難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

視聴覚障害者向け放送普及行政の指針(案)    

2007年08月30日 20時51分21秒 | バリアフリー
070830_1658~002.jpg070815_2332~001.jpg視聴覚障害者向け放送普及行政の指針(案 )に対する意見募集が始まっている。
これは昨年から始まっていた「デジタル放送時代の視聴覚障害者向け放送に関する研究会」の報告書を踏まえたもので、パブリックコメントの結果を踏まえて、総務省が指針を公表する。

指針の特徴は、字幕放送の他に解説放送の普及目標が設定されたことと字幕放送の対象に生放送が含まれたことだ。


特に解説放送は2017年までに10%と数値目標が設定されたことの意義は大きい。
デジ研では、視覚障害者団体側は数値目標を盛り込むことを強く要望したにも関わらず、数値以外の表現にするような意見が出ていたからだ。

目標値があってこそ、事業者も努力することになる。


複数の話者が同時に話すような番組は除外されているが、生放送が対象になったのも意義が大きい。
我が国のテレビ放送は欧米と違い、生放送が多いからだ。


ラビット 記
………………………………
視聴覚障害者向け放送普及行政の指針(案)に対する意見募集
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=145207141&OBJCD=&GROUP

意見・情報受付締切日 2007年9月27日




字幕・解説番組の制作促進~総務省の予算要求  

2007年08月30日 20時21分31秒 | バリアフリー
070830_1658~003.jpg070830_1658~001.jpg総務省が平成20年度予算要求の内容を公表した。

平成20年度の予算要求

字幕・解説番組の制作促進については、
平成20年度は、601百万円を要求していく予定。
(平成19年度予算額 417百万円)

総務省の予算要求の概要は以下のとおり。
http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/pdf/070830_3.pdf
大枠のみの概要で、字幕の個別予算は書いてない。

ラビット 記



通信販売の補聴器具の功罪

2007年08月29日 23時29分46秒 | 生活
070829_1234~001.jpg一般新聞だけでなく、ローカルな新聞や業界新聞などで補聴器具類の通信販売の広告を見ることがある。

広告料も安くはないので続けて掲載するからにはそれなりの受注数があるのだろう。

通販でこの種の機器を購入することは
1)難聴であることが恥ずかしいと思っている人には購入時に恥ずかしさを感じないで済む
2)しかし取りあえずは聞こえるかも知れない
自分の聞こえに正しく調整したりできない
3)修理や部品の補充に手間がかかる
4)より良い使い方などのフオローが得られない

070828_0837~002.jpgこれに対し難聴者との対応に優れた専門店による購入の場合は
1)聴力、難聴のタイプ、必要とする生活シーンに合わせた機器を選択出来る
合わない場合は無駄な出費をしないで済む
2)より効果的な使い方や他の商品の情報を得ることが出来る
3)修理の際の代替品を貸与出来る場合がある
消耗品や部品の入手が早い
4)聞こえの問題について、相談する糸口になることがある
5)顧客である他の難聴者を見聞したり、丁寧な店員の対応に接することで、自分の難聴に対する見方が変わるきっかけとなる

通販に頼らざるを得ないのは、身近に親身に相談にのってくれる場所がないからだ。
民生委員、ケアマネージャー、看護師の難聴に対する知識がないことも一因だ。

ラビット 記



聴覚障害者の政治意識とメディア論

2007年08月29日 08時47分52秒 | 生活
070827_2335~001.jpg070827_2336~001.jpg安倍総理大臣が参議院選挙で歴史的敗北をしたにも関わらず、民意は得られたとしと政策を継続するために組閣された。
テレビは競って特番を組んだがニュース枠以外は字幕放送はないままだ。
これでは、難聴者等は多様な意見に接することが出来ずに、健全な政治意識は育ちにくい。
多面的多様な意見の紹介がメディアの役割のはずだが、大学でメディア論を研究している研究者、学生はぜひ取り組んでもらいたい。

ラビット 記




安倍新内閣と障害者自立支援法。

2007年08月29日 08時46分28秒 | 福祉サービス
070826_1700~001.jpg070826_1701~001.jpg自民党の大敗であれだけ批判的なことを言っていた人が厚生労働大臣になった。

障害者も国民も戸惑うが、障害者自立支援法の抜本的建て直しに踏み切れるかどうか、注視している。

応益負担一時停止法案をどう受けとめるか。

障害者自立支援法はグランドデザインと企大業奉仕が背景にある財政の構造的ものなので期待は禁物だ。


ラビット 記



左右の補聴器の聴力検査の結果

2007年08月28日 23時09分44秒 | 人工内耳

070827_1553~001.jpg両耳に補聴器をして、聴力検査を受けた。
防音室でスピーカーから出てくる単音、単語、文章の三種類を聞くのだ。

両耳、右だけ、左だけと何回も集中して聞くのでとても疲れる。

両耳の単音聞き取り 25.7%
右の単音      30%
右のあとあ行の2音  42%
左の単音      25%
右の単語      68%
右の文章      88%

ドクターによれば、左の単音が思ったより聞こえていたとのことだが、曖昧に聞こえるのでこれかもというオンを書いたので、まぐれかも知れない。はっきり分かったというオンだけ書いたら、数%になっていただろう。
右の「ア」と「ア行の音」の2音の聞き取りはほとんど同じに聞こえたのでそのまま書いておいた。

文章は、最初のオンが分からなくても、次のオンや次の単語によって分かる場合がある。そのためには、判断できなかった言葉のオンを記憶している必要がある。

070827_1552~001.jpg左右に補聴器をしているとトンネルの中にいるように、音が反響して聞こえる。ドクターに左からこれだけ音が入ってくるのは初めての経験なので、頭の中で一緒に聞こえてくる左右の音が処理できないためかもしれないと話したら、実際に脳に時間差で届いているのかも知れないとのことだった。

左の補聴器は両耳の時はボリュウムが2だったが、左だけで単音検査をしようとしたら、ほとんど聞こえなかった。それで2.5まで挙げて検査をした。両耳の時の右の補聴器のボリュウムは3だったので、左は聴力があるのかないのかわからなくなった。

ドクターとの対話では、左耳が予想以上の結果だったが、左耳から補聴器で出来るだけ言葉を聞き取らせて、次回の検査ではどのくらいの効果があるか、人工内耳の選択はもう少し検査をしてみてからということだ。

「聞き取りの良い右耳に補聴器をして、左耳は補聴器か人工内耳をすることで、右耳の負担を減らす必要もある。」、「左は、人工内耳をするしないに関わらず、言葉の聞き取りをした方が良い」ということだ。「脳の言語野の関係で左に人工内耳をするという説もあるが、定説ではない。」、「これまでの経過から進行性の難聴なので、聴神経が機能低下しないうちに、時間に余裕がある今のうちに人工内耳をするという選択肢もある。」

ドクターとしては人工内耳の手術をしたいのかも知れないと思いつつ、当事者、言語聴覚士、補聴器調整技師、それに第三者を加えて、検討できる体制が欲しいと思った。

ラビット 記




人工内耳の適応の前の補聴器調整

2007年08月28日 22時57分01秒 | 人工内耳

070827_0553~001.jpg人工内耳適応の判断をするために、補聴器装用での聞き取りの効果を確認することになっていた。

昨日27日、大学病院に行き、補聴器販売店の人に今日の診察の目的と書いたメモを見せた。
補聴器の調整をどうするかみたいなことを言われたので、ドクターや言語聴覚士から治療方針の説明が行ってないのかと思って、待ち時間にあらかじめ書いておいたものだ。

「今日の診察の目的
1)補聴器検査の目的の確認
2)装用中の補聴器の確認
3)補聴器装用の目標の確認
①両耳装用
②言葉の聞き取り改善
③左右の聴力の相似性、相違の確認
④その他(スケジュールなど)」


070828_1342~001.jpg説明しようとしたら、ドクターが入って来て、人工内耳の装用を検討しているがその前に補聴器を使ったことのない左耳で効果を確認したいと考えているとか説明された。
そのうち言語聴覚士も入って来て、聴力検査をすることになったと、左だけにするか右もかという話から、今使っているカスタムと耳かけ型は中の処理用ICが同じなので変わらない、いや両方同じ耳かけ型で試してみようということになった。

ドクターがメインでSTが検査、販売店技師が補聴器調整と役割が分かれている。
もっと事前に連携が取れているのかと思ったが、ドクターも忙しく補聴器販売店技師も常駐ではなく、結果的に当日ドクターの指示となった。
(続く)

ラビット 記

最初の写真は、予約を取るために家を出た時の日の出
2枚目の写真は、勤務先のコスモス



大学病院の補聴器販売店ごとの対応は難聴者に不便

2007年08月28日 09時22分08秒 | 人工内耳
070828_0831~001.jpg昨日27日、大学病院に行き、補聴器販売店の人が来ると聞いていたが、1週間の診察スケジュールのプレートにも堂々と販売店の名前が入っている。

言語聴覚士が幾つものメーカーの補聴器の調整方法を習得するのは大変かも知れないが、患者から見るとメーカーの縦のラインナップから選択するしかない。重度難聴用補聴器はそのメーカーに何種類もあるわけではないので選択枝が限定されてしまうからだ。
出来れば幾つものメーカーの重度難聴用の補聴器を聞き比べたいが出来ない。
これが公的な補聴器センターの必要なゆえんだが一考を要するのではないか。

患者=難聴者の立場で、医療としての補聴器試聴が出来るシステムを求めたい。一案としては、日本耳鼻咽喉科学会なり、補聴器業界も参画した形で補聴器の統一的試聴、調整の出来るセンターを設け、そこから各病院に貸し出す形はどうだろうか。
医師の管理下で言語聴覚士や補聴器調整技師との連携で補聴器の試聴と効果を見ることが出来る。


最初に、「補聴器を外すと全く聞こえないので、筆談して下さい」と書いたノートを見せた。
筆談ボードも用意がなく、私のノートを見て戸惑ったふうで胸ポケット小さな紙を取り出した。

そんな小さな紙では筆談は出来ないだろう。これまで補聴器を必要とする難聴者とどうコミュニケーションしていたのかと心配してしまう。

070828_0837~001.jpg補聴器を装着して、「どうですか、聞こえますか」と聞いてきたのにも驚いた。
たった今付けたばかりだ。「今付けた補聴器はこういう特徴を持っています。毎日の生活はどうしていますか、テレビを見ますか」とか、会話を発しながら、聞き取ってもらう必要があるのではないか。
それから、聞えはいかがですかと聞けばどういうことを言えば良いか分かる。

また、聞こえを表す表現を利用者と調整者が共通語を持たないとコミュニケーション出来ない。
「キンキンする」、「声が割れている」、「シャシャリ音がする」、「反響している」、「トンネルの中にいるようだ」、「こもったように聞こえる」。共通語の表現例があるのか聞いたところないと言う。
まったりとした聞こえだと言われたら困ってしまうだろう。

補聴器と難聴者組織の関わり方もまだまだ弱い。

ラビット 記



聴導犬の普及活動

2007年08月26日 16時06分25秒 | 生活
070826_1433~001.jpg070826_1432~001.jpg協会の実年部が担当した例会は、鎌倉市のNPO法人「聴導犬育成の会」に事業の紹介とデモをしてもらった。

残暑の残る中、人近い会員が集まって熱心に聞いていた。

危険を知らせる音の知らせ方とそうでない場合の知らせ方が違うなど聴導犬と他の介助犬の違いも興味深かった。

ラビット 記



大学病院の中の聞えのバリアフリー

2007年08月24日 21時23分17秒 | 人工内耳
070824_1430~001.jpg大学病院の耳鼻咽喉科の受診は一苦労だ。

午後の診察なので、勤務の合間に通院するには午後一番に受診するのが好都合だ。
そのために、朝7時からの予約受付に並ぶ。いったん出社してまた昼に受診に行く。

予約受付はカードを入れると整理券が出てくる。今回は整理番号が1番だった。

診察に呼ばれるのが聞こえないかと思って、看護師に聞こえないことを話した。これは失敗した。声で話すと声で返ってくるのが世間では普通の対応だからだ。


ドクターはまだ若い人だが声が大きいので驚いた。しかし、聞きやすい。声が低い。いわゆる太い声だ。それと口の開け方が自然でよい。
どうしてそういう話し方になったのか聞いてみたら、多くの患者と接している内にそうなったとのことだ。

070824_1432~001.jpgしかし、「私と(口頭で)コミュニケーションが出来たので助かりました」と言われたのはちょっと?だった。


今はカルテは端末には打っているか分からないが、予約や診察点数の結果は皆パソコンで繋がっている。

診察が終ればカードを受付に出すと請求書がすぐ出て、隣で受付番号が表示されて支払うと終りだ。

薬の調法を待っている人も番号が表示されれのを待っている。大きなモニタに出ているのですぐ分かる。地下の喫茶室や外のスターバックスの店内にもモニタがあった。


医師の大声は他の患者には筒抜けだ。呼び出しが呼び声なのも頂けない。
番号カードを掲げるなどすればコストもかからないはずだ。


ラビット 記



人工内耳のドクターの診察2回目

2007年08月24日 18時22分52秒 | 人工内耳
070824_1334~001.jpg言語聴覚士STの説明では、今日のドクターの診察は、各種の検査の結果を説明してくれるということだった。

いろいろ聞きたいと考えていたことを書き出しておいたメモを前回STの先生に渡しておいた。

ドクターはそのメモを元に、大きな声で説明してくれた。
聴力検査やABR、OAEと言われる検査はどうも私の聴力や聴覚を検査するには不十分で、特に高い音が聞こえていないので、聴覚があるのか、聴神経が反応すのかはまだ検査をしてみなければ分からないとのことだった。

先の質問に入れておいた「人工内耳で何が変わるか」は何のために人工内耳の適応を検討するかという自分自身に対する質問みたいな意味だったが、ドクターは人工内耳は言葉の聞き取りを改善するもので、音楽などは聞くに堪えなくなることがほとんどだと明快に説明してくれた。


070824_0809~001.jpg今日の診察で、もう少し出力の高い補聴器の装用で、両耳の補聴器装用時の言葉の聞き取り検査をすること、使っていない左耳の補聴器の効果がどこまであるかを含めて、検査することになった。

また、高い音の聴覚が残っているかの検査も別に行い、最終段階では鼓膜を通して差し込んだ電極に電流を流して、音がどのように聞こえるかも検査するとのことだった(プロモントリー・テスト)。

人工内耳を聴力検査の成績の良い右耳にするか、余り良くない左耳にするかも、世界的にもまだ評価は定まっていないそうだ。人工内耳と補聴器の併用についても、最近は増えてはいるが、国際的にもまだ試行錯誤の段階だそうだ。

試験的な意味も強そうだが、一つ一つステップを踏んだ検査による結果で、治療方針も自分の気持ちの整理もつくだろうと思っている。

ラビット 記
 



全難聴、各党に障害者自立支援法の要望提出

2007年08月22日 21時46分38秒 | 福祉サービス
070805_1209~002.jpg070729_1105~003.jpg全難聴は8月20日付けで主要政党☆あてに「障害者自立支援法に関する要望」を提出した。


☆自由民主党、民主党、公明党、日本共産党、社会民主党、国民新党宛てになっている。
(民主党には障害者自立支援法フォローアップ作業チームあてに8月8日に提出したということだから、民主党の障害者自立支援法改正案のヒアリングの前になる) 

要望はホームページにも掲載されている。
http://www.zennancho.or.jp/

応益負担に反対することや各市町村での要約筆記事業の開始などが中心だ。

要約筆記者派遣事業の実施要項や中途失聴・難聴者のコミュニケーションに関わる要望もある。

各政党に対する説明を丁寧に繰り返すことが大切になっている。

ラビット 記



「24時間テレビ」の字幕放送 日本テレビはどうした?

2007年08月22日 08時39分54秒 | 生活
070820_2314~001.jpg66歳の欽ちゃんが炎天下100km走ったのは「テレビ」だったとしても、健康上危険極まりないと思っていた。

翌日、20日に「欽ちゃんのマラソン完走の記録」が放送された。字幕放送付きで。
番組の中で、「欽ちゃんの優しさに番組のスタッフに微かな苛立ちが感じられた」と字幕が出た時には、ああ、欽ちゃんは走らされているのだと思ってしまった。しかもテレビというものに関わる人間の宿命みたいなものだともナレーションが続いた。


070820_2314~002.jpg24時間テレビはなぜ字幕放送が行われなかったのか。
日本テレビの字幕放送の技術は優れたものがある。ニュースなどで上部に表示される疑似スクロール方式の字幕を開発したり、録画されたバラエティ番組の生入力を実施している(多分、生か、事前制作でも生に近い)。
全国ネットの放送ったからか?
それにしても解せない。


ラビット 記 



見えない障害に対する無理解 難聴とうつ病 朝青龍

2007年08月21日 09時21分48秒 | 生活
070819_1600~001.jpg今朝の新聞に朝青龍は「解離性障害」と診断されたことが載っていた。

これは立派な精神障害なのではないか。うつ病もそうだが、周囲が正しい理解をしてきちんと対応しないと取り返しのつかないことになる。

難聴もうつ病も見てわからない障害(病気)だ。社会の無理解が誤解と偏見を生み、本人を追い詰めて行く。


聞こえないことで、自分に起きたことが理解出来ないので事態に対応出来ない。しかもその場でのコミュニケーションが成立しても、職場や地域社会の中で蓄積されてきた仕事のやり方、慣習、ルール、常識である事が分からないので、対応出来ないことが多い。
070817_2013~001.jpg周囲に合わせようとして無理に話したり行動したことがそれに反して失笑を買ってしまう。
失笑を買ってしまったことと、聞こえないことが原因ということは分かるので、本人は恥ずかしく思い、自分に対する自信をなくしてしまう。

障害者が社会の中で生活するには、支援制度と社会環境整備とともに、この社会の理解が欠かせない。

日本相撲協会に精神障害者団体は何も声をあげないのだろうか。朝青龍に理解するようにアピールを出すべきだ。
横綱としての行動に対する懲戒とは別に考えなければならない。
横綱から、適切な治療を受けさせられなかったと逆に訴えかねられない。

これは人権問題だ。


ラビット 記