月刊ニューメディア誌の吉井編集長から、全く同感のメールがありました。
NHK受信料の値下げを決めた経営委員会は、還元策について字幕放送などもっとやるべきことがあるのではないかとして、その一例として緊急時の字幕放送対応があげられています。
すぐにも字幕放送が必要なのに、字幕放送のあるニュースまでまたなければならないなら、すぐ必要としていた聴覚障害者に見放されるのは当然だ。
今地震があればすぐ見るのは民放だ。NHKの臨時ニュース、臨時番組に字幕がないことは皆が知っているからだ。
臨時ニュースに字幕放送が付けばそれこそ「ニュース」だ。
全難聴、全日本ろうあ連盟、ベターコミュニケーション研究会の要望書や質問に対して、コストの問題をあげていたが、今回の値下げの原資で十分まかなえるはずだ。コストの問題は理由にならないことが明らかになった。
経営委員会は、この災害対策、放送のユニバーサルデザイン化に投資をすることを検討したのか、計画しているのかが問われる。
ラビット 記
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暑いと汗を拭いた翌日の天気は冷えている・・・・、こりゃ堪らん。
体調はうまく維持できていますか。うがいが一番です。
26日に、NHK経営委員会が受信料の値下げを決めたとの報道がありました。
これに対して「よくやった」――そんな声は聞いていません。皆さんの耳に届いていますか。
いま「値下げ」の議論より、放送の役割をしっかりと考え、整理すべきか。そういった幅広い視点で執行部に対して見識を伝えるというNHK経営委員会本来の責務を果たしてもらいたい、と思っています。
国民が生活に窮乏し、受信料すら払えない世帯が続出しているのならともかく、受信料の還元策は前々の経営委員会会長の古森氏の政治的な思惑・・・・敢えて思惑と言っておきます、で決まったものです。フジフイルムのコストカッターとしての自負だったのでしょうか。私企業経営の視点で公共放送の経営を議論した不幸な決定でしょう。
NHKの経営が直面しているのはいろいろでしょうが、そのひとつが受信料の未払い問題とその対応がります。つまり「タダで見ている」事態。その数が2割以上ですから、受信料制度の在り方も含めた国民的議論が必要になっています。
国税とは違った「払う義務」を、日本らしく性善説的に成り立たせてきた受信料制度です。
しかし2割強の未納者がいるというのは、制度の危機、いや転換期でしょう。
今回の還元策について、「その分をいい番組づくりに生かして欲しい」。そう願います。
また、こうも思います。
放送はデジタル化されました。が、その効果や威力が十分発揮されていません。
一例でいえば、「人にやさしい放送」ですが、実際はどうでしょう。東日本大震災時に字幕を付けた放送が十分だったでしょうか。リアルタイム字幕のサポートが立ち遅れ、原発の情報を知りたくても、字幕が付く時間帯まで待たなければなりませんでした。
また、民放では放送時間の約2割を占めるCMについて、やっと字幕を付けるトライアルが始まったばかりです。
この問題は、システム面の改修も必要であり、ローカル局で放送するストレートニュースでリアルタイム字幕を付けようとすると、字幕のための文字入力をリアルタイムにやってくれる人材の要請と確保、正確な入力ができる体制づくりなど、たくさんの課題があります。
また、音声認識システムを使い、自動化するシステムの研究もNHK技研をはじめ、取り組まれています。
こうした現実にいま直面している問題の解決や、字幕を付けた番組づくりに制作費が十分に確保できないという問題もあります。
これまでなら、国の予算で・・・といった方向でしょう。実際に字幕の番組づくりに制作補助金も出ていますが、微々たるものです。
こうした資金を生み出すために、今回の「視聴者に還元できる金」を使い、政府の予算、民放からの提供、他企業からの支援も含めて、「人にやさしい放送推進ファンド」を作るような発想が思いつきます。
NHKの経営委員会は、NHK内部の経営がテーマでしょうが、放送業界全体に視野を持った議論が大事ではないかと思います。3.11を経験したいま、過去の無意味な政治決定に時間を割く必要はありません。NHKとして、いま大事にすべきことを判断し、それを提起する役割こそ、経営委員会の役割だと思います。