HIBARIピアノ教室レッスン日記♪

ピアノのレッスン日記、その他ヒバリ先生が見聞きした音楽関係・芸術関係etcの日記。

楽譜をダウンロードすることについて・続きの続き

2016年03月23日 | 音楽のツボ
きのう、おとといと2回にわたり、「楽譜をダウンロードする」ことの落とし穴について書きました。
今日は、ダウンロードも含め 楽譜をどうやって入手するか、についてです。

”例えば、発表会の曲などを練習するときに「この1曲だけのために高い曲集を買うのはもったいないな」と思う気持ちはよくわかります。
つい、コピーですませたくなりますが、それは「違法」なのですよ。
みんなが楽譜を買わずにコピーしてしまうと、出版社はとても困ります。
その曲を作った作曲者も生活ができなくなります。
しかたがないから、採算をとるため本の値段を高くしなければなりません。
するとピアノを弾くみんなが困ります。
今、日本の楽譜出版界では、このことが 大きな「こまったちゃんの輪」としてグルグルまわっているのです。
それでも、ピアノの1曲2曲は、まだしも罪が軽いと言えるかもしれないのです。
いちばんの「こまったちゃん」は、合唱団などによる大量のコピーです。
私たちは、自分で自分の首を絞めないよう、楽譜はちゃんと買うようにしましょう。
買う時点では「高いなー」と思うかもしれませんが、紙ッペラ1枚のコピーに比べ、ちゃんとした本を買うと そのメリットは計り知れません。

1.紙質が良く、製本がしっかりしている。一生もつ。
2.一流の音楽家による、曲や作曲家についての解説や演奏の手引き、歴史的背景、用語の説明などが載っている。
3.曲が系統的に配されており、その作曲家の ほかの作品、あるいは同レベルの曲、そのほか ある意図をもった一連の作品群としての価値がある。

など、たくさんのメリットがあります。
かえって長い目で見れば、大変お得なお買い物ですよ。”


この文章は、大分前に(20世紀のころ(笑))教室の生徒に向けての通信に書いたものです。
21世紀の今は、これに加えて「ダウンロード」という新たな楽譜ゲットの手段が登場してるわけですが、「コピー」も「ダウンロード」もその姿勢や楽譜の状態については同様なものと言えます。
安っぽい紙1枚にプリントアウトされたものは すぐボロくなるし、ありがたみがないので丁寧に扱わず、クシャクシャになったり失くしたりしがちです。
その点、ちゃんと購入した楽譜は見ても美しいし大事にするし、持ちはいいし、何代にもわたって使用できるのです。

考えてみたら、楽譜というのは、「お料理の本」や「スタイルブック」、DIYの本などと ある意味似ているかもしれませんよ。
最初から最後まで読み通すものではなく、その中のひとつ、あるいはいくつか、「これ」と思うものを取り上げてトライする。
今回使わなかった項目も、暇なときなどにパラパラと見て「いいな~」「これもよさそう」「上手になったらこれもやってみたい」などと夢を膨らませて楽しみ、いつの日か あらたないくつかを実現する。

ねっ、どうですか?!
ケチをせず、本は投資と思って ちゃんと購入しましょう。

「はた」恐怖症?

2016年03月23日 | 音符・楽譜・テクニック
Hさん(大人):
「バッハ・インヴェンション」「バッハ・シンフォニア」と進み、とうとう最後の「シンフォニア15番」となりました。
ひとつ前の「シンフォニア14番」が、キレイだけれどもその分、とても難しかったので、最後の15番はどんだけ難しいんだろう~と恐れをなしてしまいますが、意外や、15番はカンタンですよ~
・・・と、先週 私はHさんにお話しして、「では来週、15番・・・」と宿題にしていたのでした。
今日、レッスンに来て楽譜を広げたHさん、開口一番
「難しいですぅ~」と恨めし気。
「難しい?! そうかな?!」
「リズムが、難しいんです。わ・た・し・に・は、ねっ」
自称「リズム音痴」のHさん、音符に「はた」が2本とか3本とかつくと、もうそれだけでパァァ~ と目がくらんでしまうらしい。
「はた」というのは、8分音符や16分音符についてる小さな旗状の記号のことです。
「はた」が続けて出てきたりすると、もう「速いんだ!」と緊張のあまり、必要以上に猛スピードで弾いてしまうのです。
「15番」が 8分の9拍子、つまり3拍子×3つ という、みんなの苦手な3拍子がそれも3倍の複合拍子になっている、というのも取っつきにくい理由です。

そこで、15番は右手と左手のメロディーの受け渡しがほとんどないのを幸い、Hさんには右手だけ弾いてもらって私がわかりやすい伴奏をつけてみることにしました。
ぶん・ちゃっ、ちゃっ のワルツのリズムや、3拍子系の分散和音の伴奏などです。
そうしたら、16分音符のタイミングがきっちりつかめたようで、Hさん一人で弾いても なんとか大丈夫になりました。

もう一曲、並行してレッスンしている「ベートーベンのソナチネ・ロンド」。
こちらにも何度か、「ターン」という、一種の装飾音符が入ってきます。
1拍分の音符の上に ちっちゃな16分音符が4つもチマチマと書き込んであるので、Hさんはその箇所にくると途端に緊張し、身体中が硬直して 肝心のターンの音符がろくすっぽ弾けない状態になってしまいます。
同じことが、すぐ後の左手アルペジオにも起こります。
「ここは、実はそんなに速くないんですよ。ゆっくり一つ一つの音を弾いても充分間に合います」と、ターン、アルペジオの手本を示し、Hさん自身にもゆっくり弾いて充分間に合うことを確かめてもらいました。
実際に音にしてみて、ゆっくりで間に合うことがわかり、Hさんも安心したようです。
ケイレンでも起こしたかのような緊張はなくなり、やわらかに弾けるようになりました。

Hさんのように、16分音符や装飾音符の「はた」を、実際以上に「速いんだ!」と構えてしまう人はけっこう多いです。
だけど、「はた」=「速い」というイミではないので、落ち着いて丁寧に弾いてみましょう。
案外、なーんだ、こんな速さでいいのか~と思うはずですよ。