こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

奇跡をくれた成人式

2022年01月08日 02時29分45秒 | 日記
昔は15日が成人式だった。
とはいえ私は成人式を済ませていない。
だからまだ子供なのである。(大笑)
当時コックをやっていた私、
忙しい日で仕事に追いまくられていた。
「きみ成人式やなかったかな」
上司であるY専務に声を掛けられたのは、
当日の朝。
「仕事があるんで……」
「アホなこと言わんとき。
人生で日本国民として祝ってもらえる唯一といっていい晴れの日や。
それを参加せんでどないすんや。
仕事なんかええさかい、今からはよ行ってきい」
上司の好意で仕事場を追い出されたが、
結局私は成人式に出なかった。
加西の会場には間に合う時間だったが、
私の足は姫路城三の丸広場に向かっていた。
お城を眺めながらベンチでひとり過ごしてしまった。
上司の好意を裏切ってしまったのを今も悔やんでいる。
そんな成人式は、
皮肉にも私の人生に奇跡を与えてくれたのだ。
当時33歳、喫茶店のマスターだった。
根暗な性格と人見知りがひどくて、
女性との出会いが全くなかった私は、
’もう結婚はええねん)と、
人並みな幸せを諦め仕事趣味に没頭し始めた時期だった。
「マスター、どない見直すやろ」
カウンターの向こうに立ったのは晴れ着姿の女性。
趣味のグループで活動する仲間で、成人式の帰りだという。
普段はジーパン姿の彼女が振り袖姿。
狼狽え気味の私に笑顔を向ける彼女は、頬を赤く染めていた。
ピーン!と何かが私の頭を貫いた。それは恋心。
恋に気付いた時は、すでに愛に始まるものだと初めて知った瞬間だった。

後に彼女は私の人生のパートナーになってくれた。
成人式が奇跡を起こしてくれたと、今も信じている。
妻との結婚生活は40年近く続いている。
13違いの夫婦。それこそ奇跡といっていいかも知れない。
コメント
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