本も同じ穴の狢だ。
「あれ、別嬪さんやろ……!」
十一番レジが辻本の視野にあった。
「まあ……そやけど、化粧がきついわ。目のふち黒うて、まるでタヌキやがな」
スタイルはいいが、客に対応する彼女の化粧は、かなり濃い。
「そないいうけど、ええ子やがな」
辻本は聞く耳を持たぬようだ。
「あの子の方がええな」
思わず言ってしまった。ちょうど、十一番レジに姿を見せた、がっしりタイプの女性スタッフにだった。痩せぎすではない、好みのタイプだった。幸平の妻と、よく似ている。
「どれや?
「タヌキのレジや。交代するみたいや」
「へぇー?あの子け。あんまし美人やないのう。小太りやし、女らしい丸みがないわ。下駄みたいな顔しとるがな」
「それがええんや」
幸平は彼女から目を離せなかった。もしかしたら辻本の対抗上、彼女に目を奪われたのかも知れない。それでも見れば見るほど、心が騒ぐ。久しぶりに味わう高揚感だった。
「弁当売り場へ行くか」
辻本は、よっこらしょと立ち上がった。
「あんたのええっちゅう女の子のお顔を拝見すっか」
辻本は興味津々な顔つきだった。
とんかつ弁当は残り一個。辻本はほくそ笑みカートに取りのけた。それを裏返した。
「なんで?」
「半額シール、知り合いに見られたら恥ずかしいやんけ」
のけぞった。半額弁当のお得意さんの言葉ではなかった。プライドは健在らしい。
がめついのは、辻本も同じ穴の狢だ。
「あれ、別嬪さんやろ……!」
十一番レジが辻本の視野にあった。
「まあ……そやけど、化粧がきついわ。目のふち黒うて、まるでタヌキやがな」
スタイルはいいが、客に対応する彼女の化粧は、かなり濃い。
「そないいうけど、ええ子やがな」
辻本は聞く耳を持たぬようだ。
「あの子の方がええな」
思わず言ってしまった。ちょうど、十一番レジに姿を見せた、がっしりタイプの女性スタッフにだった。痩せぎすではない、好みのタイプだった。幸平の妻と、よく似ている。
「どれや?
「タヌキのレジや。交代するみたいや」
「へぇー?あの子け。あんまし美人やないのう。小太りやし、女らしい丸みがないわ。下駄みたいな顔しとるがな」
「それがええんや」
幸平は彼女から目を離せなかった。もしかしたら辻本の対抗上、彼女に目を奪われたのかも知れない。それでも見れば見るほど、心が騒ぐ。久しぶりに味わう高揚感だった。
「弁当売り場へ行くか」
辻本は、よっこらしょと立ち上がった。
「あんたのええっちゅう女の子のお顔を拝見すっか」
辻本は興味津々な顔つきだった。
とんかつ弁当は残り一個。辻本はほくそ笑みカートに取りのけた。それを裏返した。
「なんで?」
「半額シール、知り合いに見られたら恥ずかしいやんけ」
のけぞった。半額弁当のお得意さんの言葉ではなかった。プライドは健在らしい。