こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

ちょっと真剣

2016年11月09日 12時03分57秒 | つぶやき
別れが、
あれほど突然に訪れるものだとは
思いもしなかった。
いつかは話さなければ、
いつかは一緒にやりたかった希望が
跡形もなくなるなんて
信じられなかった。

それを兄はやってのけた。
弟をたったひとり残して
逝ってしまった。

一つ違いで仲のいい兄弟だった。兄
弟喧嘩はよくしたが、
だれが見ても仲のいい証拠だった。
どちらかが困ると助け合ったものだ。
どちらかといえば、
弟のほうが面倒をかける機会が
多かったかも知れないけど。

このまま年老いても、
二人はいつも仲のいい兄弟だと
信じて疑わなかったのに、
兄は一方的にそこから退散してしまった。

寂しかったし恨みもしたけど、
いまは兄の大きな存在感を
思い出の中に刻みつけている。
兄ならどうしただろうか。
兄ならどう怒っただろうか。
いつもそう思っている。

母も亡くなり遺った父は、
もう九十三だ。
後継ぎとして育った兄貴を
いまだに懐かしがっている。
「あいつが生きとったらのう!」が
口癖だ。
残った息子が
甲斐性なしの私だから
仕方がない。
黙って聞いてるしかない。

父親のそばにいてやることが、
私のできる親孝行だと
開き直っていたけれど、
世間の見る目は違う。

「よその子供らは
ほんまに稼ぎがええのう」

父の愚痴もそんな風に変わって来た。
今更金儲けや
偉いさんになれるはずがないのに。
でも父の言葉は
身に染みて仕方がない。

兄だったら
どんな助言をしてくれるだろう。
夢ばかり追いかける
現実離れした弟の生き方を認めて
応援までしてくれた兄だ。
兄が亡くなってから、
普通の暮らしをと頑張った。
家庭を持ち四人の子供も育て上げた。
それじゃまだ駄目なのか。
「アホか。
お前はお前の生き方がある。
誰にも恥じることないわ」
兄ならそう言ってくれそうだ。

兄の笑顔を思い出したら、
スーッと気が楽になった。

兄の分も親孝行しないとな。
コメント
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