弱視者問題研究会が、文部科学大臣と文化庁長官宛に要望書を提出した。
障害者放送協議会も推進会議に情報バリアフリー全体の問題と合わ
せて著作権問題の要望書をだそうと準備をしている。
ラビット 記
-------------
2010年11月15日
文部科学大臣 高木義明様
文化庁長官 近藤誠一様
弱視者問題研究会
代表 並木 正
著作権法の一部改正を求める要望書
日頃より視覚に障害のある児童・生徒の教育にご理解とご尽力を
賜り厚く御礼申し上げます。また、2008年6月には「障
害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に
関する法律」いわゆる「教科書バリアフリー法」を成立させていた
だき、その後も拡大教科書の普及にご尽力いただいていることに深
く敬意を表します。
教科書バリアフリー法の施行により、教科書出版社による拡大教
科書の発行が徐々に進んでおり、これまで拡大教科書製作に追われ
ていた拡大写本ボランティアグループは副教材や参考書、問題集、
一般図書などの拡大文字化に取り組めるような状況になってきました。
しかし、ボランティアがこれらの教材の拡大版に取り組む際に全て
の著作権者に許諾を得なければならないという大きな足かせがあり
ます。拡大教科書については著作権法第三十三条第二項により著作
権が制限されておりますので、著作権許諾の問題に悩まされること
はありませんが、副教材などの書籍は教科書ではないためこの条文
は適用されません。
また、第三十七条第三項では、政令で定められたもの、つまり点字
図書館や公共図書館、学校図書館、大学図書館、国会図書館などの
施設では視覚障害者等のために著作物を拡大することは許されてお
りますが、ほとんどのボランティアグループや志ある個人は法人格
を持たず、図書館にも関係しておりませんので、政令で定めるもの
とはなっておりません。
よって、全国各地で活動する拡大写本ボランティアは複数の弱視児
童・生徒のために教科書以外の書籍の拡大版を製作しようとする時
に全ての著作権者に許諾を得なければならないということになります。
しかし、実際は著作権者の連絡先すら分からず、事実上弱視児童・
生徒の学習環境を整えようとしても著作権法上できないというはが
ゆい状況に陥っています。
我が国も批准を検討している国連障害者権利条約の30条には
「締約国は、国際法に従い、知的財産権を保護する法律が、障害者
が文化的な作品を享受する機会を妨げる不当な又は差別的な障壁と
ならないことを確保するためのすべての適当な措置をとる。」と定
められています。
2009年の著作権法改正審議の際に衆議院文部科学委員会の付帯決
議として「障害者のための著作物利用の円滑化に当たっては、教科
用拡大図書や授業で使われる副教材の拡大写本等の作成を行うボラ
ンティア活動がこれまでに果たしてきた役割にかんがみ、その活動
が支障なく一層促進されるよう努めること。」という項目も決議さ
れています。
また、内閣府の知的財産戦略本部から検討の要請があり、現在文
化庁で審議されている日本版fair useは、障害者にとっても
情報格差を解消するための「公正な」利用を促進するものでなけれ
ばならないと考えます。これは憲法が定める法の下の平等や教育の
機会均等を実現するための重要な要件とも考えられます。
そこで全国の地域で活動するボランティアグループや個人が弱視
児童・生徒の学習環境整備に専念でき、視覚障害者等が障害の有無
に関わらず、文字・活字文化に平等にアクセスできるような環境の
整備が望まれます。
よって、現行の著作権法第三十七条第三項にある「福祉に関する事
業を行う者で政令で定めるもの」を「情報を保障するもの(但し、
営利を目的とする場合を除く。)」と改正していただけますよう要
望いたします。ご検討の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
(連絡先)
弱視者問題研究会
代表 並木 正
〒175-0092 板橋区赤塚
障害者放送協議会も推進会議に情報バリアフリー全体の問題と合わ
せて著作権問題の要望書をだそうと準備をしている。
ラビット 記
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2010年11月15日
文部科学大臣 高木義明様
文化庁長官 近藤誠一様
弱視者問題研究会
代表 並木 正
著作権法の一部改正を求める要望書
日頃より視覚に障害のある児童・生徒の教育にご理解とご尽力を
賜り厚く御礼申し上げます。また、2008年6月には「障
害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に
関する法律」いわゆる「教科書バリアフリー法」を成立させていた
だき、その後も拡大教科書の普及にご尽力いただいていることに深
く敬意を表します。
教科書バリアフリー法の施行により、教科書出版社による拡大教
科書の発行が徐々に進んでおり、これまで拡大教科書製作に追われ
ていた拡大写本ボランティアグループは副教材や参考書、問題集、
一般図書などの拡大文字化に取り組めるような状況になってきました。
しかし、ボランティアがこれらの教材の拡大版に取り組む際に全て
の著作権者に許諾を得なければならないという大きな足かせがあり
ます。拡大教科書については著作権法第三十三条第二項により著作
権が制限されておりますので、著作権許諾の問題に悩まされること
はありませんが、副教材などの書籍は教科書ではないためこの条文
は適用されません。
また、第三十七条第三項では、政令で定められたもの、つまり点字
図書館や公共図書館、学校図書館、大学図書館、国会図書館などの
施設では視覚障害者等のために著作物を拡大することは許されてお
りますが、ほとんどのボランティアグループや志ある個人は法人格
を持たず、図書館にも関係しておりませんので、政令で定めるもの
とはなっておりません。
よって、全国各地で活動する拡大写本ボランティアは複数の弱視児
童・生徒のために教科書以外の書籍の拡大版を製作しようとする時
に全ての著作権者に許諾を得なければならないということになります。
しかし、実際は著作権者の連絡先すら分からず、事実上弱視児童・
生徒の学習環境を整えようとしても著作権法上できないというはが
ゆい状況に陥っています。
我が国も批准を検討している国連障害者権利条約の30条には
「締約国は、国際法に従い、知的財産権を保護する法律が、障害者
が文化的な作品を享受する機会を妨げる不当な又は差別的な障壁と
ならないことを確保するためのすべての適当な措置をとる。」と定
められています。
2009年の著作権法改正審議の際に衆議院文部科学委員会の付帯決
議として「障害者のための著作物利用の円滑化に当たっては、教科
用拡大図書や授業で使われる副教材の拡大写本等の作成を行うボラ
ンティア活動がこれまでに果たしてきた役割にかんがみ、その活動
が支障なく一層促進されるよう努めること。」という項目も決議さ
れています。
また、内閣府の知的財産戦略本部から検討の要請があり、現在文
化庁で審議されている日本版fair useは、障害者にとっても
情報格差を解消するための「公正な」利用を促進するものでなけれ
ばならないと考えます。これは憲法が定める法の下の平等や教育の
機会均等を実現するための重要な要件とも考えられます。
そこで全国の地域で活動するボランティアグループや個人が弱視
児童・生徒の学習環境整備に専念でき、視覚障害者等が障害の有無
に関わらず、文字・活字文化に平等にアクセスできるような環境の
整備が望まれます。
よって、現行の著作権法第三十七条第三項にある「福祉に関する事
業を行う者で政令で定めるもの」を「情報を保障するもの(但し、
営利を目的とする場合を除く。)」と改正していただけますよう要
望いたします。ご検討の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
(連絡先)
弱視者問題研究会
代表 並木 正
〒175-0092 板橋区赤塚