HIBARIピアノ教室レッスン日記♪

ピアノのレッスン日記、その他ヒバリ先生が見聞きした音楽関係・芸術関係etcの日記。

アヴェ・マリアのフィニッシュは 照明の色が変わる。

2017年02月07日 | ブルクミュラー
Sちゃん(中1):
中学生になってからいろいろと忙しく、なかなか自宅での練習時間が取れていません。
今日はようやく、ブルクミュラー「アヴェ・マリア」の仕上げに入っていますが、充分弾き込んできていない、と自他ともに認識しているので、ほぼレッスン室で一緒に練習していくような形です。
「アヴェ・マリア」はそのタイトルからも想像できる通り、四声体の和声を持った「教会音楽」のスタイルでできています。
オルガンの響きを思わせるような重厚な和音、その中にも神々しさや喜び・悲しみ・信仰などが表現された美しい曲なのですが、どうも13歳のSちゃんには、まだ「宗教的」音楽の味わいはピンとこないのかも。。。
静かに弾き始めたはずでも だんだんテンポが速くなり、いつのまにか元気いっぱいの曲になってしまう。
それでも、レッスン時間一生懸命がんばって、声部の弾き分けやフレージングは何とかできたし、まあいいか、というところまで到達しました。
でも、曲のおしまいの部分・・・
最後の4小節と、それに付け加えられた2小節の余韻、後奏の部分。ここだけはきれいに弾いてもらいたいな。

Sちゃんは、小さいときからずーっとクラシックバレエをやっているので、バレエの物語や音楽、ステージのことはよく知っているはずです。
そこで先生は言いました。
「最後の4小節・・・前半2小節は、コードでいえばA7~Dで、幸せな明るい響き。そして後半2小節を見て。メロディーはほとんど同じなのに、コードはDmとなって、打って変わった悲しい響きになってるね。
バレエや芝居のステージなら、踊りの幕切れで、それまで明るいバラ色の照明だったのが、急にブルーの照明に変わる感じ。ダンサーたちの動きやポーズも変わるはず。そして最後の2小節・・・ダンサーがポーズしたまま照明がだんだん落ちていく。そして暗転。」
その感じ、わかる?と聞くと、Sちゃんの頭の中にちゃんと映像が浮かんでるなあ、という表情で「ハイ、わかります」とうなずきました。
じゃ弾いてみよう、その感じで、最後のフィニッシュ部分!
ということで弾いたSちゃんの演奏は、ちゃーんと照明の色が冷たいブルーに変わり、静かな暗転で終わってましたよ!
イメージの力、絶大。

「いつも何度でも」 何度でもひこう♪

2017年02月07日 | レッスン日記(小中高生)
Cちゃん(年中):
「千とちひろの神かくし・いつも何度でも」が、今日も続いています。
お家でも練習しているのでしょう、音のつながりがますますなめらかになり、本来のオリジナル曲に近いなめらかなメロディーが弾けるようになっていてびっくりです。
「ねえ、きれいに弾けてるから、先生も一緒に伴奏つけていい?」
「うん、いいよ」
「じゃあ、Cちゃんはもうひとつ高い場所(1オクターブ上)で弾いて?その方が、かわいい音になると思うから」
「わかった」
Cちゃんが1オクターブ上に移動し、先生が前奏のリズムを弾き始めます。
おなじみの、あのなつかしい三拍子の前奏です。
「弾くとき、『はい』って言ってよ?」
スタンバイしながら、Cちゃんが念を押します。
「いいよ・・・はいっ」
ほんとはそんな合図しなくても、Cちゃんはちゃんとメロディーに入ってくれたと思えるタイミングで、「いつも何度でも」のメロディーが流れだしました。
伴奏が付くと、本当にきれいです。
映画の情景がよみがえってきます。
ときどきつっかえたりもしたけど、すてきな「いつも何度でも」ができました。

「さ、『よいこのピアノ』も弾こうよ。丸がつけられるようにね。きっと、Cちゃん簡単に弾けるよ」
こうして、「よいこのピアノ」から「とんぼのめがね」「おうまのおやこ」を、音符をみながら危なげなく弾きました。
大きな口をあけ、大きな声で歌も歌いながら。
入門したとき3歳だったCちゃんも、今は5歳。
もうすぐ年長さんになるんだから。
つくづく成長したもんだ・・・と思います。

ビビディ・バビディ・ブー 全部両手。」

2017年02月07日 | レッスン日記(小中高生)
Hちゃん(小3):
先週から始めた「ビビディ・バビディ・ブー」を張り切って弾こうとしたけど、
先生から「左手と一緒に弾くところもあったよね?」と念を押されて
「あっ・・・ちょっと待って。ちょっと練習させて?」
と、ちょっとうろたえたようす。
ふーむ・・・さては右手の調子よさに気を取られて、両手の練習より右手ばっかりやってたな?
「じゃいいよ。手が冷たいし、よく動かないと思うから、まず右手だけで。先生伴奏するから」
「うん!」
途端にニコニコして、調子よく右手のメロディーを弾き始めます。
さすがに右手は、三連符の細かい動きや指の置き換えなど、よくできています。感心だ。
先生のリズミカルな伴奏に乗せて、ご機嫌な演奏ができました。
「さっ、じゃ、こないだ決めた左手のところも弾いてね」
「うん、わかった。確かここと、ここだよね」
自分でマークを付けた赤エンピツの印のところを確認、左手の音をなぞってみてから、両手で弾いてみます。
次に最初から弾きます。両手で弾けるところは両手で、そのほかのところは右手だけで。
「いいね!じゃあもう少し、左手弾けるところ増やしたいんだけど」
と先生が水を向けると、Hちゃんは楽譜をにらみ、
「うーん、それはね・・・ここ!」と、ピッタリ先生が思っていた箇所を指さしました。
「そうだね!じゃそこも両手で」
演奏するたびに、両手で弾く部分が増えていきます。
レッスン時間は終わりに近づき、あと5分だけ。でもまだいける。
「Hちゃん。ここやって」
先生は最初の1小節の左手パターンを赤マルで囲みました。
「ミド・・・ソ・ラ・ソ・・・」
Hちゃんは言いながら弾いてみました。
「うん、弾ける。簡単」
「でしょ?」
先生は、言いながら2小節目も丸で囲みました。
「ああ、おんなじだ。だから弾ける」
先生は次々、同じパターンを囲んでいきます。
「これも、これも、これも、全部弾けるってことだ」
Hちゃんは嬉しい驚きの表情で、さっそく弾いてみています。
本当はHちゃん自身に発見して、丸で囲んでもらいたかったけど、今日は時間がなくなってしまったので、ちゃっちゃと進めてしまいました。
「待って…なんかここも弾けそう。」
Hちゃんは、先生が指示しないで空けていた部分も、自分で「弾くことにする」と言いました。
「えー、じゃ全部丸で囲んじゃったよ?全部弾けるってことじゃないの?じゃあ・・・」
先生は、「ビビディ・バビディ・ブー」のタイトルの横に「ぜんぶ両手」と書きました。
「うわあ、全部両手か・・・うん、わかった」
Hちゃんは満面の笑顔でうなずきました。
さあ、来週、どのくらい弾けるようになってるか、楽しみだ。

ポリフォニーってどんな音楽?

2017年02月07日 | 音符・楽譜・テクニック
「ポリフォニー」というのは、日本語にすると「多声部音楽」「複音楽」などと呼ばれます。(日本語の方が難しい・・・)
意味は、旋律(メロディー)がひとつじゃなく、メロディー声部が多数/複数 ある音楽のこと。
ポリフォニーに対して 旋律がひとつの曲は「モノフォニー」(メロディーパートがひとつあって、それに伴奏パートがベースや和音で伴奏をつけたりするスタイル)といいます。
学校で音楽の時間に歌う歌、TVや映画、CMの曲など、現代ふつうに聞かれる音楽のほとんどは「モノフォニー」です。

簡単な例を上げてみましょう。
たとえば「かえるのうた」を歌うとします。
クラス全員で声をそろえ「♪かえるのうたが、きこえてくるよ~」と歌い、先生がピアノでブンチャッチャッチャ~と伴奏をつけたとしたら、
これはメロディーがひとつなので「モノフォニー」です。大勢で歌っても、メロディーパートはひとつだからです。
つぎは、クラスのメンバーが半分ずつに分かれ、輪唱で歌ったとします。
半分の人が「♪かえるのうたが~」と歌って、「♪きこえてくるよ~」に入るタイミングで、残り半分の人が「♪かえるのうたが~」と歌い始めます。
それぞれのパートは独立したメロディーを歌っていて、どちらも相手の伴奏になってはいませんね。
これが「ポリフォニー」です。メロディーパートがふたつあるからです。
(ちなみに輪唱は、ポリフォニーのいろいろある形式の中のひとつ、「カノン」というスタイルです。)

さて、バッハが活躍したバロック時代、そしてそれよりもっと昔の音楽は、ポリフォニーが主体でした。
なので、今日の日記に書いたとおり、K子さんが弾いた「メヌエット」は、右手と左手それぞれがメロディーのポリフォニー。
一人で左右別々のメロディーを弾くなんて大変。
でもそれで驚いちゃいけない。
もっと複雑な曲になると声部も増えて3声部、4声部になったりするんだからね。
しかもそれが転調されたり、二重フーガ、三重フーガなどとエスカレート(?)その難解さは天井知らず・・・
2本の手で3声部とか4声部とか、どうやって弾くのかな?!
ハァ~、ポリフォニーは奥が深いのです・・・

弾く前に、まず歌ってみよう♪

2017年02月07日 | レッスン日記(小中高生)
K子さん(大人):
「バロック名曲集」から、今日は「ベーム氏によるメヌエット」を弾いてみました。
「アンナ・マグダレーナのためのクラヴィーア曲集」にも収録されている小品です。
バッハの時代の曲は、現代の「メロディーに和音の伴奏をつける」スタイルではなく、基本的に「ポリフォニー」というスタイルでできています。
「ポリフォニー」については、あらためて説明しますが、てっとり早く言うと、右手も左手もメロディーだ、ってことかな。
右手にも左手にも、次々メロディーやらフィルイン(ツナギのフレーズ)やらが重なってくるので、うかうかしていると、全体がのっぺりした音の羅列になってしまいます。

そこでヒバリ先生は言いました。
「もし、これが歌だったら、どこで息つぎをするか考えてみて」
そして、実際に右手のメロディーを歌ってみました。
フレーズの切れ目、そしてフレーズとフレーズのつながり。
メロディーラインの盛り上がり。
声に出して歌うと、それらがはっきりとわかります。
左手パートも同じように歌ってみれば、左手の流れと同時に、右手パートとの関係もわかります。

K子さんは言いました。
「わかりました!そうか・・・じゃ、歌ってみたらいいんだ!」
そう、その通り。
新しい曲をやるとき、いきなり鍵盤を弾かず まず歌ってみましょう。
声に出してメロディーを歌い、メロディーがわかったら、次は歌いながら弾いてみましょう。
その声に合わせて 息つぎのときは一緒に手も鍵盤からはなし、声が自然に大きく広がっていくところは、ピアノも一緒に広がりをもたせて。
そうすると、ピアノの音が、まるで生命を吹き込まれたかのように柔らかく自然に響いてきますよ。
ぜひやってみてね。