難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

人工内耳はヒアリング・ブースター?

2009年02月28日 23時55分25秒 | 人工内耳
090223-152716.jpgふと、人工内耳はヒアリング・ブースターかもと思った。

普段は、補聴器と人工内耳を付けて聞いているが人工内耳は電池が良く切れるので補聴器だけで聞いているときがある。
人工内耳に電池を入れてスイッチを入れると、音や声がそれまでの白黒だったのがカラーになったり、部分的に色が付いていたのが極彩色になったかのように感じる。

補聴器だけの聞こえが、人工内耳によってより明瞭になる感じだ。補聴器のブースター、増幅器みたいだ。または、車のエンジンのブースター、過給機みたいにとたんに加速する感じだ。

これは補聴器と人工内耳を併用して1年を経過したくらいから感じている聞こえだ。
こういうふうに聞こえると頭では思っていたがようやくそう聞こえるようになったのだ。

まだまだ、人工内耳の各種のモード、自動感度調整、アドロ、ビームなどの組み合わせや場面に会わせた選択には戸惑っているが、うまく選択すると聞こえる。

補聴器の装用の延長の人工内耳装用なので、人工内耳だけの聞こえがなかなか発達しないのかとも思うが、それでもテレビの内容によっては人工内耳だけで分かる時があるので、少しずつ発達しているのだろう。


ラビット 記







新人研修とサイボーグ

2009年02月25日 08時45分39秒 | 補聴器
090223-135454研修.jpg新しく派遣されてきた方に仕事の説明を担当した。

「私は実はサイボーグなんです。」
「左の耳はデジタル補聴器で、右の耳はこの黒い機械で頭の中に埋め込んだ電極で聞いています。」

相手は、目をぱちくりしている。
「えーっ、サイボーグなんですか。」

「右の耳は、音をデジタル変換して、増幅して”音”を聞いていますが、左の耳はこの黒い機械で音を”電気信号”に変換して聴神経を刺激しています。」

「へーっ、そうなんですか。すごいですねえ。」

「それでは、工場を見学に案内します。」
「実は、あなたの声も普通に聞こえないです。遠い電話のように、ガーガー聞こえるのです。」

見学後、私の説明に耳を傾けて聞いていた。
あれ、こっちの声が聞きにくいのかな。
相手の女性の声が聞こえないといけないと思って、補聴器と人工内耳のボリュウムをあげていたのでこちらの声が小さかったようだ。


ラビット 記




フリーダムの聞こえの分析

2009年02月18日 19時30分35秒 | 人工内耳
090216-084845菜の花.jpg人工内耳のフリーダムは多くの機能を持っており、しかもそれらを組み合わせたりすることが出来る。

補聴器と併用していて、職場や生活の中でその時どきによってフリーダムのモードを切り替えていたが、どういう時にどういうモードが合うのか分からなくなっている。

それで、今日は朝からモードを「ミュージック」に固定して一日を過ごそうと決めた。
「ミュージック」は広範囲な音がまんべんなく入ってくる感じだ。

○トイレ 水の流れる音がリアルに聞こえる。
○スーパー ざわざわした音が聞こえる。呼び込みの録音メッセージの声「さあお客様、コロッケはいかがでしょうか。一個50円となっております。」良く通る声でエンドレスで流しているので、POPより声の方が効果がある。
○職場でも四六中ざわざわした声が聞こえる。あおれこれ細かく指図する上司に「美的感覚の問題か」とぼそっと言ったら上司が「美的感覚の問題ではない、統一性の問題だ」というのが下を向いていても分かった。
○工場で宅配の発送作業をしていたら、やや高い声と低い声の混じった女性の声で「伝票がこなかったら今電話しようとしていたところだったの」と言われたのが顔をみないでも聞こえた。
○隣の上司が電話で話している声は内容が分からないが資料を説明した時に「これは相手先の受注データを出してみないと」と立ったまま話しているのが聞こえた。

概して、周囲の物音がよく聞こえる感じだ。
人の声はもう少し聞き続けてみよう。


ラビット 記




与党障害者自立支援法見直しの基本方針

2009年02月18日 12時52分47秒 | 生活

090215-182051麻生.jpg「与党障害者自立支援法見直しの基本方針 」が発表されている。

12の地域生活支援事業の
「重度の視覚障害者のための移動支援等、障害者が地域で暮らすために不可欠な事業で個別給付になじむものは自立支援給付とする」
この個別給付になじむものとは何を指すのだろうか。個別給付は応能負担に切り替えるとは言え、無償にならないのではないか。

「移動支援、コミュニケーション支援について、充実を図る。」
は、「充実」とは利用者、障害者当事者にとって、望ましいということだ。コミュニケーション支援は手話通訳、要約筆記者の他に、電話リレーサービスなどのリアルタイム文字入力者とかが考えられるが、関係者で整理が必要だ。

「また、手話通訳等の関係する人材の育成を強化する。」
は、要約筆記奉仕員の養成を強化することではないだろう。コミュニケーション支援事業が奉仕員によって担われている状況を脱するために、要約筆記者養成事業の実施要綱を発表し、一日も早く専門性の持った要約筆記者の養成に踏み出す必要がある。
要約筆記奉仕員については、その役割から社会参加促進事業で養成されていることから、「手話通訳等の関係する人材」とは別に、市町村において、大幅に増員が必要だ。


ラビット 記
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障害者自立支援法の抜本見直しの基本方針
2009.2.12
与党障害者自立支援に関するプロジェクトチーム
1 障害者が地域で普通に暮らすことや自立と共生の社会づくりを目標とする「障害者自立支援法」の基本理念を堅持しつつ、平成19年12月の与党「障害者自立支援に関するPT」での報告書を具体化する観点から、障害者福祉の原点に立ち返り、「障害者自立支援法」を、利用者・家族・事業者、そして国民が安心できる制度と仕組みへと、以下の通り、抜本的に見直す。

その際、「障害者自立支援法」の知的、精神、身体障害の3障害の一元化や就労支援、地域で暮らすための選択可能なサービス体系の多様化など、長所については、必要な拡充や円滑な移行のための必要な見直しを行う。

2 今回の法改正では、介護保険法との整合性を考慮した仕組を解消し、障害者福祉の原点に立ち返り、自立支援法により障害者の自立生活に必要十分なサービスが提供されるという考え方に立って、給付のあり方を抜本的に見直す。即ち利用者負担については、能力に応じた負担とし、法第29 条等の規定を見直す。その際、特別対策や緊急措置によって改善した現行の負担水準の継続や更なる改善、分かりやすい制度とする。また、サービスの利用者と提供事業者が対等の関係にある現状を維持する。

3 新体系への移行が円滑に進まない理由を解明し、新体系の移行に係る諸課題を解決するための必要な措置を講じる。また、事業所の会計処理、申請文書や報告書の提出義務の合理化・簡素化を図る。

4 利用者にとってのメリットを考えて、サービス利用についての日払い方式は維持しつつも、地域間格差を是正し、障害福祉現場の人材確保、職員の処遇とサービスの質の向上を図るとともに、障害者の生活を支えるために必要なサービスを継続して提供できるようにするための事業者の経営の安定化を図るため、人件費部分も含めて、必要な措置を講じる。

5 新旧体系を含め、事業者の人材確保、サービスの質を維持するため、障害福祉サービス費用の額を引き上げる。

6 障害程度区分は、身体、精神、知的、発達障害などの障害特性を反映するものとなるよう、法第4条第4項の見直しを含め、抜本的に見直す。また、障害程度区分により施設の利用が制限され、施設を退所せざるを得ないことにならないよう、一人ひとりに適切な支援ができるような制度と仕組みに見直す。

7 障害のある児童が、人間として健やかに成長し、自立できるよう、児童福祉法を基本として、総合的な支援システムを構築することとし、通園事業や身近な相談支援体制、放課後型のデイサービスの充実等を図る。

8 障害者の範囲について、発達障害、高次脳機能障害が自立支援法の対象となることを明確化する。なお、難病については、医療との調整もあり、引き続き検討が必要であるが、現行施策等により支援を行うとともに、症状の重度化などの一定の状態に対して、生活支援が受けられるような仕組みを検討する。

9 社会保障制度全般との整合性を考慮し、税体系抜本見直し等の際に、障害基礎年金の引上げ(例えば、2級の金額を1 級並に、1 級の金額は更に引上げ)など、障害者の所得保障を確立する。その際、18 歳、19 歳時点の課題につい
ても解決を目指す。

10 利用者の意思や家族の意見を尊重しつつ、民間の事業所も活用しながら、障害者が地域の様々なサービス資源を適切に組み合わせて自立した生活に役立てることができるよう、中心となる相談支援センター等の設置や身体、知的、精神それぞれの分野における相談支援専門員などの人材の育成・資質の向上を含め、地域での相談支援体制を強化する。障害児・者の家庭や環境などを加味した支給決定がなされるよう支給決定プロセスを整備するとともに、サービス利用計画策定対象者を大幅に拡大する。利用者、家族への情報提供や細やかな説明などの支援を充実させる。

11 地域生活の基盤整備については、身体障害者を対象としたグループホーム・ケアホームを創設する。また、グループホーム・ケアホーム入居者への利用する際の助成など支援を充実する。
さらに、利用者負担を支払った後に施設入所者の手許に残る金額について、在宅とのバランスに配慮しながら、その増額に努める。

12 地域生活支援事業について、重度の視覚障害者のための移動支援等、障害者が地域で暮らすために不可欠な事業で個別給付になじむものは自立支援給付とするほか、移動支援、コミュニケーション支援について、充実を図る。
また、手話通訳等の関係する人材の育成を強化する。
精神障害者についてのピアサポートや「憩いの場」活動などを充実する。

13 一般就労への移行を支援するとともに、工賃倍増計画の着実な実施やハート購入法の成立により福祉的就労を支援する。また、福祉的就労分野での利用者負担について、工賃控除額を倍増するとともに、施策体系の在り方、事業の名称などは、関連施策との関係を含め見直す。

14 利用者負担に関し、障害福祉サービスと補装具・義肢の自己負担については合算し、一般の医療保険や自立支援医療との合算については検討するとともに、自立支援医療の負担軽減についても、検討する。併せて、精神通院医療の申請に必要な診断書を毎年から2年に1度の提出に簡素化するなど、利用者の申請手続きの軽減を図る。

15 資産要件については、その撤廃を図る。また、現在負担軽減の対象となっていない一般世帯についても、負担限度額の見直しを図る。

16 移行が困難な小規模な作業所に対し、施設経営ができるように新たな受け皿の構築など必要な措置を講ずる。

17 市町村格差を是正するため、国庫負担基準等に関し、必要な支援策を講じる。



障害関係の著作権改正の方向 前進だが不完全

2009年02月16日 08時40分22秒 | 権利
5shiryo_3_1.jpgDVD等に、字幕、手話を挿入するのに、著作権者の許可が不要になるのは大きな前進だ。社会的に強い要請とあるが、障害者の権利条約の批准がそれに当たろう。

これは、過去の小委員会で障害者の著作物利用について審議した17年1月および18年1月は、障害者の権利条約の採決の前である。19年1月はその直後であるが、審議内容に障害者権利条約で障害者のアクセスを保障するために著作権の制限を歌われていることは反映されていない。

○障害者の権利に関する条約(平成19 年9 月28 日署名)(仮訳文)
第30 条 文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加
1 締約国は、障害者が他の者と平等に文化的な生活に参加する権利を認めるものとし、障害者が次
のことを行うことを確保するためのすべての適当な措置をとる。
(a) 利用可能な様式を通じて、文化的な作品を享受すること。
(b) 利用可能な様式を通じて、テレビジョン番組、映画、演劇その他の文化的な活動を享受すること。
(c) 文化的な公演又はサービスが行われる場所(例えば、劇場、博物館、映画館、図書館、観光サー
ビス)へのアクセスを享受し、並びにできる限り自国の文化的に重要な記念物及び遺跡へのアク
セスを享受すること。
2 (略)
3 締約国は、国際法に従い、知的財産権を保護する法律が、障害者が文化的な作品を享受する機会を妨げる不当な又は差別的な障壁とならないことを確保するためのすべての適当な措置をとる。


また、字幕データは公衆送信できる見通しだが、手話の入った映像を公衆送信できることは明示されていない。
複製主体は、聴覚障害者情報提供施設の他、聴覚障害者の情報支援に関わるNPO法人や団体も対象にすることや媒体の貸出しの他、字幕、手話の入った映像物の公衆送信送信も可能になるように求めたい。

また、聴覚障害とは身体障害者福祉法の聴覚障害ではなく、アクセスが困難なものということも確認が必要だ。そうでないと利用者が大幅に制限される。


ラビット 記
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平成21年1月29日(木曜日) 第8期文化審議会第2回総会(第47回)配付資料
http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/47/gijishidai.html
「報告書」第3章第2節障害者の著作物利用に関わる著作権制限について(P37-P53)
http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/47/pdf/shiryo_3_2.pdf


障害者関係
〈1〉問題の所在
障害者団体から、著作権者の許諾なく以下の行為を可能とするよう要望あり。
(1)視覚障害者のため、現行の点字図書館等に加えて公共図書館でも録音図書を作成すること。
(2)聴覚障害者のため、映像作品に字幕や手話を挿入すること。
(3)知的障害者や発達障害者のため、障害者用デジタル録音と書(デイジー)等を作成すること。

〈2〉検討結果
障害者の情報アクセス保障の観点から、障害等により著作物の利用が困難なものを可能な限り権利制限の対象に含めるとともに、複製主体、方式も拡大する方向で速やかに措置を講じることが適当。





自民党、障害者自立支援法の抜本見直しの基本方針を了承

2009年02月16日 07時59分26秒 | 福祉サービス
自民党の障害者福祉委員会が、障害者自立支援法の抜本的見直しを決めたということだ。
もちろん、障害者が毎年1万人前後集まって、応益負担廃止の集会、デモを行い、さらに訴訟も行われていることが大きな圧力になったのだ。昨年12月15日の社会保障審議会障害者部会の報告書の内容も影響しているのだろう。

早急に、障害者団体の意見を聞いて、改正案を出すべきだ。「抜本見直し」を言うなら、自立支援給付に必要な障害程度区分にも、コミュニケーションの障害も社会生活上大きな支障をもたらしていることを盛り込むべきだ。


ラビット 記
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■ 障害者自立支援法の抜本見直しの基本方針を了承 障害者福祉委員会
障害者福祉委員会は13日、障害者自立支援法の抜本見直しの基本方針を了承した。同方針は12日、与党障害者自立支援に関するプロジェクトチームが取りまとめたもので、同PT座長を務める木村義雄委員長が説明した。基本方針では、障害者が福祉サービスを利用する際の負担のあり方に関し、利用量に応じて、原則1割を自己負担するこれまでの方式を改め、所得に応じて自己負担する方式(応能負担)を導入することとした。「今の制度では、多くのサービスが必要な重度障害者ほど負担が増えることになるので、応能負担にしてほしい」との障害者などからの要望に応えた。また、これまでの2度にわたる利用者負担の改善策により、軽減された現在の負担水準を継続し、将来的にはさらに負担水準を引き下げる。このほか、障害程度区分に身体、精神などそれぞれの障害特性を反映させることや、税制抜本見直しの際に障害基礎年金の引き上げることなどを盛り込んだ。木村委員長は「社会保障の原点である障害者福祉に政治がやさしい手を差し伸べたと言われるよう、抜本見直しを行っていく」と、障害者自立支援法の改正に向けた決意を述べた。わが党は今後、この基本方針に沿って改正案の策定を急ぎ、今国会での成立を目指す。
http://www.jimin.jp/jimin/daily/09_0/13/210213b.shtml





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障害者自立支援法見直しに関する社会保障審議会障害者部会の報告

2009年02月15日 23時34分29秒 | 福祉サービス
昨年(2008年)12月15日の障害者自立支援法見直しに関する社会保障審議会障害者部会の報告の詳細がWAMNETに掲載されている。
http://www.wam.go.jp/
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb11GS20.nsf/vAdmPBigcategory10/8DA6CDF76F797F7D49257522000C1635?OpenDocument
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb11GS20.nsf/vAdmPBigcategory10/B9C8E55AA90DC3EE49257522000ED6EA?OpenDocument

私たちにとって、障害者の権利条約の批准との関係で言えば、一つは応益負担を止めることだ。
もう一つは支援対象となる聴覚障害者の範囲を大幅に拡大することが求められる。サービスにもよるが少なくともWHOの41dB以上に聴力損失を一つの基準とすべきだ。

さらに、難聴者に必要な支援サービスと支援にあたる者を養成する必要がある。
例)聴能訓練の保障、補聴援助システムの給付。コミュニケーション等訓練事業。

現場の実態を把握し、施策を見直すというならば、担当行政に関わらず、難聴者の利用する要約筆記者の派遣対象、範囲を大幅に拡充しなければならない。一例を挙げれば、特に就労の場に要約筆記者派遣が雇用者に義務付けられるべきだろう。


ラビット 記
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●障害者自立支援法見直しに対する障害者部会の
基本姿勢

○ 本報告に基づき、施行後3年の見直しに係る関係法律・制度の改正や、平成21年4月の障害福祉サービスの費用の額(報酬)の改定等に向けて、厚生労働省において具体的な制度改正について検討し、実現を図るべきである。
また、本報告の中には、今回の部会での議論の中では、一定の結論を得るまでに至らず、今後、引き続き検討していかなければならない事項もある。こうした残された課
題については、厚生労働省等において、鋭意検討を継続していくべきである。

○ また、現在、政府において「障害者の権利に関する条約」の批准に向けた検討が行われており、今回の見直しに当たっても配慮するとともに、今後批准に向けて同条
約との整合性が図られるよう更に検討することが必要である。

○ さらに、今後も絶えず現場の実態の把握に努めるとともに、今回の見直しの一定期間後(例えば今回と同様に施行後3年を目途)に、今回同様、実施状況や取り巻く
環境の変化を踏まえ、改めて制度全般について見直しを加え、必要な措置を講じることにより、障害者の自立支援に向けたより良い制度へと改善していく取組を続けてい
くべきである。






東京都の要約筆記者派遣事業を残せ!

2009年02月15日 22時46分01秒 | 要約筆記事業
090212-182434雛人形.jpg我々は、広域派遣の捉え方が行政に引きづられていないか。

東京都は、国の意向や障害者自立支援法の趣旨だとして、あくまでも唯一都の事業として残っていた集団の場への要約筆記者派遣事業の区市事業への移行を強行する構えだ。

個人が居住地以外で要約筆記派遣を利用する広域派遣と違う、同一の場所に複数の居住地にまたがる難聴者等が派遣を依頼した場合、全体投影(OHPやOHC、液晶プロジェクターによる要約筆記)の広域派遣はどのように考えるべきか。

障害者自立支援法以前は、都道府県で要約筆記奉仕員派遣事業が実施され、多くの都県で団体派遣が行われていた。これは、1970年代みみより会や当時各地で結成された難聴者協会の会合の情報保障としてOHPを使った要約筆記が行われていたからだ。つまり手話によるコミュニケーションが使えない重度の難聴者の集団討議を可能としたのがOHPによる要約筆記だ。

元々集団の場のコミュニケーションをするために生まれたのだ。

ここに、コミュニケーション支援の本質がある。つまり、さまざまな聴力、コミュニケーション方法を持つ難聴者、健聴者も含めた人々の間のコミュニケーションを成立させているのだ。それは、要約筆記はその場にいる人々全体のコミュニケーションを支援しているということだ。「場」へのコミュニケーション支援である。

聞こえない人一人と聞こえる人一人の間であっても、そこには「場」が存在する。その「場」を要約筆記、手話通訳が「意志の仲介」をするのだ。

聴覚障害者のみがコミュニケーション支援サービスを利用していると考えるのは大きな間違いであることに気づく必要がある。

それを「場」に参加した聴覚障害者一人一人を調べて、居住自治体に按分して負担させるなんて、まったく愚の骨頂だ。それなら聞こえる人にも負担させるべきだし、都庁前の広場を通る人に利用料を徴収すべきだ。

広域派遣とは、行政の都合だ。コミュニケーションは行政区分では区切れない。

東京都は目を覚ませ!!


ラビット 記





難聴者の社会福祉学習 社会福祉援助技術ノート(4)

2009年02月15日 17時42分29秒 | 要約筆記事業
090110-110331.jpg要約筆記者が社会福祉サービスの担い手としてコミュニケーション支援にあたるというのは、障害者自立支援法の地域生活支援事業のコミュニケーション支援事業が提供されるということだ。

その要約筆記者によるコミュニケーション支援は、社会福祉援助技術としての個人援助、集団援助、地域援助があるが、どれにあたるのだろうか。

聞こえない難聴者が要約筆記を利用してコミュニケーションするのだから、「個人援助」だろうか?難聴者協会の例会などの場合は「集団援助」なのだろうか?地域において要約筆記者派遣サービスが利用されるということは「地域援助」なのだろうか?

東京都は要約筆記者派遣サービスが地域生活支援事業で区市の必須事業になったとして、団体、集団への派遣も個人に対する支援であるとして、派遣費用を集会に参加した聴覚障害者の居住区市に按分することを考え、区市に対して説明を始めている。

しかし、説明を受けた区市から、公平な費用負担が出来るのか、急な変更は無理と疑問を出されている、事業の実施を依頼された手話通訳等派遣センターも費用按分の事務は実務上無理としているが東京都は来年度の予算は計上せずに何が何でも強行する構えだ。

派遣を依頼した聴覚障害者の名簿を要約筆記者に現場まで持参させ、集会の主催者に参加者をチェックさせて、また要約筆記者に報告させるという無茶苦茶なことを考えている。

申し込んだ聴覚障害者のリストを要約筆記者に持たせたり、主催者に、参加者に障害の有無や居住地をチェックさせるなんて、ファッショも良いところだ。障害を理由にした差別そのものであり、憲法の保障する集会参加の自由すら損ないかねない問題だ。

これが大東京の貧困な聴覚障害者の福祉の実態だ。


ラビット 記




障害者向け研究補助金の詐取!?

2009年02月10日 23時00分21秒 | 生活
090210-225120.jpg読売新聞の夕刊に、信じられない記事が載っていた。

情報通信機構の障害者向け研究助成制度を悪用して、助成金を詐取したというものだ。
http://www.nict.go.jp/support/funding.html
金額が1億4千万円という巨額には驚く。しかも2006年度と2007年度と続けてだ。新聞報道ではどの制度を利用したか分からないが、最高でも5千万円だ。

さらに、指点字の文字変換機の開発ということにも驚く。相手の指を点字のタイプライターに見立てて、点字入力を触手するという方法なので、そんなに難しい技術開発は不要と思われるのに、巨額の資金が投入されたことだ。

3つ目には、聴覚障害者向けの各種サービスや機器の開発にこんなに巨額の助成を受けた例はないと思われる。電話リレーサービスや手話・字幕のリアルタイム配信の事業にも申請した団体や企業を知っているが、成果に対して支出されるので、事業中の運転資金や膨大な報告書の支出に悩まされていると聞いている。

情報通信機構はNICTと略称されているが、通信総合研究所CRLと合併した従前の通信放送機構TAOでテレビの自働字幕制作システムの研究にも関わったことがある身近な機関だったからだ。
この当時で年間1億2千万円程度だが、政府がミレニアムプロジェクト称した「巨大プロジェクト」だった。

障害者の情報バリアフリーについては、電話リレーサービスが日本の通信事業者は提供しておらず、テレビの手話放送も実現していない、まだまだ多くの課題がある。
こうした事件で、取組みが遅れたり、必要な開発資金が恣意的に取り扱われることのないように求めたい。


ラビット 記



NHKで中途失聴・難聴者の手話講習会について放送

2009年02月05日 14時42分42秒 | 生活

090205-060724.jpg地域で行われている手話講習会は、健聴者向けで、障害者自立支援法の地域生活支援事業で実施される社会参加促進事業の手話奉仕員養成事業だ。これは、法律的にはボランティア養成事業だ。
聞こえない人が地域で円滑に生活出来るように手話で会話出来る人を増やすことが目的で、手話通訳養成事業とは違う。

都内の手話奉仕員養成講習会が支援法の事業として行われているか、区市の独自事業で行われているかは不明だ。

中途失聴・難聴者対象とした手話講習会は一部の区市でも行われているが、健聴者対象の手話講習会の一環として行われているのではないだろうか。つまり、「手話の学習による自立促進」ではなく、「手話の学習による社会参加促進」になってしまっている。


ラビット 記
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中途失聴者が手話を学ぼうとするとき、いくつもの困難に直面することになる。
各地にある手話講習会や手話サークルはそのほとんどが聞こえる人向けである。中途失聴者は講師の声が聞こえないだけでなく、教えられる手話もろう者が使う手話であることが多く日本語で生活してきた中途失聴者が習得するのは至難の業である。
苦難の道を乗り越え手話を習得した人の体験談、一部の自治体で行われている中途失聴者を対象に行われている手話講習会の模様などを通して中途失聴者が手話を習得するためにどの様な環境整備が必要か考える。

放送予定
NHK教育テレビ「ろうを生きる難聴を生きる」
2月8日(日)19時30分~
再放送 2月13日(金) 12時45分~
    2月15日(日) 19時30分~
    2月20日(金) 12時45分~
http://www.nhk.or.jp/fukushi/chokaku/902.html




人工内耳のマグネットは危ない!?

2009年02月05日 00時42分45秒 | 生活
090120-085441.jpg人工内耳は、耳かけ型で使っているが、蝸牛に電気信号を伝えるアンテナは強力なマグネットで頭に張り付いている。

しかし、いろいろな理由で落っこちそうになる。気をつけないと。

傘を差しているときに、傘の骨にくっつくのは日常茶飯事だ。
その他、新幹線の窓側に寄りかかっている時も注意が必要だ。バスもそうだ。くっつくというより、あたって落ちるのだ。

前に、タクシーから降車する際にタクシーのドアにくっついたのはあわてた。ドアが閉まったら、挟まれてぺちゃんこになるからだ。


ラビット 記





派遣労働者の就農に複雑な難聴者

2009年02月05日 00時32分12秒 | 生活
090204-210025.jpg1月30日の日経新聞に元派遣労働者が就農に関心を持っていることが報じられていた。

就農には苦い思い出がある。亡くなった父親が機械エンジニアだったので自分もエンジニアになるつもりで勉強していた。
大学を選ぶ際に、父親に志望を話すと「おまえは聞こえないから、機械は無理だ。農業関係に行け」と言われた。
父親から、聞こえないからと言われたのは初めてでショックだった。

父親にしてみれば、土木工で用いる機械はエンジンで駆動し、その調子は音を聞いて異常を判断するというものだったらしい。なので、呼んでも返事をしない我が子には無理だと思ったのだろう。
結局、農学と工学の接点である農業生産工学科の農業機械専修コースに入った。
入学祝いにくれたのは、計算尺だった。カーソルをスライドさせて計算するものだ。エンジニアとしての父親の愛情だったのだろう。

就農は、厳しい。稲作は生活できない生産者米価なので離農者が多いのだ。政府が農業で生活できるように、ミニマムアクセス米の輸入禁止や所得補償など問題にきちんと対応しないと、就農者はまた「政府施策難民」になるだけだ。
それを、政府が「覚悟」をいうのは片腹痛い。

それに、御手洗経団連会長まで、就農を勧めるというのは製造業の企業経営者の責任を果たしてから言うべきで、いきなり派遣労働者を路頭に放り出したものの言うことではない。
日本の誇る製品の高品質を生み出した労働者をモノ扱いした天罰がきっと下るに違いない。


ラビット 記





難聴者の聞こえるということ 人工内耳併用に

2009年02月01日 11時25分59秒 | PHSから
090128-084335.jpg出勤時に駆け足ですれ違う掃除のおばさんに「おはようございます」と声をかけると、「気をつけて行ってらっしゃい」と聞こえた。
その聞こえ方が、ふっと頭の中に浮かんだというようなものだったので、ん?と思った。

今まで、補聴器で聞いていた時は、聞こえた言葉を頭の中に文字を並べて、言葉を理解していた。磁気ループで明瞭に聞いていた時も言葉が文字になって浮かんでいた。
しかし、時々、文字にならないで聞こえた言葉がそのまま頭に入って来る時がある。意味が頭に浮かぶ感じだ。
これが、聞こえる人の「聞こえ」なんだろうか。

難聴だと、相手の言うことが分からないので、お互いに言葉を交わすキャッチボールにならない。
しかし、聞いた言葉が頭に直接はいると、脳がそれを受け止めて、「思考」し始める。聞きながら、あれこれ考える。

脳にとって、音声で脳にインプットされるということはその言葉がくるくるとスピードのある動きをするようだ。


右耳に補聴器、左に人工内耳をしているが、今は補聴器も人工内耳もあまり設定をいじらないで聞いている。まあまあ聞こえるときもあれば何を言っているのか分からないというときもある。
補聴器をメインに人工内耳を補助的に聞いていた時期から、人工内耳の聞こえが大きくなりつつある今は混乱期と名付けるような状態だ。
未だに、医師にもらった聞くトレ用のCDは聞いていない。これはいかん、こころをいれかえねば。


ラビット 記




手話通訳放送中に、地震!

2009年02月01日 07時08分08秒 | PHSから
090201-032138.jpg090201-032250手話通訳.jpg朝6時52分頃、関東で震度4の地震があった。
茨城県の方が震源。

番組の最後は、天気予報で手話通訳がワイプで映っていたが、天気予報キャスターは天気予報だけで地震の情報は伝えなかった。
もし、地震情報を話せば、史上初の地震の手話通訳放送になったかも。


ラビット 記