HIBARIピアノ教室レッスン日記♪

ピアノのレッスン日記、その他ヒバリ先生が見聞きした音楽関係・芸術関係etcの日記。

来週はコンサート - 違いのわかる男

2011年10月18日 | レッスン日記(小中高生)
Tくん(小6):
かっこいいブギウギの曲「ハーマンズ・ブギ」に挑戦しています。
ブギウギは、12小節で1コーラス。これが何種類ものアドリブによって演奏されます。
いろんな点でクラシックの弾き方とは異なるブギウギのノリを、Tくんはよくがんばって身につけてきたと思います。
もう曲の最後まで全部覚えて、いっしょうけんめい弾いているんですが・・・
どうしても、弾きながら何回も何回も止まってしまいます。

ミスタッチで止まる。
手の用意が間に合わなくて止まる。
何の音だったか考えて止まる。
ミスタッチしそうになって止まる。

こんな具合で、止まらず弾ける部分の方が少ないかも、という状態です。
そこで先生は言いました。

「Tくん、ブギウギはさ、かっこよさが命なんだよ。スピードとかっこよさ。」
「うん・・・」
「確かに、この曲は難しいよ。それに速いよ。だけどね、『難しいです。苦労してます』っていう顔を人に見せちゃいけないの。どんなにどんなに難しくても、苦労しても、それを表に出さず、ささーっとかっこよく弾かなきゃいけないの。それが『ショーマンシップ』ってもんなのよ。意味わかる?」
「ショーマンシップ?・・・」
「Tくんはサッカーやってるんだから、『スポーツマンシップ』は知ってるよね?」
「ああ、わかった。正々堂々と、とかっていうことでしょ」
「そうそう。それの、ショーバージョンだよ。ステージに出る人の心意気のことよ」
「ああ、その『ショー』か。お笑い芸人とかの根性?」
うん・・・まあ、そうも言えるかもしれんが。

ここで先生は、必殺技を使いました。
「Tくんは、もう子どもじゃないんだからさ。Tちゃんや、ほかの小学生の女の子たちとはもう違うんだし」と、わざとさりげなく言いながら 横目でTくんの反応を見ると
「うん、まあ・・・」
Tくんもさりげに答えながらも、口元は 思わずにんまりほころびそうになってる
「だからね、子どもっぽい弾き方はしないでほしいのよ。大人っぽく、かっこよくやってほしいわけ。『青年』らしく」
にまま~
「お客さんから『ボク、小さいのにがんばって、えらかったね』っていう、『温かい拍手』もらって、小さい子ならそれでいいけど、それはやだよね?」
「うん、それはやだ」
「じゃ、今度の時まで、つっかえる所はよくチェックして、止まらずかっこよく弾けるようにしてきてね」
「うん、わかった!」
さあ、けっこう必殺パンチを浴びせました。
次回のレッスン、『青年T』はどう成長してくるか

来週はコンサート -「エリーゼ」の色は?

2011年10月18日 | クラシック曲
Tちゃん(小4):持ち曲は「エリーゼのために」。
初めて弾く、ほんもののクラシック曲です。
これまで経験してきたジブリやなんかの曲と違って、よーしゃなく出てくる難しい譜読みやテクニック。
夏も終わろうかという頃から先生の特訓が始まり、ここへきてようやく 曲の全貌が形になってきました。(やっと)
そこで、今日は 曲の表情や表現ということに触れてみました。
「『エリーゼのために』は、大きく分けて3つのメロディーに分けられるでしょ。それで、その3種類を、全部、ちがった色のように弾いてほしいの。たとえば、今練習してる『B』の部分ね・・・ここは、くり返し出てくる、柔らかくて美しい「A」のメロディーと違って 元気で明るいよね。色でいうと・・・」
「黄色かな?」
Tちゃんが言いました。
「そうそう。黄色いいねー。キラキラと明るく元気な感じ。じゃ、Aの部分はどうかな?」
「水色、かな・・・なんか、さわやかな感じがするし」
「そう、水色がいいかもね。じゃ、最後のCの部分はどう? 嵐のような迫力の部分」
「むらさきとか・・・」
「そうだね。不気味な感じ」
「うん」
「むらさきとか、グレーとか・・・嵐の色。そうしてだんだん、嵐が治まって」
「また水色になって、さわやかに終わるんだね」
A、B、C、それぞれの部分の「色」のチョイスに、Tちゃんらしい個性が現れているなと思いました。
Tちゃんは、曲の一番最後の静かな音を、とてもきれいに弾いたので、ごほうびにかわいいヤマネのシールを貼ってあげました。


また、おにいちゃんのTくんとのアンサンブル「ストレンジャー」。
二人の呼吸が少しずつ合ってきて、今日はかなり上手に弾けました。
しかしまだまだ油断は禁物。
気を抜かずにがんばろうね。