HIBARIピアノ教室レッスン日記♪

ピアノのレッスン日記、その他ヒバリ先生が見聞きした音楽関係・芸術関係etcの日記。

子どもに練習させるには -その4.子どもの価値観、大人の価値観-

2017年02月24日 | 音楽のツボ
4回の長大連載(?)になってしまった「子どもに練習させるには」。
これはピアノレッスンをする子どもとそのご家庭みんなの、永遠の命題なんだな~と 改めて思った次第ですが・・・ちょっと待って?
長年たくさんの子どもたちと付き合ってきて、また自分も子ども気分から抜けきれないまま大人をやってるヒバリとしては、「アレ?」と思うことがあるのです。

実を言うと、ヒバリ先生個人の感想としては、「みんなちゃんと練習してるよね」と思うんです。ママたちは不満かもしれないんですが...
曲を決めるとき。
その曲の練習ポイントの説明を聞くとき。
指番号を決めるとき。
みんな真剣に、熱心に先生の説明を聞いています。
そして「来週これだけやってきて」と言われたところをきっちり意識し、「わかった」と言って帰る。
翌週は、先週言われたことを思い出しながら真剣に弾いている。
それが、充分高い完成度であるかはさて置き・・・← 実はこの辺りが、子どもたちとおうちの方たちとの意識のギャップであり、それぞれの見解の相違ではないかと思うのです。
大人から見れば、子どもはほんの少しの時間しかピアノに向かっていない。
時間も10分かそこら弾けばいい方だし、まだちっともうまくなっていないのに練習を終わってしまう。等々...
大人から見れば不満足な練習量ですが、子どもとしてはけっこう満足な「練習した」という感覚なんじゃないかなあ、と、昔「練習しない子ども」であった私は思うのです。
私も、ほんのちょっぴり弾いて「もうOK」としていたので。
多分、何十年(?)と生きてきてる大人と、たかだか10年も生きてない子どもとでは、時間の感覚も価値観もまったく違っていて、大人には「これっぽっち」と思える練習量や完成度でも、子どもにしてみたら充分がんばった気分なんじゃないでしょうかね。
完成度もよくわかっていなかったり。
また、私自身そうでしたが、子どもたちは自分の好きな曲に対しては、驚異的な努力をするものです。
練習曲を弾かず TVの歌やなんかばっかり熱心に弾いているのを見れば「遊んでないで練習しなさい」と言いたくなるかもしれませんが、もしかしたらその曲を弾くことによって 練習曲の何倍もの効果を上げ、多くを得ているかもしれないのです。
そうだ、きっと私も映画音楽や耳コピした曲を熱心に弾いていたのに、親は「ちっとも練習しないで遊んでばっかり」と思ってたんだ。そうに違いない。
だから私は「練習する子ども」だったんだ。今わかったよ。
もう昔になるけど、「ドラゴンクエスト」に始まるゲームミュージックが爆発的人気だった時代がありました。
その時には、ヒバリ教室でも、大勢の男の子たちが、かっこいい曲を超スピードで弾こうと猛練習して難曲を次々と弾きこなし、その結果高いテクニックも身につけてしまったものでした。
いきなりベートーヴェンソナタなども弾けるようになってしまったのです。
「好きこそものの上手なれ」です。
みんなが、いつか自分の本当に好きな音楽に出会ってくれるといいな。
その時はきっと、猛練習すると思うよ。

追記:これは2017年に書いた記事ですが、その後2020年に書き加えた記事がこちらです。

子どもに練習させるには -その3.楽しく練習するアイデア-

2017年02月24日 | 音楽のツボ

楽しく練習を続けられるアイディア

1.ピアノの置き場を身近な場所に
 ピアノは、可能ならばリビングや子ども部屋など、子どもが気が向いたときにすぐちゃちゃっとさわれるような場所にあるといいですね。
あと、ピアノや椅子の上に物を置いてあったりすると弾く気をそがれます。あまり大事にカバーやら鍵盤カバーやらしなくても、むしろふたが開けっぱなしになってるぐらいでちょうどいいです。

2.わかりやすいスケジュールを決める
子どもと一緒に 毎日の予定や時間をイメージしてみましょう。
たとえば月曜日は余裕があるけど、火曜日はほかの習い事がある。夜ごはんは何時頃で、お風呂は何時頃だから、その間なら時間があるね、などなど、具体的な可能枠のヒントなどを出して、子どもと一緒に練習スケジュールを立ててみます。
かわいいポスターみたいなのを描いて、譜面台に置いたりするのもいいですね。

3.ときどき録画や録音してあげると、やる気倍増。
ヒバリ教室では、「もうひとつ完成度を上げてほしいな」と思ったときなどに、時折「録音してみようか」と持ち掛けることがあります。
そうなると子どもは夢中。「待って!もう1回練習する!」などと言って、放っといても気のすむまで、何度も何度も練習してくれます。(笑)
実は昨日、Lちゃんのレッスンの時に「録音」をしたのですが、翌日Lちゃんのママが「家でも録画してみました。20回ぐらいNGが出て撮り直しをし、ようやく満足な演奏が撮れました」と、動画を送ってくれました。とっても可愛く、しかも楽しそうに弾いているのが撮れていました。
録画するのも、NG動画を見て大笑いするのも、とても楽しかったそうです。
「毎週とはいかなくても、月に1回とか『今月のお気に入り曲』などといって録画するのもいいかもですね。成長の記録にもなるし、1年分ぐらい撮りためて クリスマスやお正月に見るのも楽しいですね」とお返事を送りました。

4.いろんなアートや文学に触れさせる
映画、本、美術、子ども向けの音楽会など、子どもの美意識や感性に働きかけるような芸術に触れるチャンスがあれば、見せてあげたり一緒に出掛けたりというのはとてもよいことです。ディズニーやジブリの映画を観て、その音楽を自分で弾いてみたり、楽譜を手に入れてチャレンジしたり、読んだ本のイメージを心に描いたりと、子どものモチベーションが高まります。

5.そして最後に・・・否定・批評をしないこと。
子どもが弾いているのを批評したり、他の人と比較したりしないようにお願いします。
大人から見て物足りなくても、子どもが努力しているというそのことを認め、ほめてあげてください。そして何よりも、子どもの一番のフォロワーでいてあげてください。

ほかにも、ご家庭で楽しいアイディアをいろいろ工夫してくださいね!
-その4-でまとめです。

子どもに練習させるには -その2.「指示待ち」の子にならないように-

2017年02月24日 | 音楽のツボ
「練習しなさい」と言わない意味。
それは一つには、たとえ小さな子どもであっても、自分の生活・自分の時間は自分で管理しましょう、させましょう、ということなんです。
もし、「遅刻するでしょ。もう起きなさい」「もうすぐごはんだから、今のうちに練習しちゃいなさい」「テレビの前にお風呂入りなさい」「明日早いんだから、もう寝なさい」などと言ってあげなきゃ、子どもはちゃんとできないわ、と、常に指示を与えている親御さんがいらっしゃるなら、それは子どもから、生活力を育てる機会をうばっていることになります。
子どもでも、ちゃんと自分の生活を管理できるだけの能力はありますから、彼らの能力を信じて、「指示出し」を少しずつ減らし、最終的にはすべてなくせるようにがんばってみませんか。
それじゃ失敗だらけになってかわいそう、とお思いかもしれませんが、失敗してその原因を考え、 次はうまくできるように時間の算段をしたり計画的に行動したりすることによって、子どもたちは成長していきます。

そしてもう一つには、命令や あるいは恐怖... 親からであれ、先生からであれ、「言われたからやる」「怒られるからやる」ということは 何事であれ、まして音楽を習う上では特に、本末転倒である、と思うからです。
音楽で情操を育てようというはずが、逆に意欲のない「指示待ち人間」を育てることになってしまうからです。
それでは具体的に、どうやったら子どもが嫌がらず練習を重ねていくことができるのでしょうか。
その具体的なアイディアは-その3-で。

子どもに練習させるには -その1.「練習しなさい」と言わないで-

2017年02月24日 | 音楽のツボ
ママたちの悩みの種NO.1は このことじゃないでしょうか。
たまに送り迎えなどでママたちに会うと、必ずといっていいほど質問されます。
「家でちっとも練習しないんです」
「練習しなさいと言ってはいるんですけど」
私、ヒバリ先生が子どものときも、きっと親はそう思っていたと思います。
これは多分、永遠の命題なんでしょうね。
練習しない子どもたちがいて、練習させたい大人たちがいて、それが連綿と続いている。
かつて練習しなかった子どもたちは大人になって、練習しないわが子に困っている。

ネットで検索すれば、必ずこういった悩み相談や解決方法などがたくさん出ていますし、どれもとてもためになりますよ。
「スケジュールを決めて、毎日オヤツの前とかお風呂の前とかに練習時間をとり、それを守るようにしましょう」
「口うるさく『練習しなさい』というのは逆効果です」
「子どもの進度や出来栄えなどをけなすのはやめましょう」
など、どれも「その通り!」という回答がたやすく読めますので、ご参考になさるといいです。
「ああ、うちと同じ悩みの人がたくさんいるんだ」とか
「なるほど、そのようにすればうちの子も少しは・・・」とか、勉強になると思います。
(私のHPにも「音楽のツボ」「ピアノQ&A」などのページに いろいろ書いていますので、ご参考になればと思います。)

HP  ピアノのすすめ・PLAY AND PLAY 

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いろんな所にいろんな知恵があり、どれも大切なんですが、今ここで 私が一番大事と思うことをひとつだけ言いたいと思います。
それは「練習しなさい」と言わない、ということです。
子どもに意欲を失わせるために 最も効果がある言葉、それは「練習しなさい」です。
そんなバカな・・・とお思いですか?
これは、私自身が「練習しない子ども」だったこと、そして親から言われて一番やる気をそがれる言葉が「練習しなさい」だったことをはっきり記憶しているので、間違いありません。
今「練習しなさい」と言っている大人の方々、ご自身の子ども時代を思い出してみて。
毎日、進んで1時間なり2時間なり練習(勉強)していましたか。
または、親から「しなさい」と言われたら、素直に言うことをきき、今やっていることをパッとやめて練習(勉強)していましたか。
「勉強しなさい」「部屋を片付けなさい」などと言われて「今やろうと思ってたのに~」と イヤな気分になったりしてませんでしたか。
そのことを思い出せば、子どもにその言葉を言っても無意味なだけ、とお気づきかと思います。

「練習しなさい」は教師が言いますので、ご家庭では指示は与えず、フォローに回っていただければ、と思っております。
その意味については、-その2-で。