難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

弱視障害者の著作権法改正の要望

2010年11月20日 14時05分32秒 | 著作権
弱視者問題研究会が、文部科学大臣と文化庁長官宛に要望書を提出した。

障害者放送協議会も推進会議に情報バリアフリー全体の問題と合わ
せて著作権問題の要望書をだそうと準備をしている。


ラビット 記
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2010年11月15日
文部科学大臣 高木義明様
文化庁長官 近藤誠一様

弱視者問題研究会
代表 並木 正

著作権法の一部改正を求める要望書

 日頃より視覚に障害のある児童・生徒の教育にご理解とご尽力を
賜り厚く御礼申し上げます。また、2008年6月には「障
害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に
関する法律」いわゆる「教科書バリアフリー法」を成立させていた
だき、その後も拡大教科書の普及にご尽力いただいていることに深
く敬意を表します。

 教科書バリアフリー法の施行により、教科書出版社による拡大教
科書の発行が徐々に進んでおり、これまで拡大教科書製作に追われ
ていた拡大写本ボランティアグループは副教材や参考書、問題集、
一般図書などの拡大文字化に取り組めるような状況になってきました。
しかし、ボランティアがこれらの教材の拡大版に取り組む際に全て
の著作権者に許諾を得なければならないという大きな足かせがあり
ます。拡大教科書については著作権法第三十三条第二項により著作
権が制限されておりますので、著作権許諾の問題に悩まされること
はありませんが、副教材などの書籍は教科書ではないためこの条文
は適用されません。
また、第三十七条第三項では、政令で定められたもの、つまり点字
図書館や公共図書館、学校図書館、大学図書館、国会図書館などの
施設では視覚障害者等のために著作物を拡大することは許されてお
りますが、ほとんどのボランティアグループや志ある個人は法人格
を持たず、図書館にも関係しておりませんので、政令で定めるもの
とはなっておりません。
よって、全国各地で活動する拡大写本ボランティアは複数の弱視児
童・生徒のために教科書以外の書籍の拡大版を製作しようとする時
に全ての著作権者に許諾を得なければならないということになります。
しかし、実際は著作権者の連絡先すら分からず、事実上弱視児童・
生徒の学習環境を整えようとしても著作権法上できないというはが
ゆい状況に陥っています。

 我が国も批准を検討している国連障害者権利条約の30条には
「締約国は、国際法に従い、知的財産権を保護する法律が、障害者
が文化的な作品を享受する機会を妨げる不当な又は差別的な障壁と
ならないことを確保するためのすべての適当な措置をとる。」と定
められています。
2009年の著作権法改正審議の際に衆議院文部科学委員会の付帯決
議として「障害者のための著作物利用の円滑化に当たっては、教科
用拡大図書や授業で使われる副教材の拡大写本等の作成を行うボラ
ンティア活動がこれまでに果たしてきた役割にかんがみ、その活動
が支障なく一層促進されるよう努めること。」という項目も決議さ
れています。

 また、内閣府の知的財産戦略本部から検討の要請があり、現在文
化庁で審議されている日本版fair useは、障害者にとっても
情報格差を解消するための「公正な」利用を促進するものでなけれ
ばならないと考えます。これは憲法が定める法の下の平等や教育の
機会均等を実現するための重要な要件とも考えられます。

 そこで全国の地域で活動するボランティアグループや個人が弱視
児童・生徒の学習環境整備に専念でき、視覚障害者等が障害の有無
に関わらず、文字・活字文化に平等にアクセスできるような環境の
整備が望まれます。
よって、現行の著作権法第三十七条第三項にある「福祉に関する事
業を行う者で政令で定めるもの」を「情報を保障するもの(但し、
営利を目的とする場合を除く。)」と改正していただけますよう要
望いたします。ご検討の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

(連絡先)
弱視者問題研究会
代表 並木 正
〒175-0092 板橋区赤塚

著作権の日本版フェアユースについてパブコメ募集中。

2010年06月16日 09時37分27秒 | 著作権

著作権法は改正されたものの、すべての障害者の著作物のアクセスを保障しているとは言えない。

著作権法は、どうしても制限列挙の限界を超えられないからだ。必ず記述から漏れる対象が生じる。
また、著作権者の著作権フリーやアクセシビリティ保障を求めるものでもないからだ。

実際、テレビ放送事業者、映画会社等映像著作物制作者にに字幕や手話の付加を義務つけられているわけでもなく、映像著作物に字幕や手話を入れたり、入れたものを貸し出すには、福祉事業に関わる事業者と文化庁長官に指定された事業者しか著作制限の対象にならない。

下記の議事録には、障害者放送協議会著作権委員会井上委員長の意見陳述があり、具体的な例を述べている。
例えば、寝たきりの高齢者が本を読むのにページをめくれないが視覚障害者向けの録音図書を使えば読める。
このケースを著作権法では権利制限をしていない。

こうしたケースはフェアユースであることを宣言すれば、著作権制限になることを法規定に盛り込む。これが包括か規定だ。


ラビット 記

-----障害者放送協議会著作権委員会の主張--------------
文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第4回)議事録
日時:平成21年8月25日(火曜日)15時~17時19分
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h21_shiho_04/gijiyoshi.html

資料4 障害者放送協議会提出資料 <pdf/shiryo_4.pdf>(PDF 形式(176KB))
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h21_shiho_04/pdf/shiryo_4.pdf

----著作権課からの案内-----
法制問題小委員会権利制限の一般規定 ヒアリング等関係各位

(前略)

権利制限の一般規定の検討にご尽力頂きましてありがとうございます。

お陰様で平成22年5月21日の文化審議会著作権分科会において「法制問題小委員会権利制限の一般規定に関する中間まとめ」が取りまとめられましたので本日より6月24日正午まで意見募集を行います。

ご意見等がございましたら、下記HPの募集要領等をご覧の上 ご提出下さい。

何卒よろしくお願い致します。

【e-Gov(電子政府の総合窓口) HP】
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000465&Mode=0

【文化庁HP プレスリリース】
(正)→【文化庁HP プレスリリース】
http://www.bunka.go.jp/oshirase_koubo_saiyou/2010/tyosakuken_iinkai_ikenbosyu.html

ーー他のMLでの紹介よりーーーーーーーーーー

6月24日正午締切でいわゆる日本版フェアユースに関するパブリックコメントが募集されております。(下記、文化庁のサイトをご覧ください。)
http://www.bunka.go.jp/oshirase_koubo_saiyou/2010/tyosakuken_iinkai_ikenbosyu.html

類型A その著作物の利用を主たる目的としない他の行為に伴い付随的に生ずる当該著作物の利用であり、その利用が質的または量的に社会通念上軽微であると評価できるもの
例)写真や映像の撮影に伴ういわゆる「写り込み」

類型B 適法な著作物の利用を達成しようとする過程において合理的に必要と認められる当該著作物の利用であり、かつ、その利用が質的又は量的に社会通念上軽微であると評価できるもの
例)・CDへの録音許諾を得た場合におけるマスターテープ等中間過程での複製
  ・漫画のキャラクターの商品化を企画し、著作権者に許諾を得るにあたって必要となる企画書等における当該漫画の複製

類型C 著作物の種類及び用途並びにその利用の目的及び態様に照らして、当該著作物の表現を知覚することを通じてこれを享受(視る、聴く等)するための利用とは評価されない利用
例)・技術の開発や検証のために、著作物を素材として利用する利用
  ・ネットワーク上で複製等を不可避的に伴う情報ネットワーク産業のサービス開発・提供行為

(第47条の六、七に関しては、以下のサイトでご覧ください。)

http://www.bunka.go.jp/chosakuken/pdf/21_houkaisei_horitsu_jouhun.pdf

http://www.bunka.go.jp/chosakuken/21_houkaisei.html

11・25著作権院内集会議事録公開される。

2009年12月15日 12時18分43秒 | 著作権
シンポジウム「著作権法改正と障害者の著作物利用・情報保障を考える」の議事録が公開された。

視聴覚障害者以外の障害者の情報アクセスの問題も浮き彫りになった。

国会図書館では、古い書籍の保存のためのデジタルアーカイブ化とともに視覚障害者がアクセスできるようなテキストデータ化も検討されている。
しかし、映像の字幕付加など聴覚障害者向けサービスについてはまだ手つかずということだった。
参加した議員が国会図書館の担当官に訪ねた様子は委員会質疑のようだった。
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/copyright/1125_symposium/index.html


ラビット 記

改正著作権法の情報アクセス権に関わる院内集会

2009年11月25日 18時27分10秒 | 著作権
参議院会館の1階の会議室で著作権集会を行った。

大臣クラスは来ないがこれまで情報アクセス権に関わる議員たちが参加していた。
集会の会場や呼びかけをされたのが民主党障害者プロジェクトチーム事務局長の小宮山議員だ。

視覚障害、聴覚障害、学習障害、全身性障害、脳性マヒ、発達障害の当事者が報告した。
見たり、聞いたりという視聴覚機能だけでは情報にアクセスできない人が多いことがわかった。
宇宙物理学者のホーキング博士のALS障害者も新聞や書籍を読むのに、その本を手元に取り寄せ、ページをめくること自体がバリアーになっている。
図書が電子化された形で読めるようになれば、より利用しやすくなる。

学習障害児もマルチメディアデイジー図書の形で読めば理解が出来、普通の質問も答えられ、子どもも歓びを感じられる。デイジー図書を増やす施策を要求した。
音訳ボランティアは改正著作権法では著作権の許諾を受け続けなければならないことを訴えていた。

著作権課が来るのかと思ったが来ていなかった。


ラビット 記

著作権シンポジウム 明日参議院内で開催

2009年11月24日 18時16分02秒 | 著作権
明日、障害者の情報アクセスに関わる著作権シンポジウムが参議院開催される。


ラビット 記
写真は静岡市庁舎
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シンポジウム
「著作権法改正と障害者の著作物利用・情報保障を考える」

障害者関係20団体で構成される障害者放送協議会では、足かけ10年にわたり、障害者の情報保障促進や著作物利用環境の格差是正等を目指し、著作権法の関連条項の改正を求めて活動してまいりました。来年1月1日施行の法改正で「障害者も健常者と同様に多様な情報へのアクセスが可能」になる(文化庁資料)とされていますが、実際に障害者全ての情報保障があらゆる場面において健常者と「同様」となるのか、法律の実効性の問題、残された課題等について検討が必要です。
このような趣旨をふまえ、広く国民的な議論をして頂くための問題提起として、下記のシンポジウムを開催したく、関係する多くの皆様にご参集を呼びかけるものです。



日 時:平成21年11月25日(水)12時30分~14時40分
場 所:参議院議員会館 第3会議室 (東京都千代田区永田町二丁目1-1)
主 催:障害者放送協議会

内 容:関係者からの意見発表とシンポジウム
テーマ:改正著作権法への期待と今後の課題
開会挨拶・来賓紹介
1)趣旨説明 井上 芳郎(障害者放送協議会著作権委員会委員長)
2)意見発表(各10分・計70分)(順不同・敬称略)
石川 准(静岡県立大学国際関係学部教授)
浅利 義弘(全日本ろうあ連盟理事)
高岡 正(全日本難聴者・中途失聴者団体連合会理事長/CS障害者放送統一機構副理事長)
山中 香奈(兵庫県LD親の会代表)
橋本 操(日本ALS協会副会長)
田中 久徳(国立国会図書館総務部企画課電子情報企画室長)
市橋 正光(大活字文化普及協会事務局長)
3)意見交換(30分) コーディネート:河村 宏(デイジーコンソーシアム会長)
4)まとめ
5)閉会挨拶

問い合わせ・申し込み:事務局(日本障害者リハビリテーション協会内 有田、長田)
〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1
TEL:03-5273-0796  FAX:03-5273-0615  E-mail: ic@dinf.ne.jp
※お名前、所属の他、情報保障ご希望の有無等必要事項を添えてお申し込みください。

著作権法改正に関わる国会の決議など

2009年11月15日 20時31分31秒 | 著作権
障害者放送協議会著作権委員会より、改正著作権法に関わる国会決議などが紹介された。

著作権法の一部を改正する法律案の概要(文化庁作成)
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h21_shiho_01/pdf/sankoushiryo_3.pdf

平成21年通常国会 著作権法改正について
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/21_houkaisei.html

著作権法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
衆議院文部科学委員会 2009/05/08
http://www.shugiin.go.jp/itdb_rchome.nsf/html/rchome/Futai/monka7C67B3E98A3FA93B492575B00030142E.htm

著作権法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
参議院文教科学委員会 2009/06/11
http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/171/f068_061101.pdf


ラビット 記
写真はすっかり黄色に染まったいちょうの木。真っ青な秋空との対比がきれいだ。

図書館のファックスと著作権法

2009年11月15日 06時11分30秒 | 著作権
著作権法の「公衆送信」は、同時に不特定の公衆に送信する場合でなくても、送信側が不特定の公衆求めに応じる場合、これは個別通信ではなく、公共的なサービス機関のサービス提供としてファックスすると「公衆送信」となり、送信するものが著作権保護の制限を受けるということがわかった。

視覚障害者などが図書館のレファレンスを受ける場合に著作物の一部をファックスしてもらって読み上げソフトにかけるということが出来ないと聞いた。
これは、聴覚障害者も電話の代わりにファックスをよく使うが図書館は著作物をファックスしてはいけないことを初めて知った。

まだまだバリアーの多い著作権法だ。
障害者の権利条第30条
「知的財産権を保護する法律が、障害者が文化的な作品を享受する機会を妨げる不当又は差別的な障壁とならないことを確保するためのすべての適当な措置をとる」


ラビット 記
写真は三島市のを流れる川のほとりに文化作品の碑がある。
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「図書館のような公衆を対象としたサービス機関から
利用者である個人に向けて著作物の一部なりをfaxで送信する場合について、これは公衆送信に規定されるというのが、著作権を扱うときの一般的な解釈」とのことだ。

著作権情報センターの「はじめての著作権講座Ⅱ」では次のように説明している。
「個々には電話と同じように、公衆によって受信されるものではありませんが、
求めがあればだれにでも送信する組織的なサービスですから、全体としては、公衆送信を形成するといえます。」
http://www.cric.or.jp/qa/sigoto/sigoto2_qa.html

「その他の公衆送信」
上記3類型以外の送信。ファクシミリによる同報配信サービス(Fネット)など。

改正著作権法の障害者側の巨大な意義

2009年11月14日 17時57分50秒 | 著作権
改正著作権法の政令案のパブリックコメント募集が始まった。

改正著作権法は、視聴覚障害者を視覚または聴覚により著作物の利用が困難な人と、初めて視覚または聴覚障害者以外の障害者の情報アクセスに道を開いたという巨大な意義がある。

難聴者にとっても身体障害者手帳を有無を問わず、その聴力デシベルの程度、利用の程度によらない、広く難聴者の情報アクセスに道が開けたということだ。

それは、第37条2の1号と2号の「聴覚障害者の利用するのに必要とする方式」というのは、聴覚障害者というのが聴覚で聴覚著作物(音で聞いて利用するもの、映像の視覚で理解するものを含む)を利用するのが困難な障害者としているからだ。

「必要な方式」というのは、たとえばテレビ番組をそのままでは利用するのが困難な知的障害者、学習障害者、ディスレクシア、認知症の高齢者などが必要とする方式と理解できる。

この場合、音声を言葉にした字幕だけでは理解が難しく、どうしても映像を伴った色々な方式、ストップモーション、スロー再生、解説字幕と解説音声、触式点字装置などが必要となるのではないか。

聴覚著作物をDAISYフォーマットで公衆送信できるようにするためにも、「利用できる方式」は重要。
聴覚障害者の場合の字幕と手話の付いた著作物の公衆送信は良い事例になる。

ストップモーション、スロー再生方式が普通の人の視聴に向かないことは当然です。それ自体がコピーガードになりることも指摘しておきたい。


ラビット 記
写真は、幼少の頃行ったはずの三島大社。50数年ぶりに訪れたことになる。

改正著作権法の政令案に対するパブリックコメントの募集

2009年11月14日 02時42分28秒 | 著作権
改正著作権法に関わる政令案が示された。
著作権法施行令の一部を改正する政令案の概要

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=185000442&OBJCD=&GROUP=にある。

聴覚障害者が、強く要求していたのは、
1)字幕/手話の付いた映像著作物の公衆送信の著作権制限をすること
2)字幕/手話をつけるために必要な原板の入手は簡易な方法とすること
3)同著作物の貸し出しにあたってはコピーガードの付加は条件としないこと
4)同著作物の貸し出しにあたって、制作者に補償金を求めないこと
だ。

これに加え、
これまで字幕制作に関わっていた幅広い団体、サークルを排除しないこと
も要望していた。

聴覚障害者情報提供施設の他に、法人格のない団体も認められる。
また、聴覚障害者に情報を提供する企業等も認められることになる。
「聴覚障害者等のために情報を提供する事業を行う法人(法人格を有し
ない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。)」

技術的能力のあるものというがコピーガードを要件とはしていない。
「聴覚障害者等のための複製又は自動公衆送信を的確かつ円滑に行うことができる技術的能力、経理的基礎その他の体制を有するものとして文化庁長官が指定するもの」

また聴覚著作物を自動公衆送信と貸出しを利用する聴覚障害者の確認も求められていない。

聴覚障害者の事項を定めているところに、「視覚障害者」とあるのは間違いだろう。

ラビット 記
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「著作権法施行令の一部を改正する政令案」に関する意見募集の実施について
平成21年11月13日

このたび,「著作権法施行令の一部を改正する政令案」に関する意見募集を実施しますので,お知らせいたします。

1.趣旨
 平成21年通常国会において「著作権法の一部を改正する法律」(平成21年法律第53号)が成立し,一部の規定を除き,平成22年1月1日から施行されることとなって
います。これに伴い,文化庁では,「著作権法施行令」(昭和45年政令第335号)について必要な規定の整備等を行う予定です。
 このため,行政手続法39条に基づき,「著作権法施行令の一部を改正する政令案」について,意見募集を行います。詳細については別紙・意見募集要領をご覧ください。

2.実施期間
 平成21年11月14日(土曜日)~平成21年12月13日(日曜日)

3.対象となる資料
 電子政府の総合窓口(e-Gov)に掲載されています。
 ⇒http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public

(本件についてのお問い合わせ先)
文化庁長官官房著作権課法規係
電話: 03-5253-4111(内線2775)

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著作権法施行令の一部を改正する政令案の概要
「著作権法の一部を改正する法律(平成21年法律第53号。一部を除き、平成22年1月1日施行)の施行に伴い、著作権法施行令について必要な規定の整備等を行う
(施行期日:平成22年1月1日)

Ⅰ障害者福祉関係(法第37条第3項、第37条の2)
1.政令委任事項
改正後の著作権法(以下「法」)第37条第3項及び第37条の2では 「障害者の福祉に関する事業を行う者で政令で定める者」が、視覚障害者等向けの録音図書の作成や聴覚障害者等向けの映画字幕の作成等を行うことができる旨規定。

2.改正内容
(1)視覚障害者等のための複製等が認められる者(法第37条第3項関係)
○以下の施設を設置して視覚障害者等のために情報を提供する事業を行う者を一般的に定める。
①児童福祉法第7条第1項の知的障害児施設及び盲ろうあ児施設
②大学・高等専門学校に設置された図書館及びこれに類する施設
③国立国会図書館
④身体障害者福祉法第5条第1項の視聴覚障害者情報提供施設
⑤図書館法第2条第1項の図書館
⑥学校図書館法第2条の学校図書館
⑦老人福祉法第5条の3の養護老人ホーム及び特別養護老人ホーム
⑧障害者自立支援法第5条第12項に規定する障害者支援施設及び同条第1項に規定する障害福祉サービス事業(生活介護(第6項)自立訓練(第13条)就労移行支援(第14項)又は就労継続支援(第15項)を行う事業に限る。)を行う施設
○その他の条件として、
・①、④及び⑧を設置する者については、非営利目的の法人に限定。
・⑤については、司書又はこれに相当する職員として文部科学省令第1条の3で定める職員を置いている図書館に限定。また、その設置主体を地方公共団体又は公益社団法人若しくは公益財団法人に限定。
○①~⑧の施設を設置する者のほか、視覚障害者等のために情報を提供する事業を行う法人(法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。)のうち、「視覚障害者等のための複製又は自動公衆送信を的確かつ円滑に行うことができる技術的能力、経理的基礎その他の体制を有するものとして文化庁長官が指定するもの」を定める。

(2)聴覚障害者等のための字幕等の作成・自動公衆送信が認められる者(法第37条の2第1号関係)
○身体障害者福祉法第5条第1項の視聴覚障害者情報提供施設を設置して視覚障害者等のために情報を提供する事業を行う者(非営利目的の法人に限る。)を一般的に定める。
○上記のほか、聴覚障害者等のために情報を提供する事業を行う法人(法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。)のうち、「聴覚障害者等のための複製又は自動公衆送信を的確かつ円滑に行うことができる技術的能力、経理的基礎その他の体制を有するものとして文化庁長官が指定するもの」を定める。

3 聴覚障害者等のための字幕や手話付きの映画の作成・貸出しが認められる者(法第37条の2第2号関係)
○以下の施設を設置して聴覚障害者等のために情報を提供する事業を行う者を一般的に定める。
①大学・高等専門学校に設置された図書館及びこれに類する施設
②身体障害者福祉法第5条第1項の視聴覚障害者情報提供施設
③図書館法第2条第1項の図書館
④学校図書館法第2条の学校図書館
○その他の条件として、
・②を設置する者については、非営利目的の法人に限定。
・③については、司書又はこれに相当する職員として文部科学省令第1条の3で定める職員を置いている図書館に限定。また、その設置主体を地方公共団体又は公益社団法人若しくは公益財団法人に限定。
・全てについて、法第37 条の2第2号の規定の適用を受けて作成された複製物の貸
出しを文部科学省令で定める基準に従って行う者に限定。
○①~④の施設を設置する者のほか、聴覚障害者等のために情報を提供する事業を行う法人(法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。)のうち、「聴覚障害者等のための複製を的確かつ円滑に行うことができる技術的能力、経理的基礎その他の体制を有するものとして文化庁長官が指定するもの」を定める。

もともとテレビ番組の再送信は著作権制限されている

2009年11月12日 13時12分12秒 | 著作権
映像の公衆送信は、公共の福祉の目的で
「再送信」が認められている。

「<3> 非営利かつ無料で放送を同時再送信する場合の規定の見直し
 現行著作権法では、難視聴対策や景観維持等のための共同受信など、放送を受信して行う非営利かつ無料の有線放送を権利制限の対象とした上で、著作物、実演、レコード及び放送等の権利が働かないことになっているが、自動公衆送信については、このような制限はない。」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/06083002/007.htm
IPマルチキャスト放送の著作権問題を検討した平成18年の報告書にあった。

映像をなん視聴者のために再送信しと字幕、手話を37条2の1号によって送信し、視聴する時に合成する形でしか見られない方式を取れば現行法でも大丈夫なのか。
合成しなくては見られない方式やパソコンだけでしか見られない方式が普及するのだろうか。

著作権に関する集会の企画が進んでいる。まだ内容、発表者は未確定。


ラビット 記
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フォーラム「著作権法改正と障害者の著作物利用・情報保障を考える」(案)

1.主催:障害者放送協議会

2.開催趣旨:
障害者放送協議会では著作権委員会を中心に足かけ10年間にわたり、障害者の情報保障促進や著作物利用環境の格差是正等のため、著作権法の改正を求め活動してまいりました。来年1月1日施行の改正では、第37条及び第37条の2などが大幅に改正されます。これは私どもの要望が一部認められたものであり基本的には歓迎するものですが、あくまでも現行著作権法の枠内での改正にとどまったため、残念ながら「積み残し」を作りかねない課題を多く含んでおります。
日本政府が批准を目指す「国連障害者の権利条約」第30条では、「知的財産権を保護する法律が、障害者が文化的な作品を享受する機会を妨げる不当な又は差別的な障壁とならないことを確保するためのすべての適当な措置をとる」とし、このことは今回の改正でも考慮され、文化庁資料によると「障害者も健常者と同様に多様な情報へのアクセスが可能」としています。しかしながら障害者全ての情報保障があらゆる場面において健常者と「同様」となるのかどうか、実際のところ疑問なしとはしません。条約の早期批准のためにも、「実効性」の検討や「積み残し課題」の解決が是非とも必要になってまいります。
以上のような趣旨から問題提起の場として、関係する多くの皆様にご参集を呼びかけるものです。

3.日時:2009年11月25日(水)12時30分~14時40分(受付12時10分~)

4.会場:参議院議員会館 第3会議室(定員60名)

5.内容:関係者からの意見発表と意見交換
テーマ:改正著作権法への期待と今後の課題
1)開会挨拶:
2)来賓挨拶:
3)趣旨説明:井上 芳郎(障放協著作権委員会委員長)
4)意見発表:(各10分・計80分)(順不同)
視覚障害者関係 
聴覚障害者関係 
発達障害者関係 
四肢体幹機能麻痺者関係(通常の印刷物での読書等が困難な方達)著作者関係
図書館関係
出版者関係
放送事業者関係
5)意見交換:(30分)
閉会挨拶:
※ 連絡及び問い合わせ先
障害者放送協議会 事務局:財団法人 日本障害者リハビリテーション協会内
〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 電話:03-5292-7628  FAX:03-5292-7630

※ 会場内に報道関係の取材が入る予定です。ご了承ください。

聞こえる人には画面の字幕や手話はノイズ 著作権

2009年11月12日 12時55分56秒 | 著作権
著作権課によれば、字幕と手話の付いた映像の公衆送信は放送事業者など著作権者が認められないと言っているそうだ。

○受信した人が他の人に譲渡したりするからというのだろうか。これは、聴覚障害者がその著作物にアクセスできない
字幕と手話を付いた映像を一般の視聴者は利用するのだろうか。

字幕放送がなぜクローズドキャプション方式で提供されているか、聞こえる人には不要だからだ。

聞こえる人は聞きながら映像を見るので同一視野に字幕や手話が入るとそれが「聞いた」言葉の情報処理上のノイズになる。つまり、見なくても良い字幕や手話それ自体が「コピーガード」的な性格を持つ。

NHKは緊急災害時の放送に備えて、24時間文字入力者を待機させることはできないという。手話放送も出来ない。
なのに、当事者組織が字幕、手話の付けた番組を公衆送信することを認めない。
自らができないということを、聴覚障害者の情報支援する組織が字幕と手話を付けるというのに、著作権を主張して認めないのはなぜか。

○著作権が侵害されるからか。字幕と手話の付いた映像が再利用されればそれは現行法で取り締まることができる。

○著作権の許諾を求めれば許諾するからか。
いつ起こるか分からない緊急時の放送には一時の遅れも許されないのに、許諾が降りるのを待てない。

○リアルタイムでない公衆送信が視聴者に誤解を与えるからと聞いたことがある。
今でも、放送事業者自身がニュースの度に同じ素材を使い回しているではないか。
何時の映像か説明すれば事足りることだ。


ラビット 記

爆笑問題に長尾国会図書館長が出演

2009年11月11日 22時05分53秒 | 著作権

昨夜、爆笑問題に、長尾真国会図書館長が出演した。
余り馴染みがない国会図書館だが障害者の情報アクセスの鍵を握るキーパースンなので、注目した。

なぜ注目を集めるのか、国会図書館が蔵書のデジタル化、デジタルアーカイブを170億円で進めようとしているが、デジタル化されれば、視覚障害者や発達障害者も含めて、書籍へのアクセスが容易になると思われるからだ。

これは、グーグルのすべての図書のデジタルアーカイブ化を進める計画に対抗した我が国の動きにも関わりがある。
すでに、デジタル化に当たって、著作権者である作家関係団体、出版業界、図書館関係者等で協議を進めている。
なぜこの中にステークホルダーの一つである利用者団体や障害者団体が入っていないのか。

長尾館長は、出版物のアクセスフリーを求める集まりにも出て講演をしている。理解があるのではないかと思う。

国会図書館には音源や音楽の他DVDなどの映像著作物
も多く納本されている。
著作権法改正により、国会図書館も映像著作物に字幕と手話を付けて貸出しが出来るようになる。
当事者団体と貸出しと配信の方法など協議をして、始めてほしい。


ラビット 記

全ての障害者が著作権法改正でより豊かな文化を

2009年11月01日 14時16分32秒 | 著作権


障害者放送協議会著作権委員会では、改正著作権法の持つ問題を打開するために、緊急に著作権問題の集会を行おうとしている。

障害者の権利条約で著作権が障害者の著作物のアクセスを制限しないように定められているにも関わらず、聴覚障害者や他の障害を持つ人のアクセスが十分保障されていないためだ。

河村宏委員が、10年前の著作権問題の院内集会で私たち障害者が著作権問題をどのようにとらえていたか、語っている。


ラビット 記
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10年前の集会は、既に著作権法37条に明記されていた視覚障害者の点字と録音による情報アクセス保障のための権利制限に続いて、ネット会社と著作権者のリアルタイム字幕配信をめぐる聴覚障害者抜きの「交渉」や当時はまだあった講演者による手話通訳拒否等の聴覚障害者にかかわる問題と、Print Disabilityと総称されるLDや上肢障害、知的障害、脳外傷等の読みの障害についての権利保障も著作権法に明記させようと言う意図で持たれました。詳しい記録はリハ協のWebサイトにあると思います。

集会後6か月の交渉の結果として、37条にリアルタイム字幕の配信を一定の条件を満たす団体について政令で指定して認める線で権利者に権利制限を認めるほか、点字のネット送信も権利制限をして認めるという線で合意すれば最短時間で法改正するという文化庁の案が示され、放送協議会でずいぶん議論した結果、「視覚障害に続いて聴覚障害も権利制限の対象であることを法律に明記させることで、障害者の運動で一般法である著作権法も改正できるという実績をまず作り、引き続き著作権法が不備なために情報アクセスが保障されていない他の障害分野にも権利制限を適用させる運動を強める」という合意に達しました。

当時著作権委員会の委員長としてこの合意を取りまとめさせていただいた私として
は、視聴覚障害以外の団体の皆さんが、この妥協に応じた後も、いわば自分たちには直接関係しない法案と政令の交渉に常に同席して連帯を示されたことに感動を覚えると共に、改正著作権法が施行されたらただちに視聴覚障害以外の分野にも権利制限を拡張する活動を展開する責任を負っているという思いを抱きながら運動を進めていたことを記憶しています。

それから10年が経ち、やっとすべての障害について具体的に情報アクセスが妨げられれば著者の権利を制限することができる枠組みが見えてきました。問題は、この新しい枠組みを活用して今までできなかった情報アクセスが保障される可能性があるすべての人々がこの新しい枠組みを活用するにはあと何をするべきかです。そしてすべての障害分野が権利制限の共通の土俵に立ったうえで、一丸となってよりよい方向を目指すべく、皆で床を一段高くする作業が、来年1月1日の改正著作権法施行と権利条約批准に向けて必要です。

そのように考えると、今の時点で井上委員長が提案する国会議員会館内集会は大変重要で、これまでの著作権法に明記されていなかった障害分野を重点にできるだけ障害者本人か直接支援する家族・支援者等から現在抱えている情報アクセスの困難と改正著作権法への期待を語っていただき、文教科学委員会(著作権法)、内閣委員会(国立国会図書館)、予算委員会の国会議員・秘書に重点的に参加を呼び掛けて、来年の国民読書年がこれらの切実な声にきちんと応えるものであるように訴え、政令のパブリックコメントが、今までよりも一回り大きな国会内外の取り組みになるように構成するのが良いと考えます。

その上で、来年2月に予定される放送協議会の集会は、新しく運動に参加される団体
も共により高い目標を掲げて運動をすすめられるのではないでしょうか。
問題はタイミングですので、遅くとも11月下旬までにはこの集会を成功させる必要があると思います。

河村

障害者の著作権法改正の意義の確認

2009年11月01日 12時28分59秒 | 著作権
河村宏委員が10年前の著作権問題院内集会のことに触れた講演会記録は、DINFNETにあった。

「私の夢を創るスター・ヒルズ 「聴くシネマ館」テープ読者交流会」の「著作権の現況」と題した、河村宏先生の講演記録だ。
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/copyright/genkyo.html

一般法を民間の障害者団体が要求して、改正させたのは初めてで、その意義に付いても説明されている。
改めて、著作権改正は大きな前進だったと思う。


ラビット 記