どうも
ツキから見放されている。
何をしても
想う通りの結果には至らない。
歯がゆい思いを
じーっと我慢する時期なのだろうか。
また心を癒されに、
あの顔を拝みに行くか。
大谷幸平は
イオンタウンに向かった。
売り場に回ると、
レジ前に設けられた
休憩スペースのソファーに座った。
慌てることはない。
時間はたっぷりある。
(いた!)
七番レジに彼女はいた。
がっしりした体格が目立つ。
顔はお世辞にも
十人並みとはいいがたい。
年齢はいまだに
知るすべもないが、
幸平より三十ほど
若いのは確実だ。
「早いのう」
辻本だった。
同年輩のイオン仲間である。
小柄な男だ。
植木屋を
一人でやっている。
「今日は、
仕事、
休みか?」
「午前中で済ましたわ。
えろうてなあ」
「年やのに、
そない頑張らんでええがな」
「仕事せなんだら、
お得意さんも困るやろが。
そいに
わしが食えんように
なってまうがい」
幸平と隣り合わせたソファーに、
辻本は
ドカッと尻を下した。
泥の汚れが残る作業着から
草木の匂いがかすかにする。
「お?
七番におるやないか」
「シー。
声が大きいで」
「かまへんわ。
年寄りのいうことなど、
誰が聞きよる。
そないな物好き、
わしらだけや」
小柄な体に似合わぬ
大きな声の持ち主だった。
それに
気をつかう性格ではない。
「ほう。
キツネ、
元気そうやのう。
よかったやないけ」
七番レジのの女性を、
幸平と辻本は
キツネと呼ぶ。
彼女はキツネ目なのだ。
レジを通るたびに、
まともに顔を合わせている。
レジには、
ほかにタヌキがいる。
イタチもアライグマも。
幸平と辻本にかかっては、
動物園扱いの
レジスタッフだった。
しかし
実害があるわけではない。
むしろ年寄り二人が
リピート客になるのだ。
歓迎されて
然るべきだ
ツキから見放されている。
何をしても
想う通りの結果には至らない。
歯がゆい思いを
じーっと我慢する時期なのだろうか。
また心を癒されに、
あの顔を拝みに行くか。
大谷幸平は
イオンタウンに向かった。
売り場に回ると、
レジ前に設けられた
休憩スペースのソファーに座った。
慌てることはない。
時間はたっぷりある。
(いた!)
七番レジに彼女はいた。
がっしりした体格が目立つ。
顔はお世辞にも
十人並みとはいいがたい。
年齢はいまだに
知るすべもないが、
幸平より三十ほど
若いのは確実だ。
「早いのう」
辻本だった。
同年輩のイオン仲間である。
小柄な男だ。
植木屋を
一人でやっている。
「今日は、
仕事、
休みか?」
「午前中で済ましたわ。
えろうてなあ」
「年やのに、
そない頑張らんでええがな」
「仕事せなんだら、
お得意さんも困るやろが。
そいに
わしが食えんように
なってまうがい」
幸平と隣り合わせたソファーに、
辻本は
ドカッと尻を下した。
泥の汚れが残る作業着から
草木の匂いがかすかにする。
「お?
七番におるやないか」
「シー。
声が大きいで」
「かまへんわ。
年寄りのいうことなど、
誰が聞きよる。
そないな物好き、
わしらだけや」
小柄な体に似合わぬ
大きな声の持ち主だった。
それに
気をつかう性格ではない。
「ほう。
キツネ、
元気そうやのう。
よかったやないけ」
七番レジのの女性を、
幸平と辻本は
キツネと呼ぶ。
彼女はキツネ目なのだ。
レジを通るたびに、
まともに顔を合わせている。
レジには、
ほかにタヌキがいる。
イタチもアライグマも。
幸平と辻本にかかっては、
動物園扱いの
レジスタッフだった。
しかし
実害があるわけではない。
むしろ年寄り二人が
リピート客になるのだ。
歓迎されて
然るべきだ