こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

鬼の親孝行

2016年02月09日 01時37分18秒 | 文芸
小3の時、

学芸会で鬼の役を演じた。

役に当たらない子供が

出ないように配慮する現在と違う。

平等主義の時代ではなかった。

 ひとり一役。

中には役を外れる子も出た。

成績のいい人気者が主役で、

先生がそれとなく匂わせて、

クラスの多数決で選ぶのだ。

その結果、

私は鬼に選ばれた。

 お芝居は「こぶとり爺さん」。

いいおじいさんのコブをちぎりとり、

悪いおじいさんにくっつける赤鬼だ。

進んでやりたい役ではない

 それでも父親は喜び、

鬼の金棒や、

衣装を作った。

鬼の役でも、

わが子が選ばれて嬉しかったのだ。

当日も

母と一緒に駆けつけた。

 ところが、

金棒の出来が良すぎ、

先生は

セリフの多い青鬼役の小道具に

回してしまった。

 せっかく父の作ってくれた金棒も

人に取られ、

ますます嫌な舞台である。

それが、

舞台に上がり、

客席に父と母の姿を発見すると、

俄然やる気が出た。

親を喜ばせたい気持ちが勝った。

怖い鬼の声を懸命に作った

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

炎とともに

2016年02月08日 01時11分12秒 | 文芸
7日、

ムラの恒例行事、

畔やきを実施した。

天気は上々。

昼の1時に一斉スタートdさ。

村のあちこちに白煙が上がる。

それぞれの住まいの近くから、

畔やきに入り、

奥まったところにある、

ため池の土手へ向かう。

てんでにバーナーやを持つ。

用心のために

じょうろの水を片手にぶら下げて

万全だ。

昔なら、みんな揃って、

灯油を詰めた竹を、

たいまつにしていた。

今は、

べっりな草や木バーナーが

席巻している。

ホームセンターで

かなり格安で売られている。

となれば、

誰もかれもが手に入れる。

便利で手間いらずなのには、

昔なじみの竹製たいまつに

出番はなくなるのが当然だ。

ああ~

昔のよき風情は、

もう望みようがない。

行事に顔を見せるのも、

大幅に世代交代を告げている。



ついに、畔焼き行事の

大見せ場、

池の土手へ一斉に火をつける草焼きである。

なめるように、

炎が底部から上昇する様は、

いつ目にしても

大迫力である。

ただ、

家事が怖い。

炎は風を呼ぶ。

そして、たちなびく白煙!

無理にむせながら、

土手をかけめぐる村の仲間たち。

その信頼関係が、

この

春先に欠かせない、

伝統の迎春行事を守り続けている。

下池と奥池、

村の水源として、

威容を誇る二大ため池の土手の

枯草を焼き払い、

害虫を退治し、

若草をはぐくむのだ。

しだいに

消えゆく

白煙とともに、

今年も

無事に

行事をやり遂げたのだ。

お疲れさん

ご苦労さん

また来年、

炎をともに

野に放とうぜ。

誓いあうように、

老いも若きもともに

顔を輝かせている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

もう泣くなよ

2016年02月07日 01時37分30秒 | 文芸
「これからだよ」

おかあちゃんが

つぶやいた

「待ってるから、

いっぱい」

息子を

みようとしない

「すばらしいことが」

天を仰いだ

おかあちゃん

ぽろっと

こぼれた涙

「それが、

お前の

人生なんだから」

声が

震えていた

それでも

息子を

みようとしない

でも息子のことで

頭が

いっぱいなんだ

それだけは

ちゃんと

わかった

おかあちゃんの

息子だもん

わかってるよ

もう人様に

迷惑かけないわ

もう

おかあちゃんの



見たくないもん

いい息子に

なるからさ

もう泣くなよ

ええか、

おかあちゃん!



いくら

語りかけても

もう何も

言ってくれない

僕が

大事に

しまってた

思い出も

受け止めて

くれやしない

そうか

おかあちゃん

天国に

行っちゃった

んだよな
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

さ、さむー!

2016年02月06日 00時57分56秒 | 文芸
さあ!

お風呂だぞ。

孫との至福の時間?

妻のサインで、

すかさず風呂場に。

風呂の暖房を入れる。

脱衣所も暖かくなるように

浴室のドアは

開けっぱなしてっと……!

ササッと、

着衣を脱ぎ捨て、

素っ裸に。

ブルッ!

まだ寒いなあ。

慌てて、

浴槽のふたを開ける。

「え?」

なんと、

なんとまあ!

浴槽は空っぽだ!

、呼び出しブザーで、

妻を呼ぶ。

「まだ赤ちゃんを裸にすんなー!」

「なんで?」

のんびりした口調の妻。

しかし、

すぐ状況を察した。

急に笑い出した。

「何がおかしいんや?」

「だって、あんた、寒いんちゃう?」

そこで、気づいた。

素っ裸ってことを。

赤ちゃんに寒い思いをさせたくないとの、

思いが先行して、

すっかりわが身の不幸(?)を、

忘れていたぞ。

どたばたと、

とりあえず下着を穿いた。



どうやら、

浴槽の湯入れ口が機能していない。

シャワーを浴槽に突っ込んで、

湯を満たしながら、

あっちこっちいじったが、

湯入れ口はポコッと反応するだけ。

結局シャワーで湯を満たしたが、

あの至福の時間が、

どっかにいっちゃった!

風呂のリフォームして、

まだ3か月もたっていないんだぞ!



でも、孫と入浴は、

やはり至福の時をくれた。



とりとめのない

日常の顛末話でした。

ごめんなさいね。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

川柳でっせ

2016年02月05日 01時52分06秒 | 文芸
頬つねる 娘の化粧 あんた誰?




わさび抜き 優しいだけの 俺みたい 




わさび抜き 寿司を注文 まだ子ども




わさび味 なんでもかでも ピリッとしろ  




生わさび チューブ入りでも 生なんだ




わさび味 子どもの方が 通になる




コレクション ちりも積もれば ゴミ屋敷 




大人買い 子ども時代を コレクション




コレクション 理解されない ものばかり  




コレクション 部屋いっぱいの 自己主張 




父と子が ガラクタ集め 自画自賛 




恋の道 小道具いらず ガチ勝負




小道具に 大根役者 位負け




小道具も 使いこなせぬ 木偶の坊 




男伊達 小道具だとて 酔狂だ




深深(しんしん)と霜夜(しもよ)寝(ね)つかずページ繰(く)る




オレオレと うちの子言わぬ 上品なの




忘れない ひと言相談 詐欺ストップ!




騙されぬ 地域の絆 侮るな




受験生 バクチに似たり 運まかせ




一夜漬け つかり損ねて 不合格 




小道具で 誤魔化す貧乏 すぐにバレ




ハラハラと 親が限界 受験生




本番が 苦手と主張 いま三浪




受験生 仲間意識が 芽生えてる




気くばりは されて嬉しい してハッピー




夫婦仲 気くばりあれば 敵はなし




気くばりが 社会に愛を 植えつける




気くばりで 優しさいっぱい みな笑顔




気くばりで 大きく育つ 子らの夢




人気者? 客寄せパンダ 勘違い




中国の パンダ外交 気をつけろ




白黒の パンダのデビュー 紅白だ 




檻の中 パンダの親子 幸せかい




かわいいな パンダは野獣 忘れてる 




家事ならば 誰にも負けぬ 優男




イクメンを 名乗る亭主 ただのヒモ




年金が 減ったねと笑う 般若顔




ダイエット? ガリガリ娘 なぜやるの




納豆を 妻は料理に アクセント




初任給 うるさい親に 金一封 




給料日 祝って散財 独り者




給料日 妻の文句が 待っている




できたよと はにかみ娘 孫告知    




きょうもまた 定年自慢 生きがいだ




さあ時間 半額総菜 狙い買う




断捨離は 他人任せで 無事終わる




ゴミ屋敷 お宝埋まる でも場所は?




いってらっしゃい 妻の本音が 見抜けない




コレクション 家族のたまう ガラクタね




恵まれし 子宝いまは 家なき子




いまやると 言わぬが花で 妻ニッコリ




あの頃は 一番風呂で いま「入る?」




おたく誰? あんたこそ誰? ボケ同窓




憧れた マドンナまさか いま男




カラオケで スターになってる ひとり部屋




ヒトカラの しらふで歌う 失恋歌 




波高し 天気晴朗 恋日和 




人生の 荒波どうぞ ニューフェイス




さざ波に 右往左往の 田舎者




胸熱く 波打つ鼓動 片想い




寄せる波 返す手のひら 要注意




鶏が はい!チーズで ポーズとる

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

愛の始まり

2016年02月04日 00時57分44秒 | 文芸
生まれつき気の弱い男の子だった。

親も認めた内向的な性格は、

成長しても一向に変わらない。

だから友達も恋人も作れなかった。

 三十代のころ

心をときめかす相手と知り合った。

十以上年の差がある彼女。

私に向けられた好意はすぐ分かった。

男の自分が態度を明らかに

しなければならないのだが、

彼女を前にすると、

素知らぬ風を装ってしまう。

 成人式を迎えた彼女が、

式の帰りに私の店を訪ねて来た。

あたりさわりのない言葉で迎えた私に、

彼女はポツリと言った。

「独りで頑張っているあなたを

眺めていられないから、

あたしがお嫁さんになってあげる」

 いつもの冗談かと

本気にしなかったが、

彼女の顔は真剣そのものだった。

その時だった。

自分でも意外な言葉が口をついて出た。

「からかうなよ。

ただ君を幸せにする気持ちは、

俺、

だいぶん前から持ってるんだ」

 内気な男の

精いっぱいな告白だった。

 いまも妻との力関係は

変わっていない。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アセアセ

2016年02月03日 00時22分20秒 | 文芸
新年早々に出産した娘の里帰り。

初孫を連れて来た。

嬉しくてたまらない。

「お父さんも

抱っこする?」

 さすがわが娘、

父の思いを分かっている。

とはいえ、

生まれたての赤ん坊を抱くのは、

実に二十数年ぶり、

やはり躊躇がある。

「何してんの、

おじいちゃん。

抱っこ抱っこって、

孫が待ってるじゃないの」

と妻が傍から合いの手だ。

ほんまに余計なお世話だよ。

 不安が先に立って、

体はコチンコチン。

ぎごちなく赤ん坊の頭に左手を添えて……

右手を……!

じーっと見つめる妻と娘。

ハラハラしてるのを感じる。

不安がどっと襲いかかる。

 慌てて抱っこ。

赤ん坊の顔がクシャッと歪んだ。

(ああー泣くな!)

願い空しく、

案の定赤ん坊は泣きだした。

不安を感じたのだ。

「まあまあ、

何やってんの、

おじいちゃんは」

 サッと

妻に赤ん坊を奪われた!

無念!

 今夜は孫と初風呂。

上手くこなして、

安心できるおじいちゃんになれる

絶好の機会だ。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

うるさいなあ

2016年02月02日 00時52分41秒 | 文芸
「もう車ん中、

臭いー!」

 家族に総スカンを食らう。

冬場はまだいいが、

夏場は自分でも異臭を感じるほど。

 実は、

しょっちゅう車で弁当を食べている。

独身時代からそうだった。

仕事場の駐車場のマイカー内で

お昼を食べた。

人前で弁当を開くのは苦手で、

なんとも食べた気がしない

子供時代は

麦飯と醤油につけた(?)花かつおが

おかずの貧しい弁当。

弁当箱を包んだ新聞紙に

醤油の染みがくっきりと出ていて、

恥ずかしくて堪らなかった。

隣席の級友は白いご飯と黄色い卵焼き。

とても弁当を広げて食べる気にならない。

弁当箱のふたで隠し、

こそこそと食べたものだ。

車を持つと、

大っぴらに弁当を持ち込み食べた。

弁当ガラが車内に残り、

それが匂った。

「消臭スプレーかけたー?」

 最近は、

私の車へ家族が乗る前に必ず確認する。

当の本人は、

さほど感じないのに、

大げさな奴らだと思うばかりである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

結婚式

2016年02月01日 00時38分14秒 | 文芸
昨年春、

娘が結婚した。

 神戸の結婚式場が決まるまで、

娘と彼は,

何度も式場へ足を運んだ。

ウェディングドレスや料理の決定に、

何度も検討を重ねてようやく決まった。

料理の有料試食会など、

本番まで結構費用をかけたようだ。

そして、

迎えた結婚式。

その豪華さに、

ただただ驚かされた。

 花嫁の父として臨んだ,

チャペルウェディングも、

厳かな演出に彩られたものだった。

花嫁姿の娘が見せた、

感極まる表情と、

豪華な結婚式が重なって、

心中いささか複雑だった。

 思い出す。

場末の神社でひっそりと,

地味に挙げたわが結婚式。

「お金より、

温かい心に包まれた結婚式が,

素敵でしたよ」

妻が短大で教えられた先生の賛辞である。

よき時代だった。

 しかし、

時代は変わった。

誰も彼も競って,

豪華な結婚式を挙げるのが,

常識(?)になっている。

少子化で、

わが子に,

お金を十分にかけられる

親が増えたのだ。

この風潮では、

わが息子らの結婚式は

当面望めないだろう。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする