俺流俳句 「いちらくいちらく」

俳句で遊ぼ。

あなたも、優しくなれます。
          
          千秀

冬ざれ

2006年12月17日 | 俳句
 ご近所の山茶花

『冬めきて 日向を繋ぎ 散歩道』
(ふゆめきて ひなたをつなぎ さんぽみち)

『冬めきて 嫁にはあらざる 季節なり』
(ふゆめきて よめにはあらざる きせつなり)

『冬めきて 潜る暖簾に 安堵して』
(ふゆめきて くぐるのれんに あんどして)

『木枯らしや 待合室に 人満ちて』
(こがらしや まちあいしつに ひとみちて)

『数え日や 恩ある人の 偲ばれて』
(かぞえびや おんあるひとの しのばれて)

『クリスマス 主なきよな クリスマス』
(くりすます あるじなきよな くりすます)

『朝露に 濡れて落葉の 音閑か』
(あさつゆに ぬれておちばの おとしずか)

『枯落葉 風に吹かれて 右左』
(かれおちば かぜにふかれて みぎひだり)

『朽ち果てし 落葉を好む 妹なりき』
(くちはてし おちばをこのむ いもなりき)

『落葉舞い 風の筋見ゆ 鳥居端』
(おちばまい かぜのすじみゆ とりいばた)

『冬の霧 隠すなら隠せ 世の愁い』
(ふゆのきり かくすならかくせ よのうれい)

『街の灯を 暖かく感ず 冬の霧』
(まちのひを あたたかくかんず ふゆのきり)

『鎮魂か 冬霧の中 ルミナリエ』
(ちんこんか ふゆぎりのなか るみなりえ)

『群れなすも 孤高もありし 冬の鳥』
(むれなすも ここうもありし ふゆのとり)

『魚の目と 同じと見たり 冬の鷺』
(うおのめと おなじとみたり ふゆのさぎ)

『朝焼けや 霜解けの道 足の跡』
(あさやけや しもどけのみち あしのあと)

『冬枯れの 月こそあわれ 雲隠れ』
(ふゆがれの つきこそあわれ くもがくれ)

『冬ざるる 明日香の道の なつかしく』
(ふゆざるる あすかのみちの なつかしく)

『冬ざれて 石の舞台の ひんやりと』
(ふゆざれて いしのぶたいの ひんやりと)
 
『冬ざれや 地蔵仏に 蓑笠が』
(ふゆざれや じぞうぼとけに みのかさが)

冬の腹

2006年12月16日 | 俳句
 ご近所の南天

『小春日は 生徒舟漕ぎ 閑なり』
(こはるびは せいとふねこぎ しずかなり)

『忘年会 手持ち無沙汰の 時間待ち』
(ぼうねんかい てもちぶさたの じかんまち)

『年の暮 戀もせぬうち 過ぎ行けり』
(としのくれ こいもせぬうち すぎゆけり)

『日の当たる 背は温かく 腹冷たし』
(ひのあたる せはあたたかく はらつめたし)
 
『冬の宵 唄うは風呂で 古き歌』
(ふゆのよい うたうはふろで ふるきうた)

『外見れば 立ち内は出る 冬の腹』
(そとみれば たちうちはでる ふゆのはら)

『数え日の 忘年会の 予定なし』
(かぞえびの ぼうねんかいの よていなし)

『耳に良き 大阪時雨 降るは嫌』
(みみによき おおさかしぐれ ふるはいや)

『閉じし眼の 裏に焼き付く 雪の妹』
(とじしめの うらにやきつく ゆきのいも)

『妹の住む 北国遠く 冬椿』
(いものすむ きたぐにとおく ふゆつばき)

『冬椿 今宵ばかりは 酔わせてよ』
(ふゆつばき こよいばかりは よわせてよ)

『飲むならば 三輪の味酒 雪催』
(のむならば みわのうまざけ ゆきもよい)

『味酒は 七賢人と 冬の夢』
(うまざけは しちけんじんと ふゆのゆめ)

『この愁い 年暮れ行くも 忘れまじ』
(このおもい としくれゆくも わすれまじ)

『時雨るるに 残る木の葉も 散りにけり』
(しぐるるに のこるきのはも ちりにけり)

『冬の雲 緩く来たりて 居座りぬ』
(ふゆのくも ゆるくきたりて いすわりぬ)

『年の暮 過客戻りて 酌み交わす』
(としのくれ かきゃくもどりて くみかわす)

『雲流る 大地を枕 日向ぼこ』
(くもながる だいちをまくら ひなたぼこ)

『冬薔薇 枯れきるまでの 時長く』
(ふゆそうび かれきるまでの ときながく)

『短日や 満たされざるに 時長く』
(たんじつや みたされざるに ときながく)

寒椿

2006年12月15日 | 俳句
百合鴎と鴨 庄下川にて


『陰り増す ひと葉ひと色 冬紅葉』
(かげります ひとはひといろ ふゆもみじ)

『冬紅葉 燃える夕日に 朱の増して』
(ふゆもみじ もえるゆうひに しゅのまして)

『見上げれば 月も身に沁む 年の暮』
(みあげれば つきもみにしむ としのくれ)

『誰が呼ぶ 冷たさ増して 雨催』
(だれがよぶ つめたさまして あめもよい)

『冬の雨 遥かに遠く 雲流る』
(ふゆのあめ はるかにとおく くもながる)

『冬枯れて あわれ漂う 人の波』
(ふゆかれて あわれただよう ひとのなみ)

『日向ぼこ 遠くで嫁が 呼んでいる』
(ひなたぼこ とおくでよめが よんでいる)

『冬うらら 千代紙折し 両面の』
(ふゆうらら ちよがみおりし りょうめんの)

『冬紅葉 一日一日と 色薄れ』
(ふゆもみじ ひとひひとひと いろうすれ)

『冬の夢 ふうわりふわふわ 雲に乗る』
(ふゆのゆめ ふうわりふわふわ くもにのる)

『野に積みし 野菜の山の 冬枯れて』
(のにつみし やさいのやまの ふゆかれて)

『妹去りて いつ止むとかや 冬の風』
(いもさりて いつやむとかや ふゆのかぜ)

『冬の風 あなたの色が 見えません』
(ふゆのかぜ あなたのいろが みえません)

『冬の旅 衣湿りて 霧の中』
(ふゆのたび ころもしめりて きりのなか)

『日向ぼこ 我には我の 影があり』
(ひなたぼこ われにはわれの かげがあり)

『燗冷まし 少しは酔える 冬の朝』
(かんざまし すこしはよえる ふゆのあさ)

『寒鴉 己の影に あほと鳴く』
(かんがらす おのれのかげに あほとなく)

『しみじみと 師走寄せ来る 行き過ぎる』
(しみじみと しわすよせくる いきすぎる)

『寒椿 ぱっと赤らめ ひとめぼれ』
(かんつばき ぱっとあからめ ひとめぼれ)

『寒椿 戀に燃え尽き さっと散る』
(かんつばき こいにもえつき さっとちる)

ボーナス

2006年12月14日 | 俳句
ご近所の朝焼け


『木枯らしや 平気の平左と 首窄め』
(こがらしや へいきのへいざと くびすぼめ)

『忘年会 終いの電車 乗り過ごし』
(ぼうねんかい しまいのでんしゃ のりすごし)

『忘年会 左にグラス 右マイク』
(ぼうねんかい ひだりにぐらす みぎまいく)

『名と顔の 記憶を求め 賀状書く』
(なとかおの きおくをもとめ がじょうかく)

『まだ書けぬ クリスマスカードに 賀状なり』
(まだかけぬ くりすますかーどに がじょうなり)

『ボーナスなど 無くてもいいと 言えなくて』
(ぼーなすなど なくてもいいと いえなくて)

『贅沢や 屋台のはしご 冬半ば』
(ぜいたくや やたいのはしご ふゆなかば)

『往く人や 来る人多き 年の暮』
(ゆくひとや くるひとおおき としのくれ)

『煤籠 部屋から部屋へ 逃げまくり』
(すすごもり へやからへやへ にげまくり)

『冬の街 戀する間など あるものか』
(ふゆのまち こいするまなど あるものか)

『どちらかや 枯木と老木 我に似る』
(どちらかや かれきとろうぼく われににる)

『熱燗は さしつさされつ 飲むものよ』
(あつかんは さしつさされつ のむものよ)

『生きている 証に食す ふぐ鍋を』
(いきている あかしにしょくす ふぐなべを)

『冬の雨 子の泣く声を 消しやらで』
(ふゆのあめ このなくこえを けしやらで)

『酒焼けも 遠い昔よ 冬の旅』
(さけやけも とおいむかしよ ふゆのたび)

『酎ハイで 十分な冬 我慢なし』
(ちゅうはいで じゅうぶんなふゆ がまんなし)

『玉子酒 風邪に一番 これがいい』
(たまござけ かぜにいちばん これがいい)

『寒雀 お供は要らぬ 散歩道』
(かんすずめ おともはいらぬ さんぽみち)

『寒鴉 鳴くには早い 街眠る』
(かんがらす なくにははやい まちねむる)

『寒鰤や 切り身で我慢 明日がある』
(かんぶりや きりみでがまん あすがある)

『師走なり 床屋行く日を 決めかねて』
(しわすなり とこやいくひを きめかねて)

『寒鴉 嫌われものの 顔をして』
(かんがらす きらわれものの かおをして)

忘年会

2006年12月13日 | 俳句
百合鴎の飛翔(なんとか撮れました) 庄下川にて


『熊穴に 籠もるは昔 今は出る』
(くまあなに こもるはむかし いまはでる)

『望み葉と 落ち葉言い換え 何変わろ』
(のぞみばと おちばいいかえ なにかわろ)

『六花 顕微鏡で 溶け出して』
(むつのはな けんびきょうで とけだして)
                 {六花:むつのはな、りっか=雪の別名。
                       結晶が六角形からきている。}

『冬の雨 籠もるを強いて 気も暗く』
(ふゆのあめ こもるをしいて きもくらく)

『ため息を つけば流れる 冬の雲』
(ためいきを つけばながれる ふゆのくも)

『霧雨に 濡れて艶増す 寒椿』
(きりさめに ぬれてつやます かんつばき)

『白き霜 降り立つ庭に 冷気立つ』
(しろきしも ふりたつにわに れいきたつ)

『願うなら 冬の陽となり 君照らす』
(ねがうなら ふゆのひとなり きみてらす)

『降れば白 見上げれば黒 雪の色』
(ふればしろ みあげればくろ ゆきのいろ)

『冬の雨 寂しさしとど 連れて来る』
(ふゆのあめ さびしさしとど つれてくる)

『枯木立 イルミを点けて 花の咲く』
(かれこだち いるみをつけて はなのさく)

『君待つは 冬木一本 その袂』
(きみまつは ふゆきいっぽん そのたもと)

『真写す 写真の顔の 凍て付きし』
(しんうつす しゃしんのかおの いてつきし)

『いつもの日 いつもの朋と 忘年会』
(いつものひ いつものともと ぼうねんかい)

『乾杯は 何度でも良し 忘年会』
(かんぱいは なんどでもよし ぼうねんかい)

『宰相の 寒き言葉や 美しき』
(さいそうの さむきことばや うつくしき)

『あれはこれ 名詞の遠き 冬会話』
(あれはこれ めいしのとおき ふゆかいわ)

『すぐそこに 雲下りてきて 雪催い』
(すぐそこに くもおりてきて ゆきもよい)

『牡丹鍋 干支の鍋とて 食べにくき』
(ぼたんなべ えとのなべとて たべにくき)

『すき焼きや 肉と蒟蒻 不釣合』
(すきやきや にくとこんにゃく ふつりあい)

『賀状書き 一日忘我 懐かしむ』
(がじょうかき いちにちぼうが なつかしむ)


石鎚

2006年12月12日 | 俳句
百合鴎 庄下川にて


『木枯らしの 音風強き 街あたり』
(こがらしの おとかぜつよき まちあたり)

『冬時雨 竹林に今 陽の射して』
(ふゆしぐれ ちくりんにいま ひのさして)

『道飾る ポインセチアの 色褪せて』
(みちかざる ぽいんせちあの いろあせて)

『冬菊の 光纏いて 尚淡し』
(ふゆぎくの ひかりまといて なおあわし)

『枯草よ 生まれ変わって 来ておくれ』
(かれくさよ うまれかわって きておくれ)

『冬の菜を 洗いし女の 息白し』
(ふゆのなを あらいしひとの いきしろし)

『冬曙 黄金の光 世に満ちて』
(ふゆあけぼの こがねのひかり よにみちて)

『大根は すずしろの君 良きあざな』
(だいこんは すずしろのきみ よきあざな)

『帰りし子 熱を出したと 冬メール』
(かえりしこ ねつをだしたと ふゆめーる)

『木のてっぺん 葉に同化して 冬メジロ』
(きのてっぺん はにどうかして ふゆめじろ)

『石鎚の 雪も寒さも 遠のきて』
(いしづちの ゆきもさむさも とおのきて)

『冬鳥の 滑空の筋 橋の下』
(ふゆどりの かっくうのすじ はしのした)

『冬晴れや 六甲山系 雲も無く』
(ふゆばれや ろっこうさんけい くももなく)

『露の間の 戀の証や 寒椿』
(つゆのまの こいのあかしや かんつばき)

『露氷る 石の鳥居に 手を添えて』
(つゆこおる いしのとりいに てをそえて)

『冬の空 首の据わりて 笑顔成る』
(ふゆのそら くびのすわりて えがおなる)

『堰の音も 冬極まりて 冴え冴えと』
(せきのねも ふゆきわまりて さえざえと)

『飲んで寝て 寝て寝てばかり 冬半ば』
(のんでねて ねてねてばかり ふゆなかば)

『日を過ぎて 知りたる訃報 村時雨』
(ひをすぎて しりたるふほう むらしぐれ)

『勿体無し 思うは他人 熟し柿』
(もったいなし おもうはたにん じゅくしがき)

菅野 美穂

2006年12月11日 | 俳句
青鷺 庄下川にて


『冬の虹 雨の棒とて 暗記する』
(ふゆのにじ あめのぼうとて あんきする)

『冬の空 虹色使って 絵を描こう』
(ふゆのそら にじいろつかって えをかこう)

『冬の虹 見たいと思えば 出るものさ』
(ふゆのにじ みたいとおもえば でるものさ)

『手を繋ぎ 二人で潜る 冬の虹』
(てをつなぎ ふたりでくぐる ふゆのにじ)

『消える間に 渡って往こうよ 冬の虹』
(きえるまに わたってゆこうよ ふゆのにじ)

『冬の海 虹の足をば 見つけたり』
(ふゆのうみ にじのあしをば みつけたり)

『冬半ば 虹の七色 夢の中』
(ふゆなかば にじのなないろ ゆめのなか)

『残菊や 残り香強く 生き長く』
(ざんぎくや のこりがつよく いきながく)

『質素なり 我が生誕日 沢庵忌』
(しっそなり わがせいたんび たくあんき)

『年の暮 年賀の創句 嫁不満』
(としのくれ ねんがのそうく よめふまん)

『冬薔薇 我はあなたに 相応しき』
(ふゆそうび われはあなたに ふさわしき)

『冬暁に 下弦の月の 負けにけり』
(とうぎょうに かげんのつきの まけにけり)

『大根は 胃に良いらしく 今日も出る』
(だいこんは いにいいらしく きょうもでる)
                {今日は、胃に良い日}

『霜晴れや 日毎新たに 感じられ』
(しもばれや ひごとあらたに かんじられ)

『見渡せば 枯野の先に 花野見ゆ』
(みわたせば かれののさきに はなのみゆ)

『冬木立 ぽつりと立ちて 揺るぎ無く』
(ふゆこだち ぽつりとたちて ゆるぎなく)


『庄下川 雪の化身か 白き鯉』
(しょうげがわ ゆきのかしんか しろきこい)

『川の鴨 流さる時は いと速き』
(かわのかも ながさるときは いとはやき)

『冬鶺鴒 首を突っ込み 水浴びす』
(ふゆせきれい くびをつっこみ みずあびす)

『菅野美穂 我が天使なり 冬の夢』
(かんのみほ わがてんしなり ふゆのゆめ)
             {ウメーシュの宣伝を見て。美咲ちゃんごめん。}

子鷺

2006年12月10日 | 俳句
子鷺 (庄下川にて)



『山茶花は 塀から顔を 覗かせて』
(さざんかは へいからかおを のぞかせて)

『冬半ば 俺には俺の 風を呼ぶ』
(ふゆなかば おれにはおれの かぜをよぶ)

『冬の朝 まず一番に 喉の飴』
(ふゆのあさ まずいちばんに のどのあめ)

『都鳥 主のごとく 振る舞いぬ』
(みやこどり あるじのごとく ふるまいぬ)

『凪の川 鷺を映して 陰と陽』
(なぎのかわ さぎをうつして いんとよう)

『河豚の毒 知らない訳じゃ ないけれど』
(ふぐのどく しらないわけじゃ ないけれど)

『昔から 痺れるほどに 美味の河豚』
(むかしから しびれるほどに びみのふぐ)

『孤の時間 楽しく寂し 冬の午後』
(このじかん たのしくさびし ふゆのごご)

『世の中は 鷺を鴉と 言いくるめ』
(よのなかは さぎをからすと いいくるめ)

『冬暁や 黄金世界 冴え冴えと』
(とうぎょうや おうごんせかい さえざえと)

『南天は 北へ北へと 枝を出し』
(なんてんは きたへきたへと えだをだし)

『冬創句 嫁の居ぬ間の 苦の時間』
(ふゆそうく よめのいぬまの くのじかん)

『青鷺の 嘴荒れて 風通る』
(あおさぎの くちばしあれて かぜとおる)

『寒空に 街宣の声 耳につく』
(さむぞらに がいせんのこえ みみにつく)

『冬木立 ぽつんと一本 寂しかろ』
(ふゆこだち ぽつんといっぽん さびしかろ)

『苔生すは 冬ざれの石 我が墓石』
(こけむすは ふゆざれのいし わがぼせき)

『熱燗や 喉元締めて ぐっと飲む』
(あつかんや のどをばしめて ぐっとのむ)

『冬の旅 今日の一歩は どこへやら』
(ふゆのたび きょうのいっぽは どこへやら)

『冬の旅 明日を信じて 往くばかり』
(ふゆのたび あすをしんじて ゆくばかり)

『テレショップ 役者の顔に 寒き笑み』
(てれしょっぷ やくしゃのかおに さむきえみ)

一分

2006年12月09日 | 俳句
子鷺 庄下川にて



『短命の 銀杏黄葉は 日差し良し』
(たんめいの いちょうもみじは ひざしよし)
                    {季語:銀杏黄葉 季節:晩秋}

『個性有り 銀杏黄葉の 枯れ具合』
(こせいあり いちょうもみじの かれぐあい)

『残菊に 気品漂う 門構え』
(ざんぎくに きひんただよう もんがまえ)

『世の中の 清めに十分 朝時雨』
(よのなかの きよめにじゅうぶん あさしぐれ)

『小春日や 昨日の夕餉 何だった』
(こはるびや きのうのゆうげ なんだった)

『鷺と鴨 騙し騙され 足見えず』
(さぎとかも だましだまされ あしみえず)

『落葉には 落葉の一分 枯もせず』
(おちばには おちばのいちぶん かれもせず)

『桜紅葉 枯れ散り舞って 今落ちて』
(はなもみじ かれちりまって いまおちて)

『冬鶺鴒 撮った積りが 石ばかり』
(ふゆせきれい とったつもりが いしばかり)

『冬鶺鴒 直しておくれ 人見知り』
(ふゆせきれい なおしておくれ ひとみしり)

『枯れ落葉 元は何の木 知れず散る』
(かれおちば もとはなんのき しれずちる)

『冬を知る 石の鳥居の 冷たさに』
(ふゆをしる いしのとりいの つめたさに)

『寒波かな 日本列島 雨に雪』
(かんぱかな にほんれっとう あめにゆき)

『冬の朝 たーらこたーらこと 口に出る』
(ふゆのあさ たーらこたーらこと くちにでる)

『妹の声 密かに聞きし 嫁の冬』
(いものこえ ひそかにききし よめのふゆ)

『春遠し アンパンマンの 色褪せて』
(はるとおし あんぱんまんの いろあせて)

冬の月

2006年12月08日 | 俳句
真珠湾攻撃?
鴨と百合鴎(庄下川にて)



『南東に 銀杏黄葉の 残りおり』
(なんとうに いちょうもみじの のこりおり)
                 {季語:銀杏黄葉 季節:晩秋}

『陽はあたり 吊るし柿の如 身を委ね』
(ひはあたり つるしがきのごと みをゆだね)

『遠山は 枯野と変じ 遠くなる』
(とおやまは かれのとへんじ とおくなる)

『冬の蜂 行く所無く 我が腕に』
(ふゆのはち いくところなく わがうでに)

『冬の月 沈むや消えるや 雲隠れ』
(ふゆのつき しずむやきえるや くもがくれ)

『冬日差し 背に受けつつ 歩は緩む』
(ふゆひざし せなにうけつつ ほはゆるむ)

『朝日浴び 南天の実の 色冴えて』
(あさひあび なんてんのみの いろさえて)

『落葉焚き 熱と煙を 顔で受け』
(おちばたき ねつとけむりを かおでうけ)

『しみじみと 北風吹きて 泪する』
(しみじみと きたかぜふきて なみだする)

『北風は 雲を千切りて 通り過ぎ』
(きたかぜは くもをちぎりて とおりすぎ)

『寒月に 雲の掛かりて 気も和み』
(かんげつに くものかかりて きもなごみ)

『寒凪に ほっと安心 背を伸ばす』
(かんなぎに ほっとあんしん せをのばす)

『百合鴎 離着水が 苦手だね』
(ゆりかもめ りちゃくすいが にがてだね)

『気が付けば いつも群れてる 百合鴎』
(きがつけば いつもむれてる ゆりかもめ)

『我が暦 忘年会の 余白あり』
(わがこよみ ぼうねんかいの よはくあり)

寒鴉

2006年12月07日 | 俳句
 寒鴉 庄下川にて

『寒鴉 常に寄り添う 夫婦鳥』
(かんがらす つねによりそう めおとどり)

『夕時雨 しっとりしとしと 止むを待つ』
(ゆうしぐれ しっとりしとしと やむをまつ)

『期待大 まずは最初の 忘年会』
(きたいだい まずはさいしょの ぼうねんかい)

『不思議なり 無宗教の クリスマス』
(ふしぎなり むしゅうきょうの くりすます)

『風呂吹きに 三種の味噌 まずどれを』
(ふろふきに さんしゅのみそ まずどれを)

『できるなら 食いだめしたき 鮪かな』
(できるなら くいだめしたき まぐろかな)

『いついつも 団体行動 鴨泳ぐ』
(いついつも だんたいこうどう かもおよぐ)

『鴨行けば 波紋すっきり 追いて行く』
(かもゆけば はもんすっきり ついてゆく)

『山並みも 冬枯れ色の 増えにけり』
(やまなみも ふゆがれいろの ふえにけり)

『冬の山 霞のベール 被る如』
(ふゆのやま かすみのべーる かぶるごと)

『歳ならば 年に従い 冬の道』
(としならば としにしたがい ふゆのみち)

『冬の川 鴨に群がる ゆりかもめ』
(ふゆのかわ かもにむらがる ゆりかもめ)

『苔生せし 古木に寄り添う 実千両』
(こけむせし こぼくによりそう みせんりょう)

『送られし 蜜柑を剥けば 伊予の顔』
(おくられし みかんをむけば いよのかお)

熟柿

2006年12月06日 | 俳句
ご近所の熟柿


『旬なれど 盗られもしない 熟柿あり』
(しゅんなれど とられもしない じゅくしあり)
               {季語:熟柿 季節:晩秋}

『熟柿より 吊るしを好む 我や変』
(じゅくしより つるしをこのむ われやへん)

『捥がれるか 落つるを待つか あの熟柿』
(もがれるか おつるをまつか あのじゅくし)

『熱燗は 一気に飲むべし 一息に』
(あつかんは いっきにのむべし ひといきに)

『山茶花は 薄紅差して 塀の上』
(さざんかは うすべにさして へいのうえ)

『腸あれば 好きに変身 海鼠かな』
(ちょうあれば すきにへんしん なまこかな)
〔海鼠:なまこ、海鼠腸:このわた〕

『歯が立たず 鵜呑みに溺る 酢海鼠は』
(はがたたず うのみにおぼる すなまこは)

『満月と 言われて眺む 冬の月』
(まんげつと いわれてながむ ふゆのつき)

『上の空 あなたはどっち 鳶と鷹』
(うわのそら あなたはどっち とびとたか)

『日向ぼこ 焼けが気になり 向きを変え』
(ひなたぼこ やけがきになり むきをかえ)

『野路時雨 宿る術なく 濡れて行こ』
(のじしぐれ やどるすべなく ぬれていこ)

『庄下川 ゆりかもめ群れ キャッと鳴く』
(しょうげがわ ゆりかもめむれ きゃっとなく)

『青も子も 鷺という鳥 孤独好き』
(あおもこも さぎというとり こどくずき)

『我が街の 冬の黄葉の しぶとさよ』
(わがまちの ふゆのもみじの しぶとさよ)
                  

初霜

2006年12月05日 | 俳句
ご近所の朝



『初霜や 擦り集めて ふっと吹く』
(はつしもや こすりあつめて ふっとふく)

『ヂグザグと 踏み割り進む 初氷』
(ぢぐざぐと ふみわりすすむ はつごおり)

『凩と 聞いただけでも 身震いす』
(こがらしと きいただけでも みぶるいす)

『小春日や 日当たり良好 背を丸く』
(こはるびや ひあたりりょうこう せをまるく)

『愛ゆえに ポインセチアは 紅い色』
(あいゆえに ぽいんせちあは あかいいろ)

『この月は すべて決算 十二月』
(このつきは すべてけっさん じゅうにがつ)

『一流の 証なるかや 第九人』
(いちりゅうの あかしなるかや だいくびと)

『品ありや 第九を唄う 大口は』
(ひんありや だいくをうたう おおぐちは)

『年賀状 辞退の便り 一段と』
(ねんがじょう じたいのたより いちだんと)


『影法師 濃ければ温し 冬日向』
(かげぼうし こければぬくし ふゆひなた)

『しみじみと 振り返り見る 冬の影』
(しみじみと ふりかえりみる ふゆのかげ)


『虚空なる 明鏡止水 冬心』
(こくうなる めいきょうしすい ふゆごころ)

『冬の日は くれないの色 相応しく』
(ふゆのひは くれないのいろ ふさわしく)

『冴え冴えと オリオン瞬き 一人立つ』
(さえざえと おりおんまたたき ひとりたつ)

大掃除

2006年12月04日 | 俳句



『くるくるり 鳶輪を描き 滑空す』
(くるくるり とんびわをかき かっくうす)

『寒月や 兎に頼む 暮の餅』
(かんげつや うさぎにたのむ くれのもち)

『小春日は ベンチの空きも 少なかり』
(こはるびは べんちのあきも すくなかり)

『枯落葉 役目を終えし 姿かな』
(かれおちば やくめをおえし すがたかな)

『孫メール 風邪を引いたと 熱なきと』
(まごめーる かぜをひいたと ねつなきと)

『我いまだ 鶴に会えぬは さぎの如』
(われいまだ つるにあえぬは さぎのごと)

『な忘れそ 冬の木の下 君待つを』
(なわすれそ ふゆのきのした きみまつを)

『早くもか 年末恒例 大掃除』
(はやくもか ねんまつこうれい おおそうじ)

『冬掃除 塵も積もれば 大掃除』
(ふゆそうじ ちりもつもれば おおそうじ)

『冬掃除 俺の居所 見当たらぬ』
(ふゆそうじ おれのいどころ みあたらぬ)

『冬師走 日増しに足の 速くなり』
(ふゆしわす ひましにあしの はやくなり)

『脱衣場に 嫁は酒置く 冬半ば』
(だついばに よめはさけおく ふゆなかば)

『湯気立てし つみれの鍋に 肉団子』
(ゆげたてし つみれのなべに にくだんご)

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