「このきれいな人、だれ?」
古いアルバムを引っ張り出してみていた娘が、すごい発見をしたかのように訊いた。
覗き込んで、思わず言葉を失いかけた。初恋の女性の写真だった。見られて弁解に追い込まれそうな写真はアルバムからはがし、別にしまっておいたはずが、一枚残っていた!
「ああ、このヒトか。親戚の女の子や」
「どこの?鳥取?大阪?名古屋?」
親戚の分布図を記憶する娘は、しつこい。
「……お前の知らん親戚の娘さんや……」
「どれどれ」と割り込んできたのは妻だった。
「ああ、このヒトなあ、遠い親戚さんやがな」
さすが母親である。娘に納得顔をさせた。(やれやれ)と胸を撫で下ろした。ところが、ことは役者が入れ替わっただけだった。
「ほんまに誰なん?あんた狼狽えてたやん」
二人きりになったとたん、妻の追及は始まった。嘘でごまかし、なんとか切り抜けた。
古いアルバムは要注意。油断が災難を招く。
古いアルバムを引っ張り出してみていた娘が、すごい発見をしたかのように訊いた。
覗き込んで、思わず言葉を失いかけた。初恋の女性の写真だった。見られて弁解に追い込まれそうな写真はアルバムからはがし、別にしまっておいたはずが、一枚残っていた!
「ああ、このヒトか。親戚の女の子や」
「どこの?鳥取?大阪?名古屋?」
親戚の分布図を記憶する娘は、しつこい。
「……お前の知らん親戚の娘さんや……」
「どれどれ」と割り込んできたのは妻だった。
「ああ、このヒトなあ、遠い親戚さんやがな」
さすが母親である。娘に納得顔をさせた。(やれやれ)と胸を撫で下ろした。ところが、ことは役者が入れ替わっただけだった。
「ほんまに誰なん?あんた狼狽えてたやん」
二人きりになったとたん、妻の追及は始まった。嘘でごまかし、なんとか切り抜けた。
古いアルバムは要注意。油断が災難を招く。