難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

中途失聴・難聴者の運動家

2006年05月31日 22時36分12秒 | PHSから
060528_1453~001.jpg060528_1611~001.jpg29日は東京都中途失聴・難聴者協会の総会だった。
NPO法人化して丸4年たち、5年目に入った。
組織的には定款に基づいて運営されるようになり、監事もアドバイザーやチェック機能を果たしている。
しかし、広い都内を総合的に活動していくためには区市に多くの活動家を配置しなければならない

区市のの中途失聴・難聴者福祉施策を充実させようとすると人材育成が鍵なので、東京都の財団の助成事業で「地域福祉相談支援ゼミ」を実施する計画を立てている。
毎月一回、10回開く。区市の障害者福祉行政の担当者から行政のイロハから自立支援法の骨格まで学び、自立生活運動の草分けの単なる方からも交渉術ではない筋金入りの生きざまを学ぶ。
また、コミュニケーションについて、社会で活躍されている方を招く講座も企画した。

ラビット 記



厚生労働省の要約筆記事業の実施要項の矛盾

2006年05月30日 08時34分37秒 | 要約筆記事業
060528_1314~001.jpg厚生労働省が今年3月1日の障害保健福祉関係主幹課長会議で発表した実施要項の矛盾が地方自治体が混乱させている。
全難聴は何度も厚生労働省の担当者にそれを説明しているが、国会で取り上げられたらどうするつもりだろうか。

矛盾その一
要約筆記者事業を実施すると法定化しておいて、要約筆記事業の内容を示していないこと。
矛盾その二
要約筆記者養成・研修事業の内容を示していないこと。
矛盾その三
要約筆記奉仕員養成事業を継続するということ。
矛盾その四
要約筆記は通訳事業なのに「社会参加促進事業」で実施されること。

ラビット 記





すべての都道府県と市町村で要約筆記事業を(5)

2006年05月28日 10時31分12秒 | 要約筆記事業
要約筆記者がどういう活動をするかは、要約筆記奉仕員の経験しかない要約筆記者には想像が出来ないかも知れない。
しかし、手話通訳者は以前からその専門性を高める学習を重ね、社会福祉基礎構造改革の行われた2000年、支援費制度の発足する2003年のその前から、様々な取り組みをしてきた。
要約筆記者は、権利擁護という場合、どういう権利を擁護するのだろうか。どうやって、擁護するのだろうか。その場の情報保障を担うのが通訳だが。
手話通訳士協会が2002年の10月に支援費制度について研修を行った報告が紹介されている。これは日本手話通訳士協会からリーフレットが発行されており、先日購入して読んだが、大いに要約筆記者の活動の参考になった。
全難聴は、地域行政との関わりが薄かったし、自分たちの福祉を情報保障という狭い範囲でしかとらえられていなかった。
http://home.att.ne.jp/theta/setatsumuri/sienhi-0210kensyu04.htm

ラビット 記



すべての都道府県と市町村で要約筆記事業を(4)

2006年05月28日 09時59分32秒 | 要約筆記事業
昨日、京都嵯峨野で聴覚障害者医療従事者の会の集まりがあった。
障害者自立支援法と医療における要約筆記者の問題について考えた。

要約筆記者は、その場のコミュニケーション保障を担うだけではなく、同時に難聴者の立場で不利益がないように、対応を考える。例えば、通訳している医療現場で難聴者が医者の言うことが良く理解できないまま返事してしまうとか、難聴者が経済的な問題を抱えているとかの場合、要約筆記者からの報告を受けた派遣事業体のコーディネーターが医療機関やメディカル・ソーシャルワーカーなり福祉事務所と相談するという対応をする。これがコーディネーターの役割の一つ。

要約筆記者は、通訳としての専門性とモラルを持つことで、医療の現場にも入れるようになる。以前大阪で開催された要約筆記討論集会で、京都の参加者から難聴者が診療を受ける時呼び出しまでは要約筆記者が同行するが診療の場には入れてもらえなかった、これで難聴者の医療が保障されるのかという問いかけがあったのを思い出した。
障害者自立支援法のことでは、通訳としての専門性を持つ要約筆記者事業になることで、要約筆記者が医療従事者ととともに、中途失聴・難聴者の診療、健康管理に関わることが出来るようになる。実際に、東京ではろうあ者が入院している病院では、医師やナースのケース会議に手話通訳者もろう者のコミュニケーションや日常生活について専門的に助言するために出席している。

要約筆記者事業が、障害者自立支援法ですべての市町村で実施が義務つけられ、法的に通訳であること(要約筆記の内容が意思仲介である)、実施しなければならないこと(義務化)から、より専門性を確立することで、中途失聴・難聴者に対する権利擁護(情報を受ける権利から、健康的文化的生活を送る権利まで)の担い手となります。
要約筆記奉仕員では身分保障がなく、技術と知識、モラルにおいて不十分なため、権利擁護の担い手にならない理由だ。

要約筆記が長い間奉仕員事業であったことは、私たちの要約筆記に対する専門性の理解が不足していたこと、権利擁護とは何かについて意識が低かったこと、要約筆記者の好意を「支援」と誤解していたことなどがある。また、ろうあ者を支援していた手話通訳者、自治体の理解が低かったことも一因と最近思うようになった。

ラビット 記



すべての都道府県と市町村に要約筆記事業を(3)

2006年05月27日 13時52分39秒 | 福祉サービス
東京のある特別区の障害福祉課長、係長との交渉の報告があった。
「要約筆記については、先日難聴団体から説明を聞いたが、正直言って、必要性がよくわからないとか。○○区ろう協会が出した要望のなかで、唯一、「事業化は難しい」といっていました。」

東京の聴覚障害者団体は、政府の三位一体改革による障害者福祉事業が廃止されようとした際に、「東京聴覚障害者福祉対策会議」を結成して、運動してきた。これが、全国に設置された聴覚障害者自立支援法対策地方本部の東京地方本部の役割を果たしている。
東京都中途失聴・難聴者協会は、区市における要約筆記事業、中途失聴・難聴者事業の実施を求めて、対策会議で要望書を提案し、昨年から各区市を回って要望を続けている。
大部分の区市では、地域の難聴者組織を除くと、東京都中途失聴・難聴者協会から中途失聴者、難聴者に関わる要望を聞くのは今回が初めてであり、対応はまちまちである。

要約筆記者事業がメニュー事業であることから、区市レベルで要約筆記者の派遣事業が行われているのは数区市に過ぎない。その分、東京都の要約筆記者派遣事業が年間2千件を超える派遣を担ってきた。
今後、要約筆記者事業が義務化されたことにより、事業の実施をしなければ成らない各区市に東京聴覚障害者自立支援センターに派遣業務を委託する方式を提案している。また、区市で養成された要約筆記者は、厚生労働省の要約筆記奉仕員養成カリキュラムの基礎課程養成講習会よりも内容も時間数もまちまちであることから、自立支援センターが補習講習会を行い、その修了を要件として、東京都で養成した要約筆記者と同様に、来年にも実施する要約筆記者認定試験に合格すれば、東京都の登録者とすると考えられる。

厚生労働省は、都道府県に対しては、新たに実施されることになる要約筆記者事業について、要約筆記の定義、要約筆記者の仕事の範囲、養成カリキュラムなどを具体的に示さなければ、上記のように必要性がわからないとして、事業が極小になる恐れがある。
市町村に対しては、要約筆記者の要件、現任の要約筆記奉仕員の要約筆記者への転換方法、認定試験など登録方法などを示す必要がある。

6月下旬の厚生労働省障害保健福祉主管課長会議に向けて、私たちの求める内容で実施要綱の策定を求める必要がある。

ラビット 記






すべての都道府県と市町村に要約筆記事業を(2)

2006年05月27日 12時48分35秒 | 要約筆記事業
要約筆記事業は、都道府県障害者社会参加総合推進事業、あるいは市町村障害者社会参加促進事業として実施され、厚生労働省の通知による事業だった。
いわゆるメニュー事業であり、都道府県、市町村とも実施する義務がない、任意の事業とされてきた。予算も国の補助金の予算を越えると都道府県、市町村の負担となる。
身体障害者福祉法でいう手話通訳等の「等」の中に要約筆記が含まれることが省令で明記されている。

2000年の社会福祉法改正で、手話通訳事業が社会福祉法の法定第二種事業になった際に、要約筆記も厚生労働省令で同様に社会福祉法人の法定事業とされた。しかし、事業は奉仕員事業のままであったことが事業のレベルも位置づけが法的位置づけと乖離していた。
障害者自立支援法の第77条に、市町村の地域生活支援事業について、市町村は「手話通訳等を行う者を派遣する事業を必ず行わなければならない」と書かれていることから、要約筆記者事業の実施についても法的に位置づけられたのである。

この意義はとても大きい。
第一に、要約筆記者が聴覚障害者の権利擁護の担い手として、事業の内容も事業の実施も法律で位置づけられたことである。
この場合の聴覚障害者とは、手話をコミュケーションの手段としない中途失聴・難聴者を指す。これまで手話を使わない聴覚障害者は、要約筆記奉仕員に「通訳」と支援を受けるしかなかった。
第二に、要約筆記者が専門性を持つ社会福祉サービスの一つとして認められたことである。手話通訳とともに、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士などと並んで、障害者等の社会資源の一員となるのだ。
第三に、要約筆記者の身分保障、待遇改善につながることだ。事業の名称から、奉仕員の役割が強調されて、要約筆記の役割が通訳と難聴者支援が混同、あるいは一体化していたために、待遇は報酬ではなく謝礼であり、低かった。
第四に、難聴者の支援が内容的にも、レベルも豊かになることである。要約筆記者は通訳の現場のコミュニケーション保障を担うだけではなく、中途失聴・難聴者の立場で利用者の抱える問題を把握して、派遣元に返していく。要約筆記者派遣事業体のコーディネーターは、地域の難聴者組織やボランティアグループ、社会資源とのネットワークを構築し、必要な支援を提案していくことで、必要な支援が提供できるようになる。

ラビット 記






すべての都道府県と市町村に要約筆記事業を(1)

2006年05月26日 09時38分48秒 | 要約筆記事業
6月に厚生労働省から何らかの地域生活支援事業の指針的なものが示される可能性が高い。先の会議で厚生労働省の幹部が障害者自立支援法は身体障害者福祉法改正以来50年振りの大改正と表現された。
身体障害者福祉法で定められている障害の定義などは何ら変わらないので、身体障害者福祉法改正以来と聞いても異議を呈したくなるが、地域生活支援事業の法定化や三障害者施策の統合など「大改正」だ。
ただし、法施行にかかる混乱、体制準備の遅れは市町村合併にあるのではない。十分な検討をしないまま無理矢理法採決を急いだのが根本の原因にある。

しかも、「応益負担」の理由が社会保障費の削減を緊急課題として課せられているから説明されたが、本来の「障害者の自立支援」が目的ではなく、国民の批判をかわすために障害者も負担すべきるという財政上の理由であることが幹部自身の言葉で明らかになった。これは、自立支援法成立直後、テレビのインタビューで尾辻大臣が財務省からの働きかけがあったことを否定しなかったことを想記させる。

その結果、何がうまれているか。障害者の施設からの退所であり、サービス利用の抑制である。個別給付の一割負担を理由にしたコミュニケーション支援事業の負担である。
挨拶では、兵庫県の障害者の言うように、障害者も社会で就労してタックスペイヤー(納税者)になるようにと言われた。それならば、障害者差別禁止法で差別を禁止し、障害者の雇用を企業に義務付け、重度の障害者の所得保障、就労支援のための支援員の養成、コミュニケーション支援員の養成など障害者自立支援サービスの充実があって、初めて障害者が納税者になれる。今の状態は、障害者が働きたくても働けない、働くために通訳を依頼すること自体が解雇の危険を招くと言う状況である。
法整備も環境も用意しないで、負担だけ先に求めると言うのでは話の順番が逆である。

今回の障害者自立支援法で、要約筆記者派遣事業が法定化され、市町村事業とされた。これについても全国の都道府県、市町村が円滑に事業が実施できるように、その指針を示すのが厚生労働省の役割だ。地方分権だから、ご自由にというのでは障害者の受けられるサービスが市町村によって、とんでもない差が付くということになる。
それこそ、憲法に保障された障害者も一国民として基本的人権が損なわれる実態に国が手を貸したということである。
権利が損なわれて、どうして自立支援法なのか。

ラビット 記



デジタル放送時代のバリアフリーに

2006年05月25日 12時42分29秒 | 生活
060524_1934~001.jpg障害者放送協議会放送通信バリアフリー委員会が開かれ、18年度な事業計画を話し合った。

18年度の事業計画について
1)放送のあり方について、デジタル放送の通信と融合、NHKのネット事業への参入など総務省で懇談が続いているが、視聴者、障害者が蚊帳の外に置かれたまま議論されている。
アナログ放送が終了することを障害者のどれだけが知っているのか、視聴が保障されるのか、政府の責任が問われる。
放送と通信に関わる主要な事業者が委員となっているので懇談会に対して、障害者放送協議会として、意見を提出する。

2)2007年度に終了する字幕放送拡充の指針に代わる、新しい障害者向け放送の実施目標(ガイドライン)を策定を求める。
具体的には、今年度中に実施目標を策定するための当事者の加わった委員会の設置を求める。

3)2007年度は、参議院選挙があるが、政見放送の問題も取り上げる必要がある。政見放送研究会の再設置を要望する。
政見放送に手話放送が入っているが、すべての選挙ではなく、政党の任意に任されている。字幕も任意であるなどの問題がある。

4)障害者を取り上げた番組の顕彰の問題は、幹事会で取り組む。

5)障害者放送協議会として、民放連、NHK、電波産業会ARIB、各種懇談会やの委員になることや参考人の招致も要望する。

討議では、政府のインターネット放送に視覚障害者はアクセスできない問題、視覚障害者に新聞を音読してラジオで放送する場合、著作権処理問題があり拡大できない問題、2007年世界陸上に解説放送や点字のガイドを求める運動などが出された。
字幕放送に比べて、解説放送の実施が遅れていることから、解説放送や字幕をどう入れるべきか検討する必要性も出された。
政府や民間の論議の中に、高齢者を含む障害者などのアクセスの問題がでてこないのは、当事者が入っていないからだ。
インターネットでNHKがアーカイブを提供する動きもあるようなので、なおさら字幕、手話、解説放送などの義務化が必要になる。

今後、各障害者団体の活動を統合するような動きが必要だ。

ラビット




厚生労働省の主幹課長会議が6月下旬に

2006年05月25日 09時08分18秒 | 福祉サービス
060524_1116~001.jpg昨日、聴覚障害者福祉施設の理事会があり、厚生労働省の幹部の挨拶で、6月下旬に厚生労働省障害者福祉施策担当主幹課長会議が開かれると話された。
地域生活支援事業が10月から施行されるが市町村の準備が遅れいて、十月に間に合わない市町村も出てくるだろうが都道府県に支援を要請していると。
市町村の平成の大合併で混乱していていることが理由と説明されていたが、そうではなく厚生労働省が地域生活支援事業の具体的な指針を示していないからだ。
挨拶で、自ら都道府県や市町村、関係団体から求められている具体的なものを示したいと言われていたことに現れている。
この中にコミュニケーション支援事業の実施要項が出されるよう要望が必要だ。特に要約筆記事業で新しくスタートする要約筆記者養成・研修事業がどういうものか示されなけばならない。
要約筆記とは何か、要約筆記者はどういう支援サービスを担うのか、どういう養成をするのかが示されなければ、都道府県は来年度の予算も障害福祉計画も組めない。
市町村が要約筆記者派遣事業を実施するためには、現在の要約筆記奉仕員をどう転換するのか、やはり要約筆記者を示さなければ出来ない。

全難聴と全要研が2月16日に厚生労働大臣宛てに出した要望書の実施を求めて、交渉の申し入れをしたい。

ラビット





竹中総務相の「放送と通信の在り方」懇談会と障害者

2006年05月21日 02時14分11秒 | 生活
竹中平蔵総務相の放送と通信の在り方に関する懇談会」が論議を重ねている。16日に開いた懇談会の内容が5/17の日本経済新聞に載っている。
1.NHKの業務改革はチャンネル数を削減の方向へ、ガバナンスの監視強化は経営委員を常勤にする案が、受信料見直しは大幅な引き下げ案の他に、改革前提にした不払い者に罰則案も出ているがすぐには結論がでず、中長期的課題となっている。

2.放送全般については、「通信との融合」が主要テーマ。著作権の制限により、NHKのアーカイブをネットで放送することはほぼ合意に、地上デジタル放送のネットで全国配信については業界の一部が反発している。

3.NTTの経営形態見直しは完全分離すると競争力が低下して、光ファイバー網の構築に支障が出るとか議論が難航している。竹中総務相はインターネット、携帯電話が普及した時代に固定電話中心の組織でよいのか、再編すべきという考え。

こうした議論は、経済財政方針(骨太方針2006)に反映される。

こうした議論の中に、障害者の放送・通信の利用問題がないままだ。
○緊急災害時の障害者への情報提供体制の確立。
2)通信サービスの「ユニバーサル・サービス」の実現。
○すべての国民にテレビ(TV for the All)の観点
で障害者が放送の視聴が出Kるような保障。
4)障害者が放送・通信問題の施策形成の場に関わる保障。
5)その他




要約筆記者派遣の意味

2006年05月20日 23時55分37秒 | 要約筆記事業
050520_0851~001.jpg050519_1006~001.jpg
会社で要約筆記の派遣を使ってみて感じたことがたくさんある。
1)すぐわかる要約筆記ができなくてはならない。
利用者が会議の内容の何をつかもうとしているのかを理解して、素早く書けなくては依頼した意味がない。
要約筆記者がどこまで「要約」するかは利用者がどこまで理解しているかを判断できなければならない。

2)要約筆記者も利用者も努力して通訳に良い環境を作る必要があるということ。
そのために、あらかじめ、こういう背景があって開かれる会議で自分がこういうことを話し、こういう話が出てくるだろうが、こういうことを掴んで説明をする立場だということを要約筆記者に説明した。


3)要約筆記はあくまでもその場での情報保障でしかないこと。
要約筆記によって、その会議の進行はできたし意見もいっぱい出てきた。その1時間弱の会議はそれで良かったが、自分の職責はその人たちの業務の管理なので仕事の内容も人間関係もその人の性格も把握していなくてはならない。それには、一回の通訳では到底無理で、過去のあれこれの場面で情報保障が必要だし、日頃からコミュニケーションができていなければならない。
聴覚障害者には職場に配属された最初から通訳が配置されなければならないし、職場でコミュニケーションの配慮が必要だ。

4)要約筆記者は人件費であること。
会社によって違うだろうが、自分の会社は外注事務費の派遣事務費だった。通常の派遣会社の派遣は1時間2000円程度だから、要約筆記はその1.5倍だ。要約筆記によって、利用者がどれだけ会議の内容を把握し、アウトプットするかで企業はそのコストを評価する。要約筆記者の技術とかではない。
利用者からすると、使える要約筆記者でなければ苦労して、要約筆記を会社に認めさせた意味がない。

5)職場の要約筆記や手話通訳は無条件に派遣されるべきだ。
聴覚障害者がその聴力のいかんによらず、確実なコミュニケーションの保障である通訳がいつでも必要である。要約筆記者がいて、初めて職場の中で対等に渡り合える。自分は大体わかるとか、90%は分かるとか言わないことだ、その聞こえない部分がその仕事のキーワードだったらその場にいないのと同じだ。

6)企業の要約筆記の依頼には利用者が腹をくくる必要がある。
絶対に自分には要約筆記が必要で、要約筆記がいれば自分の力が発揮できると自信を持つことがまず最初に決定的に重要だ。
要約筆記が認められなければ、憲法でも障害者基本法でも、身体障害者雇用促進法でも何でも持ち出し、ハローワークにも弁護士にも難聴者協会にも訴えて、必ず実現するという意思を固めることだ。

7)最初に来る要約筆記者の力量が重要だ。
企業に派遣されてくる要約筆記者は会議の参加者はもとより、派遣を認めた上司や予算管理者も立ち居振る舞いから服装まで見ている。もちろん、依頼した本人がどう振舞ったか、何を話したかを見ている。
そういう意味では普段着では困るし、利用者だって、気合を入れているので、キビキビとした反応を示して欲しい。もちろん礼儀正しく挨拶もして、帰るべきだ。
「書けなくてすみません」という要約筆記者がいたら、怒鳴っていたかもしれない。

いろいろなことを学んだ。明後日、また来てもらうことになっている。

ラビット 記






要約筆記者の派遣について

2006年05月11日 22時24分19秒 | 福祉サービス
自分の関わる会社の会議に、要約筆記者の派遣を依頼することにした。業務報告書に、どう書くか考え、以下のようにした。
自立支援センターから見積もりも取れ、要約筆記者の派遣規定も取り寄せ、上司の承認も得られた。
これは、今週月曜の会議で、自分の難聴とどうコミュニケーションしたらよいかを説明したペーパーを上司や同僚にも配布しておいたことも功を奏しているのではないか。
担当者の女性も早速、指で数字をあらわしたり、近くで話してくれるようになった。

ラビット 記
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要約筆記者の派遣について
 標記の件について,下記のとおり依頼します。

○○の業務補助として、要約筆記者の派遣を依頼する。
1.相手先 :東京聴覚障害者自立支援センター
      〒150-0011東京都渋谷区東1―23―3 
         電話 03-5468-9500 FAX 03-5468-9501
2.依頼内容:会議の内容の要約筆記※をする      
        ※話された内容を要点にまとめ、筆記で伝える
3.見積金額:1時間3000円(税込み)/一人(別紙参照)
4.科目  :外注事務費
5.派遣者 :東京都の指定された養成講座修了者のうちA判定者
       同センター規定の守秘義務を有する。
6.派遣依頼日:2006年5月××日(月)17:30から18:30
        受注担当者の打ち合わせ
7.その他 :受注担当者の配置換えを指示してから1週間目に状況を把握する
      ために、担当者から状況を聞き、対応する必要がある。
      本連絡の後、決裁をとる。
以上



難聴のM子さんの高校生活

2006年05月09日 13時39分05秒 | 生活
くるみパン難聴のM子さんは、高校に入学して一ヶ月。先日、お母さんに会う機会があった。
M子さんが入学するにあたって、学校側がいろいろな配慮をしてくれたそうだ。
お母さんとボランティアが「M子さんの聞こえについて」という資料も作成し、関係者に説明が行った。教職員の皆様にご理解いただきたいこと、保護者の皆様にご理解いただきたいこと、聴覚障害の等級やノートテイクの方法、オージオグラムや人工内耳、FM補聴器の説明まである。
医学的な説明、聴覚障害の客観的な説明が効果があったと思う。

M子さんが「「クラスの皆さんへ」を、クラスの仲間の前で話した。お母さんによると、M子さんは少し涙ぐんでしまったそうだが、頑張って話したと。よ~し、頑張ったね。偉い!おじさんも負けないぞ。

「こんにちは。同じクラスのM子です。私はこの学校で、皆さんと高校生活を頑張ろうと思っています。でも、耳が聞こえないので、次の点に気をつけて頂くととても助かります。よろしくお願いします。

1.後ろ向きのとき、本を読んでいるときに話しかけられても、分かりません。
話しかける前に肩を軽くたたいたり、手を振ったりして教えてください。
2.唇の動きを読み取ることにより、言葉を理解しています。(口話といいます。)口元や顔をかくさないで離してください。
3.少しゆっくり、はっきり話してください。
話が分からないときは、「もう一度お願いします。」と言いますので、面倒がらないで、ゆっくり話してください。
4.話が通じないとき、時間がないときは紙に書いてください。」

5月16日に、高校で授業を保障するノートテーカーのスタッフ会議が開かれる。これには、中学校の担任の先生や中学時代のノートテイクのボランティアの方、新しいボランティアの方が参加する予定だ。

ラビット 記
http://blogs.dion.ne.jp/rabit/tb.cgi/2998492


職場で難聴、聞こえの理解を求める 

2006年05月08日 12時41分24秒 | 生活
職場4月半ばから、異動になり、女子社員12人を束ねるようになった。今まで、機会やシステムを相手にした仕事から、一転、人とのコミュニケーションが主になる仕事になった。
担当者の仕事の詳細は分からない上、女性の声は聞きにくいので、どうしても腰が引けて、あまり積極的に接していなかった。
これではいけないと、GW明けそうそうに、担当者全員集まってもらって、仕事の分担と私とのコミュニケーションについて話した。しっかり、理解してもらわなくてはいけないと大きい声で聞こえについて説明し、ペーパーでも配布した。

指文字のメは皆手を動かしてもらい、早速20番に電話ですとか、話をするために自席まで来て話してくれるようになった。早く言えば、良かったのだ。

これは、前に知らせたM子さんが高校に入学し、入学式の時にクラスの仲間の前で自分の聞こえとコミュニケーションの方法を涙ぐみながら話したと聞いて、私も負けていられないと思った。
http://blogs.dion.ne.jp/rabit/archives/2990939.html


受注担当者の皆様へ

おはようございます。GW中も大変お疲れ様でした。
今日から、実需担当を中心に各担当の新しい体制に入りたいと思います。
9:00から、簡単にご説明しますので、会議室にお集まりください。

 ラビットとのコミュニケーションについて

 ラビットは難聴(なんちょう)です。出生直後の抗生物質の注射が元で、聴神経の細胞が減少したために、聞きにくくなっています。
 特徴は、小さい声が聞こえないと言うのもありますが、音(オン)の弁別が出来ないのです。タバコが「たまご」に聞こえたり、滋賀県か千葉県と言った似たオンの区別が出来ないため、補聴器で拡声しても頭の中に???が浮かぶだけです。
 それで、近くでお話して頂くか、それも補聴器をしている右側がグッドです。
 数字は間違えやすいので、空文字(そらもじ)を使って頂くと助かります。1から5までは指の数で大丈夫です。6から9までは指先で空中に自分から見える形で書いてください。
 さらに、メモしてもらうと確実です。メールは社内メールですと他の人に見られないので安心です。そう、一つだけ手話を覚えてください。「メール」です。親指と人差し指で、つぶれた輪を形作って下さい。指文字の「メ」です。自分から相手のほうに動かしてください。
 いろいろ、ご不便をおかけしますが、頑張りますのでよろしくお願いします。




おしゃべり、だいすき 難聴児の学校生活

2006年05月08日 02時02分19秒 | 生活
今日はとても良い本を見た。
小林美咲さん、小学校5年生。補聴器を使っている美咲さんは、小学校で、クラスの仲間と指文字や手話を使ってコミュニケーションする。クラスの仲間は、美咲さんが難聴であること、指文字や口の動きでコミュニケーション出来ることを知って、すぐに指文字を覚えてしまった。
授業では、手話通訳やノートテイカーの方が美咲さんに先生の話を伝える。先生も簡単な手話や筆談をする。先生の言うことや教材のビデオなどが分からなかったりすると、隣りの子供に今なんて言ったのって聞くと、指文字も使って「カエルの鳴き声だよ」って教えてくれる。
美咲さんは、聞えないけれどもおしゃべりが好きだ。友だちともおとうさんともいっぱい話をする。
この写真集の美咲さんの顔は明るい。クラスの中で、みんなの理解も得て、必要な時は通訳も使って、勉強したり、学校生活を送っている。

これって、私たちの目指す中途失聴・難聴者の地域生活の学校版じゃん。

「いっしょがいいな 障がいの絵本 (2)
「おしゃべり、だいすき
耳のきこえないひと
ポプラ社発行
橋本 一郎/監
北村 小夜/監
嶋田 泰子/文」

http://www.poplar.co.jp/shop/shosai.php?shosekicode=70270020

ラビット 記