『今日から 一陽来復 日は長く』
(きょうから いちようらいふく ひはながく)
〔一陽来復の日=冬至の日〕
『人生の 冬至と見たり 還暦を』
(じんせいの とうじとみたり かんれきを)
『好きなれど 冬至南瓜 もう御免』
(すきなれど とうじかぼちゃ もうごめん)
『煤飛んで 我が家の香り 世に出でし』
(すすとんで わがやのかおり よにいでし)
『我が留守に 我が部屋だけの 煤払い』
(わがるすに わがへやだけの すすはらい)
『飾り売り 町にちらほら 見かけられ』
(かざりうり まちにちらほら みかけられ)
『注連飾る 去年と同じ サイズなり』
(しめかざる きょねんとおなじ さいずなり)
『聖夜には 妹の写真を プレゼント』
(せいやには いものしゃしんを ぷれぜんと)
『三日坊主 今年も買うや 新日記』
(みっかぼうず ことしもかうや しんにっき)
『年の瀬を 聞きつ言いつつ 何もせず』
(としのせを ききついいつつ なにもせず)
『年暮れて 夜空の星の 多きかな』
(としくれて よぞらのほしの おおきかな)
『年の内 十日となりて 嫁元気』
(としのうち とおかとなりて よめげんき)
『朔の月 探して見えぬ 冬至かな』
(さくのつき さがしてみえぬ とうじかな)
『来る年は 年男なりし 五回目の』
(くるとしは としおとこなりし ごかいめの)
『古暦には 来る年がこと 書きにくし』
(これきには くるとしがこと かきにくし)
『冴え冴えと またまた来たり 霜の朝』
(さえざえと またまたきたり しものあさ)
『足跡に 霜の溶けるを 確かめて』
(あしあとに しものとけるを たしかめて)
『冬の夜 月より見れば 満地かな』
(ふゆのよる つきよりみれば まんちかな)
『土掘るに 莫とした日や 冬の暮』
(つちほるに ばくとしたひや ふゆのくれ)
『おじちゃんが おじいちゃんに 聞こえて冬』
(おじちゃんが おじいちゃんに きこえてふゆ)
『冬夕焼け 小焼けと言う間に 黄昏て』
(ふゆゆうやけ こやけというまに たそがれて)
『牡蠣食えば 腹が鳴るなり ノロウィルス』
(かきくえば はらがなるなり のろうぃるす)
『川流れ 打つ手はなしや 水鳥よ』
(かわながれ うつてはなしや みずどりよ)
『例の人 寄せ鍋せんと 集い来る』
(れいのひと よせなべせんと つどいくる)
『おでん鍋 舌で転がし 鼻に来る』
(おでんなべ したでころがし はなにくる)
『日当たらぬ 半身に沁みる 冷たさよ』
(ひあたらぬ はんみにしみる つめたさよ)
『鴨立ちぬ 藻疊避けて 石の上』
(かもたちぬ もたたみさけて いしのうえ)
『冬の朝 小学校歌の ついポロリ』
(ふゆのあさ しょうがっこうかの ついぽろり)
『嬉やな 酒飲む宴 今師走』
(うれしやな さけのむうたげ いましわす)
『葉牡丹や 食指が動く 色形』
(はぼたんや しょくしがうごく いろかたち)