難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

電話リレーサービスはユニバーサルサービス料金で。

2015年03月22日 12時00分39秒 | バリアフリー
電話リレーサービスの普及のネックになっている問題の一つが、料金の負担です。
電話料金にはユニバーサル料金が課金されているが、この制度がスタートする時2007年のパブリックコメントの意見に全難聴、全日本ろうあ連盟が出しています。
その時の意見の結果を発見しました。その当時から、業界側にも高齢者や障害者に対するサービスを提供するという社会福祉政策的視点がありました。
しかし、結論の報告からはこれらの視点は削除されてしまいました。また、将来はブロードバンドの普及による新しいサービス、IP電話も考えなくてはならないが、固定電話中心という方向がありました。それは携帯電話が固定電話をはるかに越える普及を見せたことで再度制度が変わっているようです。

今のユニバーサルサービス料金政策にアクセシビリティの検討を加えるために、障害者制度改革の環境が進んだことの他に、電話料金が距離によらないIP電話が固定電話を越えたことや、技術の変化がきっかけにならないでしょうか。

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ユニバーサルサービス制度の将来像に関する 検討アジェンダ案に対する意見招請結果
(平成19年(2007年)3月29日)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/chousa/universal_service/pdf/070329_2_si1.pdf

【ユニバーサルサービス政策の目的(2)】
・ ユニバーサルサービスの構成要件にaccessibility(高齢者・障害者が利用できる特性)を加えるべき【全難聴】
【ユニバーサル制度に係る検討の時間軸(2)】
・ 新構成要素(accessibility)の具現化に向け、時間的要素を考えるべきである。 理由:(d)高齢者・障害者が利用できる特性(accessibility)の内、特に電話リレーサービスの具現化に向け開発計画には時間軸に組み込むことが不可欠である【全難聴】
【フェーズ2(2010年以降)における制度見直しの方向性(3)】
⑥聴覚障害者のアクセス手段として、メディア変換サービス、ブロードバンドサービス、公衆電話、緊急通報を補てん対象とすべき【ろうあ連盟】
注目されることは、この時点で社会福祉政策との関連を通信機器業界も通信サービス事業者もコメントしていることです。
【ユニバーサルサービス政策の目的(1)】
①IP化の進展した環境下においては、社会福祉政策やサービス提供地域の拡大振興策と連携しつつ、3つの構成要件の再検討が必要。その際は、ユーザのためのユニバー サルサービスであることを前提とした議論をする必要【CIAJ】
②今後、高齢化社会が進展することを考えた場合、電気通信サービスの枠を越えた社会福祉政策も目的の一つとして考える必要【QTNet】
【フェーズ2(2010年以降)における制度見直しの方向性(3)】
⑤「次世代ブロードバンド戦略2010」を推進し、デジタル・ディバイドを解消することは重要な課題であると考えるが、サービスの普及における地域間格差を是正することを目 的にしたデジタル・ディバイド解消とユニバーサルサービス制度の議論は厳密に区別して検討すべき【KDDI】
⑦今後、高齢化社会が進展し、高齢者の健康・福祉政策を目的としたサービスが出現することが考えられるが、この場合、ユニバーサルサービスとして確定する条件または 基準をどうするか検討する必要がある。【QTNet】

上記意見の元
ユニバーサルサービス制度の将来像に関する検討アジェンダ案 に対する意見招請結果及びこれに対する考え方 平成19年3月29日 総合通信基盤局
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/chousa/universal_service/pdf/070329_2_si2.pdf

しかし、「結論」として、こうした意見を提出したにもかかわらず、地域格差の解消のためにとどめられてしまったことが分かります。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/chousa/

障害者総合支援法の意思疎通支援者の広域派遣

2015年03月22日 11時56分29秒 | 障がい者制度改革
「今般の障害者総合支援法の意思疎通支援では地域生活支援事業の必須事業として要約筆記、手話通訳の派遣が「複数市町村の住民が参加する障害者団体等の会議、研修、講演、講義等・市町村が派遣できない場合などへの派遣」や「A市在住の者が同都道府県B市(又は他都道府県C市)に出向く場合などにおいて、都道府県が両市間の派遣調整を行うことなど」を想定するようになりました。」

障害者総合支援法地域生活支援事業
意思疎通支援事業 【平成25年4月1日施行】
1)都道府県に新たな必須事業 都道府県事業 78条
① 意思疎通支援を行う者のうち、特に専門性の高い者を養成し、又は派遣する事業
※ 手話通訳者、要約筆記者、触手話及び指点字を行う者の養成又は派遣を想定
※ 複数の居住地の聴覚障害者の集まる場への派遣(総合支援法付帯決議)
 ② 意思疎通支援を行う者の派遣に係る市町村相互間の連絡調整等広域的な対応が必要な事業
2)市町村に新たな必須事業 市町村事業 第77条6項
(1)④ 意思疎通支援を行う者の養成
※ 手話奉仕員の養成を想定
※ 手話及び要約筆記を行う者の派遣も必須、両方の実施
※ 障害者基本法第3条と第22条
3)障害者総合支援法附則第3条による見直し規定
「手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等に対する支援の在り方」

地域生活支援事業実施要綱 平成25年(2013年)5月15日 予算成立日
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/chiiki/dl/index01.pdf

1.おもな内容 障害者総合支援法地域生活支援事業 第77条、第78条
【都道府県事業】 ( )は実施要綱案の内容
① 特に専門性の高い意思疎通支援を行う者(手話通訳、要約筆記者)の派遣(別記15)
② 整複数の居住地の聴覚障害者の集まる場への派遣 (別記15)
「障害者団体等の会議、研修、講演または講義」と明記
③ 市町村間、都道府県間の広域派遣事業の連絡・調整 (別記16)
2013年3月27日の自立支援振興室長通知を参考に実施することを明記
④ その他、市町村が派遣出来ない場合の派遣 (別記15)
「並びに市町村での対応が困難な派遣等を可能とするため」と明記
⑤ 手話通訳者、要約筆記者の養成、研修事業が必須事業化(別記14)

【市町村事業】
① 手話通訳、要約筆記者の派遣(上記、市町村の出来ないものを除く)
② 手話奉仕員の養成の必須事業化

エ.留意点
1.「自立した日常生活又は社会生活」を行うことが目的。
2.原則として手話通訳者、要約筆記者の派遣とする。
3.「運営委員会」を設置すること(努力)を求めている (別記15)
4.派遣コーディネーターを置くこと、手話通訳、要約筆記者が望ましいと明記(別記15)
5.意思疎通支援の手段は手話通訳、要約筆記者等とされた(1月18日の厚生労働省令)
6.要約筆記奉仕員養成カリキュラムの廃止が通知された。(別紙2廃止事業一覧)
7.3年をめどに支援の在り方を見直しの検討することになっている。

別記15 専門性の高い意思疎通支援を行う者の派遣事業
(1) 手話通訳者・要約筆記者派遣事業 聴覚障害者の自立と社会参加を図るため、市町村域を越える広域的な派遣、複数 市町村の住民が参加する障害者団体等の会議、研修、講演又は講義等並びに市町村 での対応が困難な派遣等を可能とするため、手話通訳者又は要約筆記者を派遣する。

(2) (1)手話通訳者・要約筆記者派遣事業は次の点に留意すること。 ア 広域的な派遣等が円滑に行われるよう運営委員会、連絡調整業務等担当者の設置等に努めるものとする。 運営委員会は、事業の適切な運営を図るため、聴覚障害等当事者団体、手話通 訳関係団体及び要約筆記関係団体の関係者を加えるよう努めること。 また、連絡調整業務等担当者は、当該業務に精通した専門的知識及び技術を有 する(別記6)の4の(2)のア又はイに掲げる者が望ましい。 イ この事業は、原則、市町村の必須事業として実施するものであるため、都道府 県では、市町村での対応が困難な専門性や緊急性の高い場合等に派遣を行うもの とする。

別記16 意思疎通支援を行う者の派遣に係る市町村相互間の連絡調整事業
2 事業内容 市町村域又は都道府県域を越えた広域的な派遣を円滑に実施するため、市町村間では 派遣調整ができない場合には、都道府県が市町村間の派遣調整を行う。

宮城県仙台市難聴者協会研修資料 高岡 2015年2月8日

エンパワメントに関する書籍等 松崎先生、高山先生より

2015年03月22日 11時50分26秒 | エンパワメント
松崎 丈先生より
高岡 正さん 書籍の件ですが、ひとまず手軽に読めるものとしては「エンパワメント実践の理論と技法―これからの福祉サービスの具体的指針」というのがあります。1999年発行と少し古いですが、国内外のエンパワメント理論を網羅して簡潔にまとめているので、読んでおいてもよい書籍だと思います。
「エンパワメント実践の理論と技法―これからの福祉サービスの具体的指針」
また近年はコミュニティ分野でもエンパワメントを射程に入れたコミュニティ・アプローチもあります。例えば「臨床心理学をまなぶ5 コミュニティ・アプローチ」。2011年と比較的新しい書籍ですが、個々への働きかけから社会環境の整備まで網羅しており、良著と思います。
「臨床心理学をまなぶ5 コミュニティ・アプローチ」

高山 亨太先生より
高岡さん、ギャローデットからこんにちは。松崎さんが紹介された書籍も良著だと思います。東京都立大学(現、首都大学東京)が公開している紀要で、エンパワーメントの理論について丁寧にまとめられている文献があります。こちらも読みやすいかと思います。参考までに。
「エンパワーメントに関する理論と論点」

障害者差別解消支援地域協議会の在り方検討会(第4回)の資料

2015年03月22日 10時25分35秒 | 障がい者制度改革
障害者差別解消支援地域協議会の在り方検討会(第4回)の資料が公開されています。
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/k_4/index.html

ディズニーランドのある浦安市、いち早く差別禁止条例を作った千葉県の他に、さいたま市、岩手県の障害者差別解消支援地域協議会体制の取り組みが報告されています。
これは、差別解消法が施行された場合、「障害者差別解消支援地域協議会」の体制構築が求められるからです。しかし、行政や専門機関が地域協議会の構成団体の例として挙げられていますが、障害者当事者の参画については例示されていません。「当事者の参加について特に留意すること」とあるだけです。
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/…/pdf/ref1.pdf

浦安市
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/…/pdf/s2-6.pdf
千葉県
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/…/pdf/s2-7.pdf
岩手県
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/…/pdf/s2-1.pdf
さいたま市
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/…/pdf/s2-2.pdf
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/…/pdf/s2-3.pdf

以下はさいたま市の資料
障害者差別解消の推進に関する取組状況調査結果 (平成 26 年6月実施)
障害のある方への配慮に関する調査結果(平成 26 年7月実施)
障害のある方の差別体験調査結果(平成 26 年7月実施)